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第45話

物凄い音量で、警告音が鳴っているにもかかわらず、姉弟は何の反応も示さない。


やはり、こちらの音は向こうには届いていない様だ。


って、それどころではない!


何だ!これは!


こんなのゲームに無かったぞ!


どうすればいい?

そして、どうなるんだ?


メガネにできることは………ない…か?


「あ~ぁ、もう、うるさい!

 静かにして!」


マリア(・・・)が叫んだ!


途端に、警告音も止まる。


「……開いたよ、姉さん」


やっぱり、この警告音はこちらだけに聞こえていたようだな。

さっきのマリアの叫び声も届いていないようだ。

そして姉弟の声が再び聞こえてきた。


「ほな、入ろっか」


「姉さん、念のため警戒を怠らないように!」


「わ~ってるって」


あちらは、こっちとは関係なく、姉弟のペースで事を進めている。

まあ、そうだよな、こっちの音は一切聞こえていないようだし。


そして、少し落ち着いて考えてみると、

あの警告音は、レオンの『ピッキング』に反応したものだろう。


これが現代世界なら、「セコ無」やら「有るソック」に連絡が行き、

警備員が駆けつけるのだろうが、この世界にそんなものは無い。


なので、室内に警告音を鳴らして、不審者が迫っている事を中の人にしらせる。

外に音が鳴らないのは、こっちが気づいていることを、相手にしらせない為……だと思う。


実際、外の姉弟は警告音が鳴った事にまったく気づいていない。


現代社会に置いて、防犯ブザーなどで大きな音を出して犯行を諦めさせるという効果は、

警察などの犯罪に対する組織があるならば、或る程度は有効なのだろうが、

こちらの世界のような所では、効果が薄いのだろう。


むしろ、何も警戒していない相手に不意をつける事の方がメリットがある為の仕様なのではなかろうか?


って、今はそんな考察はどうでもいい。

何よりも優先して行うべき事が俺にはある。


「おい、マリア!

 起きるんだ!

 こら!

 また寝ようとするんじゃない!」


そう、折角起きたマリアを二度寝させないことだ!


「う~ん、あと五分、むにゃ…」


あの警告音が鳴るまでは何の反応も示さなかったマリアが、寝ぼけているとはいえ、

反応をするようになった。


このチャンスを逃す手はない。

そして、メガネには、手は無い。


――――すまん。


「マリア、ベタなネタはいらない!

 起きろ!」


「う~ん、あと五年、むにゃむにゃ…」


「お前は、どんだけ寝る気だ!

 起・き・ろ!」


「う~ん、あと五光年、むにゃむにゃむにゃ…」


「待て!

 光年は時間の単位ではない、距離の単位だ!

 しかも、遠すぎるわ!

 一光年=9460730472580.800 km の5倍だぞ!

 お前は、何処に行く気だ!

 いいから起きろ!起きるんだ!」


「う~ん、あと後生、むにゃむにゃむにゃむにゃ…」


「お前は、このまま死んで生まれ変わるつもりか!

 それとも、あの世であうつもりか?

 ちなみに、「後生だから」というのは、

 「後生一生のお願いだから」のことで、現世・来世を通して1回だけのお願いの事だ。

 そんな大事なお願いをこんな事で使ってしまっていいのか、お前は!」


「う~ん、あと五行、むにゃむにゃむにゃむにゃむにゃ…」


「5

 4

 3

 2

 1 よし五行たったぞ!

 ふざけていないで、いい加減、目を覚ませ!

 そして、現状を確認しろ!」


「手抜きだ~、実質3行じゃないか~、

 私はやり直しを要求するぅ~」


「よ~し、それでは、マリア(おまえ)の人生をやり直すことにするか。

 ちょっと待ってろ、すぐに今回の人生を終わらせてやる!」


「キャア~、タスケテェ~、コロサレルゥ~(棒)

 って、約束どおり五行過ぎたので、ちゃんと起きますよ」


「………マリア、もう一度あの貼り紙を見ておくように」


「え~と、『「はい」は3回だ!』ね」


あれ?何を言ってるんだ?

最初はマリアがワザと言っていると思ったら、本当に貼り紙の内容が変わっている。


「あっ、あれね、昨日こっそり貼りかえておいたの」


いつの、間に………

マリア、恐ろしい子………

……じゃ、なくて。


「ねぇ、『センセー』

 ちなみに、私の今回の人生をどうやって終わらせるつもりだったの?」


こちらが、言うよりも先んじて、マリアが俺に問いかける。


「……そんなことを聞いてどうする?

 半分冗談だ」


「えっ、じゃあ半分は本気?」


「……今、本気が7割に増えた。

 もうすぐ、8割になる勢いだ!

 そんなことより、いい加減、しっかり現状を認識しろ!

 いつまで姉弟(あいつら)を待たせるつもりだ!」


「…そんなこと、……私の人生ってそんなことなの……

 えっ!

 なんで、カレン達が…………

 って、今日は採取に行く日じゃないの!!

 今、何時?

 何で起こしてくれないのよ『センセー』!!」


「そろそろ、7時になるくらいかな。

 そして、私は何度も起こしたぞ!

 疑うのなら、70行前ぐらいから読み直すがいい!」


「何よ70行前って、馬鹿な事言ってないで、早く準備をしないと、

 遅刻しちゃう!」

 

ちなみに、出発予定時間は6時30分ごろ。

もちろん、既に遅刻確定である。

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