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王と勇者の異世界日記  作者: 塩とわかめ
-- 1章 サンクとキリア --
13/15

【13話】マサトと人攫い

 あの頃俺たちは、ギルドで様々な依頼を受けてはただただこなしていくという生活を送っていた。

 日々の暮らしのリズムにも慣れ、毎日いくつかのクエストを受けては美味いものを呑み食いする。そんな毎日を過ごした。

 人助けになんて重きを置いてはいなかった。

 受けるクエストは魔物退治が殆どで、その結果助かる人がいることには特に目を向けていなかった。


 あの日もそうだ。俺たちは近隣の魔物退治の依頼を受けた。

 その魔物の巣を探して、森の深くまで入り込んで行った。


 そこで全てが始まった。


 そこで全てが終わった。


「マサトー、まだ奥行くんかー?w」


「うーん、この辺の筈なんだけどなぁ……カズキ、周りに魔物の気配感じる?」


「いんやー、なーんも感じないぽいなw」


「逆におかしくね? ここまで魔物いないとか」


「確かに、ふだんはこんな森の中ならもっと魔物が襲ってくるわなー」


「ん? カズキ、静かにっ。なんか、奥から人の気配がしないか?」


「あぁ、他の冒険者って感じじゃない気がするけど……」


「冒険者以外でこんな森の深くまでくる物好きがいるかー?」


「んー、それはわかんねーけど……。なんつーか、冒険者独特の魔物を探す針みたいに尖った空気? みたいなもんが無い気がする」


「カズキの方がそういうのは鋭いからな。俺にはそこまではわかんねーや。どうする? もう少し近付いてみるか?」


「そりゃもーw 気になるしなw お宝とか隠してたりしてー?ww」


「盗賊団の宝の隠し場所ってか? よし、気付かれないように近くまで行ってみるか!」




「洞窟に見張り……か? なんだろうな、本当に盗賊団のアジトか?」


「盗賊団にしちゃ、なんか服とかこぎれいすぎね? 前に取っ捕まえてやった盗賊は、もっとボロい服装だったじゃんw」


「まぁなぁ……羽振りのいい盗賊団なのか、盗賊じゃないのか……盗賊じゃなかったらなんなんだ?」


「俺が知るかよww お、別の仲間が帰って来たな」



『おい、中の奴らは逃げてねぇだろうな』

『流石にあんなボロボロの奴ら、逃がしゃしねーっすよ。出入り口もここしかないっすしね』

『そりゃそーか。にしても、今回は不作だったなぁ』

『そーすねぇ。んでも、あそこのデカイ屋敷で奴隷として使われていた女、かなり上物ですよ』

『上物っつったって、元奴隷じゃ叩かれるのがオチだろ……まぁ確かに見てくれはいいからな。出来るだけ吊り上げるしかねーな』

『あとは汚ねぇガキが2匹だけっすもんねぇ。前回は年頃の女が5人はいやしたからね、しばらく贅沢できてよかったんすけどねー』

『バカヤロー、あれだってお前がつまみ食いしなけりゃもうちょっと高値で売れたんだよ! ったく、好みの女がいたからって勝手に……』

『す、すんません。もう……その事は何度も謝ったじゃねーっすか……。それにちゃんと反省してるんすよ? 今回は全く手はつけてませんぜ!』

『たりめーだ! 売りモンに手ぇ出すバカがどこにいんだよ! ったく……まぁ市は今日の夜だ。夕方には連れ出すから、それまでもうちっと見張ってろよ』

『へーい』



「聞こえたか? カズキ」


「あぁ……盗賊団よりタチの悪りぃ奴らをみつけちまったみたいだな」


「なんだ、あいつら。気にいらねぇな、マジで。奴隷制度とか本気でありえねぇ」


「マサトは昔から奴隷とか嫌いだよなぁw 気にいらないならぶっつぶしちまえよww 王様にでもなって、奴隷制度自体をぶっ壊しちまえばいいんだよwww」


「王様とか、どーやってなるんだよw んでも、性に合わないのは確かだ。依頼受けてる訳でもないし、タダ働きんなるけど、中にいるさらわれたって人、助けていいか? 女の人1人と、子供2人だっけ?」


「お前がそうしたいならそうしろよw 俺らは2人で1人だ、もちろん手を貸すぜw」


「サンキュー! さーて、助けるのはいいとして、どうやって攻めるかねぇ」


「まずは敵の人数だよな。まさか2人だけってことはないだろ。普通に考えて中にも何人かいるはず。それをなんとかしねぇと、さらわれた人が危ねぇな」


「タイムリミットは、さっきの親分みたいなやつが帰ってくる夕方まで。あと5時間くらいってとこか。市って奴隷市みたいなことだろ? そこに連れて行かれたら助けるのは厳しくなる」


「だな。奴隷市自体も潰すのか?」


「本音は潰したい。けど、悔しいけどそれには情報も人手も足りないと思う……。殲滅魔法でもぶっ放して全て塵にするならできるけどな?w」


「おぉ、そりゃ簡単だw まぁ奴隷候補も売人も客も、周りの一般人も全て塵になるけどなw」


「そういう事だな。もっといろんな力を得てからだな。早まっても何も解決しない。それこそ1つ潰して全てなくなる訳じゃないしな」


「さっすがマサトサン、熱くなっても冷静な判断だなw やっぱり王様にでもなって統治するしかねぇなw」


「まだそれ言うのかよww だから王様とかどーやったらなれんだよww 士官でもして側近に上り詰めて現王謀殺か? 三國志のゲームかよってww」


「うはww おkwww 赤兎に乗って助けてやるから、桃園の誓いでも結ぼうぜwww」


「やめろww さーて、実際どーするよ。最終的にはスニーキングで斬り込むにしても、大まかな人数と、内部構造くらいは掴まないとどうしようもないなぁ」


「うーーん。内部の情報かぁー。いっそ捕まって中にご招待して頂くか?w」


「お、それ名案だな! ちょっと行って、捕まって来てくれよ!」


「へ?w いやいや、冗談だからww 真面目に考えなくてサーセンww マサトサン私を見捨てないでwww」


「見捨ててねーよw あのな………で、そんときは…………して、敵の…………………だよ。どうだ?」


「うへーw 捕まってみるかって言っただけで、よくそこまで思い付くなぁw ほんっと流石マサトだわw」


「たまたま思い付いただけだよw それよりもカズキの魔力コントロールが命だ。頼むぜ?」


「おう、任せとけww あ、魔力封じられたら俺っちどーすりゃいいの?w」


「そんときは残念だけど、2人して大暴れだな! 人質見捨てるのは気分よくないけど、助けを求められたって訳でもないんだ。仕方ない」


「だ、な。まぁ、俺とマサトが最速で暴れるんだ、助けることもできるかもしれないしなw」


「そーゆーこと! もしカズキの魔力が消えたら、問答無用で斬り込む。カズキも動けるなら暴れてオーケー。枷がキツイなら、入り口方面向かうか、その場で待機な。合流して2人とも無事なら、散開して大暴れ。どっちかが怪我してたら全力で逃げる。そんなとこかなぁ」


「んーーー、だな! 他は特に思い付くことは無いね。んじゃいっちょやりますか!w」


「応! 囚われのオヒメサマ救出大作戦だ!w」




「テメェっ! 何モンだ! こんな森の奥まで何しに来やがった?!」


「え、うわあぁぁぁw いや、なんもねーんです!w おっかぁのキズによく効く薬草がこの辺にあるってんで探しにきたんでぇ……w あ、あやしいものではないずらっww」


「どっからどー見ても怪しいだろ! おらっ! こっち来い!!」


「ひ、ひえええぇ、お助けぇ〜〜www」


「テメェも一緒に売っぱらってやるよ! 興味本位でこんな森の奥まで来たのが運の尽きだな! 男は買い叩かれるがまぁ若いからな、肉体労働要員で少しは値も付くだろ」


「イ、イタクシナイデズラーww」



「はぁ……なんだあの大根役者……。ずらってなんだよ、ずらって。てかあの見張りもアホだろ絶対」


 ま、作戦の第1段階は成功だ。こっからが正念場だぞ……。

 カズキの魔力を探って…………っと。

 よし、この魔力の動きで中の構造も少しはわかるだろ。

 魔力封じはされなかったみたいだな。まぁこんな場所をアジトに使うくらいだ、用意なんてないとは踏んでいたけどな。


 ふむ………。完全に止まったか、牢かなんかに着いたかな?

 カズキの立ち止まった回数は2回、分かれ道は2つか。思ったより少なかったな。

 お、魔力が高まってるな。

 回数は…………2回、か。牢の見張りは4人ね。

 途中の魔力の高まりは2回だったから、カズキが見付けた敵は4人、あとはさっきの見張りの奴で5人か。

 これならなんとか出来そうだな。

 分かれ道の奥にもいるだろうが、人質とカズキさえ助けたらあとはどうにでもなるしな。



「全く、あいつは何モンだったんだ……。捕まえたらヤケに大人しくしやがるし。まぁいいか、1人増えたんだ、褒美に夜の店でも連れってくれるかもしれねぇしな!へへっ」


 よし、見張りの奴が戻って来たな。配置が変わる前に急いで斬り込むか。


 ドンッ。


「ぁ………ぐ……」


「一応峰打ちだ、死にゃしないから寝てな」


 よし、次だ。


 中は……松明焚いてんのか、影に気を付けないとな。

 お、いたいた。相手の影も見えるから、注意さえしてりゃこの灯りも便利だな。



「……しっ!! と、これで3人目。あとは牢の前の2人か。あとは見張りの巡回にも警戒しとかないとな」



 いるな……。牢の傍に2人か。

 カズキと人質3人も一緒だな。


「お……w なーなー、番人さーん。おらハラヘッタだよーww」


「うるせーな、お前は! 静かにしてろっ!」


「だってー、朝からなんも食ってねーんでげすよーww」


「黙ってろって言ってるんだ! 殴られてぇのか!!」


「やーだーーー! はーらーへーっーたーーwww」


「いい加減にしろよ!! おい、ちょっと牢開けてくれ! こいつはちょっと教育が必要らしい」


「へへっ。程々にしとけよー? 傷だらけんなったら値が下がるからな………ほら、開いたぜ」


「はいw ごくろーさんww」


「なんだぁ何の話してん……だっ……….!」


「うがっ…………!」


「ほいっと。いっちょ上がり。あれ、二丁上がり、か?」


「いやーw さーっすがのおてまえでげすww」


「どんなキャラ作りだよそれ……ずらなのかげすなのかだけでも統一しろよ……。ほい、これで動けるだろ」


「あいあい、どーもw うし、お3人方も縄解くからおいでw」


「なん……で? おにーさん達、助けてくれるの?」

「助けなんていらない! どうせまた捕まるんだ!」

「…………………………。」


「はいはいw 子供がそんな斜に構えた言い方しないのーっとww ほら、これで自由だw」


「酷いな、こんなキツく手足を縛られて……よし、これで大丈夫だ。歩ける?」


「私は大丈夫……でも、このおねーさんは悪い人に叩かれてたよ…」


「あいつら最悪だ!! おねーさんは俺たちを庇ってくれたんだ!!」


「……………大丈夫。………慣れてるから」


「慣れてるって……どう言う………」


「マサト、質問は後だ。さっさとオサラバしよーぜ。分かれ道の奥は見れてねーからな、何人いるかわかんねー」


「そうだな、すまん。さぁ行くよ」




「なんだ、拍子抜けだなw あいつら油断しすぎだろ、見張り立ってるだけで、見回りもしてねーんじゃねぇの?w」


「まぁ無事に入り口まで戻れたんだ、奴らのサボりに感謝だな。さて、これからどうする? 近くの町にでも行くか?」


「う………ん、お前ら?! なんdがぁっ!!」


「誰も起きてない、うん知らないww」


「いたそー………」


「にーちゃんつえぇ! すげぇー!」


「君たち、名前は? 住んでた町の名前とかわかるかい? 送り届けるけど……」


「俺はダン! こっちはねーちゃんのラン!」


「………帰るとこ、ない……」


「マジかぁー。どうすっかなぁ、マサトなんかいい案ない?」


「うーん、とりあえずギルドで相談してみるか? あ、君の名前は? どこか連れて行って欲しいところとかある?」


「…………キリア。………私は奴隷ですので、帰るところなどありません」


「奴隷……か。そういえば奴らが話してたな。ちっ」


「いっそ5人で住んじまうか?ww がっつりギルドで稼げば、デカめの街で一軒家くらい借りれるだろうしww」


「またカズキは唐突にそんなこと………」


「みんな……家族になるの?」


「ねーちゃんと一緒に暮らせるの…? このおねーさんも一緒に?」


「おう! どうだ?w みんな一緒だと楽しいぜーww 奴隷なんかじゃない! みんな家族だ!」


「うれしい…っ! みんな、一緒!」


「お、俺! 俺もギルドに入りたい! 冒険者になるんだ!」


「お、ダンは頼もしいなぁーw よし、俺の弟子にしてやるよ!ww」


「キリア…さんはどう? 行くとこないなら、一緒に来ないか?」


「…………私は、この子達が幸せになれるのなら……」


「よし、しゃーないな! カズキの思い付きに乗っかってやるか!」


「さぁーっすがマサトサン! 話がわかるねっ!ww パパはマサトだなw キリアさんがママで、俺は長男かな?ww」


「兄貴って呼んでいい?! 俺、かっこいい兄貴欲しかったんだ!」


「パパ……って呼んでもいいの…? 私たちのパパになってくれるの……?」


「えぇ…この歳でパパはやめてくれよ……カズキー!」


「うわー! パパが怒ったーーwww」


「パパ怖いーー!!」


「あははっ! ママーー! パパが怒ったよー!」


「もうー……なんかカズキが3人に増えたみたいだ……はぁ」


「だははははwww ニヤつきながらため息ついてんじゃねーよw」


「うるせーよw」


「…………ふふっ」


「おw」


「ママが笑ったーー!」


「兄貴! パパとママが笑った!」


「キリアさん……。いいかもな、なんかこういうのも……」



『フレア・ボム』


 ジジジ……ドンッ!!


「え………………」


「………………いやあああぁぁあああ!!ダンーーーーーーー!!」


「誰だ!! マサト! キリアさんとランを!」


「人の家でいいように暴れてくれたな。タダで帰れると思うなよテメェら。『フレア・ボム』」


「パパああああああああ!! だめえええ!!」


 どんっ!


「え………?」


 ジジジ……ドンッ!!


「え……うそ……だ…ろ」


「ちっ! キリアさんこっち!! マサトおおお!! 動けええええええ!!」


「あ……え…………う………そ…」


「はんっ。ガキがいっちょまえに。そこの動けねぇバカよりよっぽど立派だなぁ! はっはっ!」


「ぁぁああぁあぁあぁああああ!!!」


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