第36話 第3章 開始
双子と出会ってから、2週間が過ぎた。
さて、例によって、俺のことで、解った事の報告だ。
と言っても、今回はそんなに多くの事はわかっていない。
何せ、あれから2週間、錬金三昧(いや、そんな言葉があるかは知らんが…)だったからな。
家から全くでていない。
立派な『錬金術師』になる前に、
立派な『ひきこもり』になってしまったようだ。
もちろん冗談だからな。――念の為。
さて、解った事だ。
1.ステータスについて。
マリアのステータスが見えるようになった原因はまだ確定していない。
だが、カレンのステータスも見える事が判明した。
あの出会いの日の翌日、早速その日の成果を届けに来た時、いきなりステータスが見えて驚いた。
そして、その直後、レオンのステータスが見られない事にまた驚く。
今現在もレオンのステータスは見る事ができない。
原因はまだ解っていない。
今後も追及していくつもりだ。
何となく目星はつけているが、まだ試していないので保留だ。
2.冒険者レベルについて。
手に入れた冒険者レベル3だが、これも効果ははっきりしていない。
なんせ、ず~~っと引きこもっていたからな。
ただ、カレンのレベルは4に上がっているが、俺のレベルは上がっていないようだ。
俺自身のステータスが見えないので確かな事は言えないが、上がった時は何らかの反応があると思われる。
マリアの錬金術レベルが2になった時は、反応があったからな。
こちらも要確認だ。
3.依頼掲示板の件。
この2週間ず~ 以下略
よって、何もわ 以下略
まあ、明日にでも採取に行くつもりなので、その際依頼を受けるつもりだ。
また『融合剤』も売りに行くので、その時に確認だ。
あれっ、解った事ほとんどなくねぇ?
カレンのステータスが見られる事。
レオンのステータスが見られない事。
この2つだけ。
しかも、一つは出来ない事が解っただけとか…
「オレこの2週間何やってたんだよ!」
――って錬金術してたんだよ!
まあ、正確には見ていたんだけどな。
「『センセー』さっきからなにブツブツ言ってんの?」
「あれ、俺声に出してた?」
「そうだよ。かぎかっこもついていたでしょう?」
「……マリアあの張り紙の文字が見えるか?」
俺がそう言うと、マリアが壁の張り紙を見る。
そこには、「メタ台詞禁止!」と書いていある。
「……ええ。「目指せ!カレンちゃん。甲子¥!」って書いてあるわ」
「そんなの、書いてねぇーよ!お前は双子の幼なじみの女子マネージャーか!
そのうち新体操とか始めるつもりか!」
「もう『センセー』ってば、軽い冗談じゃないの」
「(著作権的に)心臓に悪い冗談はやめてくれ」
「「俺に心臓はないけどな」ね」
くそ~、俺の台詞に被せてきやがった。
「ふっふ~ん、『センセー』ってばいつもそれだから、そろそろ、読めてきたわ」
「ふん、錬金術以上に口がうまくなりやがって……」
「あれっ、『センセー』錬金術の腕もあがったって認めてくれるんだ」
「まあな、順調に錬金術の腕があがっているからこそ、明日から採取に向かう訳だからな」
「へへ。『センセー』にそう言って貰えると嬉しいな。
いっつも、誉めてくれないから…」
「そんなことはないだろう、ときどき誉めてるぞ……心の中で」
「そこは、素直に声に出して言おうよ『センセー』」
そんな事、恥ずかしくってできるかって~の。
「それより、そろそろ姉弟が戻ってくるんじゃないか?」
「あー、話を逸らした~。
でも、確かに、そろそろそんな時間ね?」
コン、コン、コン
玄関のドアをノックする音が聞こえてくる。
「って噂をすれば、何とやらって奴だわ。
どうぞ、入って~」
いや、姉弟なら、あんなノックはしない。
「ちょっと待て」と言う前にマリアが返事をしてしまう。
あとで危機管理というものについて小一時間説教だな。
そして、扉を開けて入って来たのは…