第52話
何はともあれ、無事に報酬を得ることができた。
「マリア、今回はあの『ぐひひ笑い』はしないのか?」
「な、なによ!『ぐひひ笑い』って?」
「それはだな、前回マリアが大銀貨を「あー、あー、あー、聞こえない!聞こえない!」
折角、オレが説明をしてやろうとすると、遮るように声を上げるマリア。
「何やの?『ぐひひ笑い』って?」
俺達の後ろから声がかかる。
振り返るまでも無く、声だけでわかる。
「それはだな、カレン。マリ「わー、わー、わー、何でもない、ナンデモナノヨカレン」
説明してあげようとする、俺の声を慌てて遮るマリア。
「う~ん、何や、気になるなぁ~?」
「べ、別に気にしなくていいのよ。
そ、そんなことよりカレン。
依頼のチェックは終わったの?」
「マリアってば、あからさまに、話題をそらしとるやん?」
「まぁ、そのぐらいにしておいてやれカレン。
マリアにも聞かれたくない黒歴史の、一つや二つや100個ぐらいあるんだよ」
「……さすがに100個はないわよ!」
「そうだな、38個だったな」
「って、何その具体的な数!
いったい何時、私の黒歴史をそんなに知ったのよ!」
「――いや、適当な数を言っただけだったんだが…
まさか当たっているとは…
すまなかったな。
でも大丈夫だ、安心しろ。
パッとオレが思いつくのは7個だけだ」
「な~んだ、適当に言っただけか……
なら安心――――って、全然大丈夫じゃないよ!
何で、私の黒歴史を7つも知っているのよ!
どうせ、また適当に言っているんでしょう!」
「じゃあ、当たっているか答え合わせをしてみるか?」
「いや、今言わなくていいから!
……あとで、こっそりね」
「ええっ、今やないの?
めっちゃ、面白そうだったのにぃ~」
「まぁまぁ、カレン。
マリアが言うには、あとでこっそりということらしいから…」
「違うよ!
後でこっそりって、『センセー』とだけであって、
そこにカレンは含んでいないからね!」
「ひどい!ウチだけ仲間外れにするん?」
「大丈夫だ、安心しろ。
そんなことはない」
「………『ベルメさん』――ウチは信じっとったで」
「お前だけではない、レオンも仲間はずれだ!」
「って、そっちか~い!」
さっきから、一言も喋っていないが、カレンだけでなく、レオンも一緒にこの場にいる。
そしてレオンよ、発言しないと居るか、要らない―――ゲフン、ゲフン、
居ないかわからないので、もう少し発言するように!
「マリアさんの黒歴史はともかくとして、『メガネさん』達も、依頼のチェックが終わったのなら、
そろそろ、採取に行きましょうか?」
俺が発言しろよ、と思ったからではないとは思うが、レオンが出発を促す。
「……だから、私の黒歴史の件はとりあえず忘れて、
お願いだから」
「せやな、いいかげん出発しよか」
「そうだな、いい加減出発しないと、出発するぞするぞ詐欺と訴えられかれないからな、
出発すると言ってから、何話経過したことか………」
「……『センセー』何言っているの?
出発するぞするぞ詐欺???」
「…気にするな、単なるメタ台詞だ!」
「わかったわ!気にしないわ!」
「って解るんかい!
二人の会話の意味がさっぱり解らんわ!」
「何言ってんだ、カレン
マリアだって、さっぱり解っていないぞ!」
「そ、なん?マリア?」
「ええ。『センセー』が何を言っているのか、さっぱり、全く、少しも解らないわよ」
「あれっ、でもさっき解ったって言ってましたよねマリアさん?」
「ああ、それね。
『センセー』が説明する気が無い事がわかったって意味よ」
「「へっ!」」
「え~とね、何かね、『センセー』が変なこと言ったときに、
あんな風に説明をはぐらかす時は、問い詰めても、まともな返答がないのよ。
なので、時間の無駄なので流すことに決めたの」
「「そ、そうなん」ですか」
「そう、そう、『センセー』とつき合うには、諦めが肝心ってことね」
あれっ、何かデジャヴュ?
まあ、いい。
「ほら、とっと行くぞ!!お前等!」
そして、俺達は、採取に向かうべく門へと向かったのだった。
―――なぁ、採取に向かったではなく、
門へと向かったって事は、門で何かがあるフラグだよな?
『そういうこと言うな!お前の命運は作者が握っていることを忘れるなよ!』
い、いや~、次回は遂にサイシュノタビニシュッパツカ、タノシミダナ(棒)
『………(主人公変えるか……でも、タイトルがなぁ……)』
本日中に活動報告に今後の予定をあげます。