表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王と勇者の異世界日記  作者: 塩とわかめ
-- 1章 サンクとキリア --
10/15

【10話】ユーリとミント

物語は進む……。

「………様。……ク様。」


 ぇ…………………。


「サンク様。サンク様」


「あ……え? キリ……ア?」


「はい。おはようございます。大丈夫ですか?」


「大丈夫……って何、が………え……」


「すごい汗です。デスクで寝てらしたみたいですし、うなされていたようで……」


「あ、あぁ。ごめん、変な夢…見てたみたいだ……。キリア、帰ってたんだね、おかえり」


「先程帰りました。はい、タオルと着替えです。シャワーでも浴びてきて下さい」


「……身体、いってぇ。そうするわ、ちょっと、目覚ましてくる」




「ふぅ。すっきりした。あらためておかえり、キリア。いきなりみっともない所見せて悪かった」


「いえ、こちらこそ留守中大変だったようで、申し訳ありません」


「いやいや! 全然そんなことないよ! 問題無かったよ!!」


「そうですか? それではもう1日ほど出かけさせてもら…」


「問題は無かったけど! キリアにはいてもらった方がいい!! ……かな。うん、それがいいと思うよ」


「ふふ……。珈琲です、どうぞ」



「あぁ………やっぱりキリアの淹れてくれる珈琲が1番だ」





「うーーん……それにしても、キリアがいるとこうも違うのか」


「サンク様、よろしいでしょうか」


「あぁ、大丈夫だよ」


「珈琲お持ちしました。あと、こちらの書類の確認をお願いします」


「ありがとう。すっかり落ち着いたな。キリアがいると、全然仕事の量が違うよ。どんなスピードでこなしたらこんなに減るんだ……」


「ふふ。留守中のこと、少しアルさんから聞きましたが、半分以上はいつも突き返してますよ」


「なん……だと?!」


「流石にあの量を、1人で余裕をもってはこなせませんよ。放っておくと、余計な仕事までこちらにどんどん回ってきますので……」


「そ、そういうカラクリだったのか……やられたぜ……」


「申し訳ありません。あらかじめ言っておけばよかったのですが……。まさか全て片付けて頂けるとは思っておりませんでした。お陰様で帰ってすぐ他の仕事にかかることができました。本当にありがとうございます」


「ま、まぁキリアがそう言ってくれるなら良しとしようか」


「昨日の件、ガンダ様とルナさん、それと先程アルさんから報告書が来ていましたので確認しました」


「うん。結局、原因はわからずってとこか……」


「はい。ただ、アルさんは、確実に何者かが裏で糸を引いているとの結論を出しておりましたね」


「まず間違いないだろうな。自然発生だと考えるのは、流石に人が良すぎる。王国に対する勢力の仕業か、俺に対する勢力か……はたまた魔王軍の牽制か?」


「どれも可能性は消えませんが、確証も持てませんね。現段階ではこれ以上は……」


「あぁ。昨日の規模では少なすぎるのも気にかかるけどね。その辺はアルとも昨日すり合わせしてあるから、あとはうまくやるだろ」


「そうですね。後手に回るのも癪ですが、どの程度先手を取られるかは、アルさんの手腕にお任せしましょう」


「お、いいねそれ。先手取られたら、君の責任だよ? ってプレッシャーかけておこうかなw」


「それで潰れるお方ではないのでしょう?」


「まーねw さて、昼からの予定が特にないようなら、久しぶりに城内でも見て回ろうかな?」


「えぇ、みな喜ばれると思いますよ」





「あー! おーさまー!」

「ほんとだー! おーさまー!」

「おーさまー、おはにちはー!」

「おはにちはー!」


「おはにちはー。って、もう完全に昼だからこんにちはじゃないのか?」


「あさも、おひるも、おはにちはーだよー!」


「こんにちは、サンクリード様。いつもすみません」


「どうもこんにちは。大丈夫ですよ、声掛けてもらって嬉しいですから。あれ……」


 なんか、見覚えのある面子が混ざってるんだが、気のせいだろうか……。


「むむー……これ、はどっ…ちな、の?」

「あーそれはですね、こっちにこう折って、それから折りたたんで、こうです」

「おー……アル、すご、い」

「アル殿、これはこうでいいのか?」

「えーっと、あぁ大丈夫そうですよ。そこが兜の角の部分なんで、丁寧にお願いします」

「ふむ。なかなか、繊細な、作業で、集中力がいる、な。帰ったらリンカにも教えてやらねば!!」

「がんださまー! それ、すごー!」

「かっちょいーー! すごー!」

「ふっ。そうであろう? 教えてやるから一緒にイチから折るか?」

「おるー! イチカラー!」

「折る…イチか、ら……ルナに、も教え…て」


「お、お前ら溶け込みすぎだろっ! 一瞬わかんなかったわ!」




「で、みんなしてなんで折り紙? てかこの折り紙どうしたんだ?」


「少し前に勇者殿が、子供達に教えていったらしいのです。たまたま3人で食事をした帰りに子供達に誘われましてな、ついつい夢中でやっておりましたわ。はっはっは」


「サン…ク様、知っ…てる、の?」


「あ、あぁ。ユーリとは幼馴染だからな。昔よく遊んだよ。まぁユーリは得意だったが俺はそこまでだったけどな」


「おーさまも、やろー!」

「とりさんー! むつかしー!」

「ある、すごー! おーさまも、すごー?」


「そうだな……みんなでやるか! キリアも一緒にやろうか」


「何やら難しそうですが……」


「そうでもないよ、折る順番が決まってるだけ…でっと……まぁ俺もあんまり色々は覚えてないけど………ほら、こんなとこか?」


「とりさんー! すごー!」

「とりさんー! かーいーー!」

「おーさまもすごー!」


「これは……すごいですね……」


「キリアもやってみなよ、みんなも一緒に」



「ここを……こう、ですか?」


「ん……こう…か、な?」


「あぁ、こうした方がイイんですね。こう、ですよね?」


「あ……ん…。むつ、かし…い。ルナ、ちゃん…とでき、てる……か、な?」


「わかってきました…。この状態で、こうすると……うまくイケるんです、ね?」


「キリ…様、上手……。ルナ、うま…くでき…な、い。もういっ、かい…シテみ…て?」


「えぇ、これをこうして…こうです。最初は軽く、優しめにです。慣らしてから、強めにしっかりと……はい。そんな感じです」


「ん……、んっ。イ、ケた…っ。キリ…様、すご、く上手……」


「いえいえ、最初はやはり気持ちよくはいかないものですね。慣れて最後まで出来るようになると、すごく気持ちいいですね。意外と達成感、みたいなものもありますし」


「う……ん。ルナは、もういっ…か、い、してみ…る」


「では、今度は私も手伝いますね?」


「おねが…い、しま……す」



「おぉ、キリアもルナも、うまく折れてるじゃないか。次は子供達にも鶴の折り方なら教えられそうだな」


「キリ…様に、教え、て……もら…った。ドヤ…ァ」


 く…っ。ドヤ顔で胸を張って上目遣いとか、破壊力ありすぎだろjk……。

 ぷるんぷるんと……くっ。カズキのやつ、ポージングまで教え始めやがった……! あいつ……GJ!!!


「そ、そういえば! ア、アルはなんでこんなに上手いんだ?」


「え? いやーなんですかね? ほなんか、どう折ったら、どうなるーっていう、イメージが、結構得意みた、い……でっと。ほら、守護龍です」


「「「すごーーーーー!!」」」


「し、職人クラスじゃないか……」


「流石新隊長殿だな。素晴らしい技術を持っておる……。俺も見習わなくてはならんな……この技術、剣の道に応用できんものか……」


 いやいやガンダさんよ、折り紙は剣の道には繋がってないだろ……。


「魔力、の…精密コン…トロー、ルも、アル…は1番、うま…い」


 魔力と折り紙も全然違うだろ……これで魔力コントロール上手くなるなら、日々の練習に魔撃団全員で折り紙とか追加されちまうぞ。わけがわからないよ!


「あー、確かに魔力コントロールと似てるところはあるかもしれませんねぇ」


「あるのかよ!!」


「あーいや、俺の場合、拡げた魔力をこう、目的の魔法の形に折り曲げていくイメージで詠唱するんですよ。ただ人によりますので、みんながみんな上手くはいかないと思いますけどね」


「ルナ…は、一点に、収縮……する、イメー、ジ。ぎゅわわわ、わーーん……かな?」


「隊長はそれであれだけの膨大な魔力を纏めきっちゃうんですから、俺からしたらそっちの方が天才ですよ……」


「ふむ、イメージかぁ。俺は…循環ってとこかなぁ。魔力が身体を巡っていくイメージだな」


「それもすごいですね。普通は何処かに纏め上げるイメージを行うのが基本とされていますからね、収縮にしろ、折り畳むにしろ。常に循環させるようなイメージは方向性が違いそうで、簡単な魔法でも俺にはうまく出来なさそうです」


「ふんっ! はっ!! む……剣の道をイメージしてやってみたら、折り紙が破れてしまった……」


 そんなに激しくやったら当たり前だろガンダ……。攻めの剣のお前のイメージには折り紙程度じゃついていけんよ……。


「がんださまー! へたっぴー!」

「わたしかぶとできたよー!」

「ぼくもできたー! がんださまーあげるー!」

「わたしのもあげるー! がんださますごー!」


「おう、これはすまないな。……どうだ? 似合うかな?」


「「「つよそー! すごーー!!」」」


「ははは。ガンダ意外と子供に人気じゃないか。確かにガンダが被ると強そうに見えるな!」



「あれー? おもしろそーなことしてるにゃー?」


「ミント様! どこに行ってたんですか?」


「昨日のことだよねー? ごめんね? 大事な時に留守にして。この人のお手伝いをしてたのですよー。だから、悪いのはアタシじゃなくて、この人ね?」


「いや、俺だって魔物が来るってわかってたら遠出してないってww」


「カズっ…ユーリ?! なんでユーリとミント様が?」


「いやちょっと、依頼片付けるのに手間取ってさw ミント様が暇してそーだったから、ちょろっと手伝ってもらってたのよww」


「はぁ……それで昨日は2人ともいなかったのか……」


「それはそーと、あれ? みんなで折り紙やってんだ?w なんだそれ!! 龍?! すげーーーwww」


「子供達に基本を教わって、俺が作ったんすよ。なかなかいい感じでしょ?」


「(カズキ、依頼ってキリアからの依頼か?)」


「(その話はあーとーでw)すげーな!w もはや折り紙のレベルじゃないだろwww」


「おもしろそーだねーそれ。さんちゃーーん、アタシにも教えてーっ」


「(絶対だぞ、カズキ)はいはい、んじゃみんなで手裏剣でも作って遊びますか!」






「ミント様もどうぞ。珈琲でよろしかったですか?」


「うんー。きりちゃんありがとねー」


「さて、と。そんなに睨むなよサンクww」


「……はぁ。んで、なんにも知らないのはこの中で俺だけだろ?教えてくれるのか?」


「申し訳ありません……。この件は、私の元に届いた一件の報告書が始まりです。『王都南部にて、奴隷市開催の可能性有り』という報告がアルさんよりあがってきました」


「なっ!! 奴隷制度は俺が全て廃止したはずだ……。闇市か……!」


「はい。可能性があるとすれば……。私の方でも、アルさんにもお願いして少し調べたのですが、中々尻尾を掴めず……。一応アルさんの最初の報告にあった奴隷市は警戒しておりましたので、未遂に終わらせることができたと思うのですが、それも確証はありませんでした」


「それで……ユーリが出てくるってわけか」


「そゆこと。俺も最初キリアさんに聞いた時は驚いたけどね。んでも、少なくともアルっちが気配に気付いてからは市は開催されてないはずだよ。王都での開催は警戒レベル上げたから、まず不可能。この辺りは王都に発展が集中してるからね、外で開催しても集客が見込めないだろうし、買いそうな貴族共を無理矢理王都外に招集したら、すぐにわかるしね。そこはまず安心していいよ」


「ホントに大丈夫なのか? 気付かないよう裏のルートをすり抜けた可能性は……」


「アルっちと俺が、本気で警戒網を張って? それをすり抜ける?」


「っ! すまない……。でも、闇市の可能性があったってことは、人攫いが……?」


「あぁ。そのルートを探すのに、俺だけじゃ範囲が広すぎて手が回らないから、ミント様に協力してもらってたんだよ。アルっちは流石に王都の警戒で手一杯だしね」


「苦労したわよー? なにせ市の開催と違って、誘拐はどこでも起き得るしねー?」


「それで、どうだったんだ! 見つけたのか?!」


「さんちゃん……」


「ふぅっ。……もうちょいってとこだよ。下手人は何人か捕捉してる。まだアジトは上手く隠されてるけど、時間の問題だ。あとはミント様の手を借りなくてもなんとかなるから、今日は一旦送り届けるついでに経過報告しにきたんだよ」


「その下手人を捕らえて吐かせればいいじゃないか! 今すぐ捕らえて…」


「落ち着けよ。こっちの方が確実だ。下っ端を捕まえるだけじゃ、尻尾切りで手掛かりを失うぞ。……わかるだろ、それくらい」


「っく……! でも! 何か今すぐ突き止める方法がっ! そうだ! ミント様ならなんとかできるんじゃないですか?!」


「そのミント様に手伝ってもらったからこそ、尻尾からアタマに繋がる可能性を掴むことができたんだ。いい加減にしろよ、サンク」


「さんちゃん……魔法も予測も万能じゃないわ。あとはゆーちゃんが上手くやってくれる。その為の布石は打ったわ」


「………わかっ…た」


「サンク様……。今はユーリ様に任せましょう。大丈夫ですよ」


「とりあえず報告は以上ってとこかな! んじゃ、俺は引き続き依頼に戻りますわーw」


「アタシも今日は寝るわねー。さんちゃん、きりちゃん、おやすみー」


「ユーリ様、ミント様、ありがとうございました。おやすみなさいませ」




「……………………………」


「サンク様……今日はもう、お休みになられて下さいね」


「………………あぁ。キリアも、休んでくれていいよ」


「はい…。では、おやすみなさいませ……」



 ……奴隷市……闇市………人攫い、か。

 くそッ。わかってる。頭ではッわかってるんだッ!

 気持ちの整理は得意なハズだろ! しっかりしろよ、俺………。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ