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第40話

「アンジェラ様は、ガレフ様の所に行って来たのですよね?」


「…え、ええそうよ」


まさかこのタイミングで自分に話しかけられるとは思っていなかったらしく、

素のまんまで答えるアンジェラ。


「ひょっとして、その帰りにそのままこちらにいらしたのではありませんか?」


「そうですな、本来でしたら長旅でしたので、旅の垢を落としてから訪問するのが礼儀なのですが、

 何分、イーブリン様が、一刻も早くエルドレッドの所にと言う事でしたので。

 失礼かと思いましたが、イーブリン様と一緒にこちらに戻ってきたその足でこちらに伺いました」


主の事を思ってか、セバスチャンが恭しく答える。


「……やっぱり、あの街まで行って、戻ってくるには、馬車でも往復で一ケ月以上かかりますからね。

 だから、御三方とも、知らなかったんですね……

 父の……、エルドレッドの事は城に行けば解ります。

 近衛隊長のラインハルト様なら詳しく話してくれるでしょう。

 ですので、今日の所はこれでお引き取りを」


「ちょっと、私を無視するんじゃないわよ!」


「イーブリン様、この者も、このように申しておりますし、

 まさか、ラインハルト様の名前を出してまで、嘘という事もないでしょう。

 ここは、一度城に戻る事にしませんか?」


納得のいかない様子のイーブリン。

それを抑えようとする、セバスチャン。

2人の間でどうしていいか困ってしまい、おろおろするアンジェラ……だめじゃん。


「………わかったザマス。

 予想もしていない事が次から次へと起きて、

 流石の私も、疲れたザマス。

 今日の所は、いったん引き揚げるザマス」


「流石は賢明なる、イーブリン様。

 お嬢様も、それでよろしいでしょうか?」


「……、うむ、わ、妾もそうするのがいいと思っていた所じゃ

 よきに計らえ」


本当にそう思っていたのかアンジェラ?

まあ、突っ込むのはやめておいてやろう。

これ以上、話をややこしくしたくないからな。


「では、今日の所は、これでお暇いたします。

 また、後日改めて伺わせていただきます」


教科書に載せたいほど完璧な仕草で、頭を下げるセバスチャン。


一方、礼をするどころか、こっちを見もせずさっていく、師弟。

ある意味で、お似合いだよお前ら。



「はぁ~~ぁ、なんか凄く疲れたぁ~~」


3人が出て言ったのを見送った後、

溜息と共に、ノックアウト寸前のボクサーの様に、

倒れるように、椅子に座り込むマリア。


「いったい、何やったん?

 なんやら随分と偉そうな連中やったけど?」


「あ~、カレンよく来てくれたわ。

 今カレンから借金の申し込みがあったら、

 無利子、無期限、無担保で貸してしまうぐらい感謝しているわ」


「それって、感謝なのでしょうか…」


首を傾げる弟を無視して、身を乗り出して姉は言う。


「ほな、金貨10枚程貸してぇ~な」


「あら、残念。さっきの特典付きは5秒前に締め切ったので、

 今借りると、十日で5割の利子がつくわよ」


「あっちゃ~遅かってんか。

 って、十日で5割の利子って、どんだけやねん!」


「いいじゃない。

 どうせ、借りる気なんて全くないんでしょ?」


「せやな」


そしておもむろに見つめあい、笑いあう2人。


何が可笑しいのやら……。


「それはともかく、今日は随分と静かですね『メガネさん』」


レオンが俺に話を振ってくる。


「いや~ぁ、3話も喋っていなかったモノだから、何か恥ずかしい?

 というか、なんだかな~」


「……『センセー』あの張り紙の文字が見えます?」


マリアが壁の張り紙を指さす。

そこには、「メタ台詞禁止!」と書いていある。

 

「………俺が悪かった」 

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