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第26話

「じゃあ、マリア。

 まずは、依頼掲示板に行くんだ」


「えぇ、今から依頼を受けるの?」


「う~ん、ある意味では、正解だな」


「でも、私買い物だけと思っていたから、いつもの服だし、

 採取をしに行くにしても、何にも用意していないわよ」


「あ~、大丈夫、大丈夫。その格好で問題ない。

 別に街から出るつもりは無い。

 っていうか、ギルドからも出ないよ」


「????」


「ともかく、依頼掲示板に移動してくれ」


首を傾げながらも、掲示板に向かい移動を始めるマリア。


さ~て、都合よくお望みの依頼があるといいのだけれど……


掲示板には沢山の依頼があるようだ。


どれどれ


「 求む

  ナガラの森の『ユズ』最低20個 大銀貨1枚

  最大60個まで買い取り可能 60個で大銀貨3枚


 期限:6の月20日まで


 依頼人:七福亭  」


おっこれなんか手頃だな、採取に行く時にまだ依頼が残っていたら受けるのもいいかも。

他には


「 求む

  レッドドラゴンの鱗 金額:応相談(最低買い取り価格:金貨1枚~)

  上限なし 持ってきただけ全部買い取り。


 期限:無し


 依頼人:宮廷魔術師ナザール  」


な、なんだこりゃ、こんなの受ける奴いるのか?

まぁ、だから期限が無しなんだろうな。


ってお目当ての依頼は……


あれっ、あの依頼の所だけ、なんか妙に明るくないか?

まるでスポットライトでも当てたかのような…


とりあえず見てみるかって………ちょっと遠いな。


「マリア、もう少し右に移動してもらえるか。

 あの、右から4番目、下から3段目の依頼を見たいんだが…」


「え~と、右から4番目~の、下から3段目は~、ここね」


え~と、どうかな。


「 求む

  『融合剤』各色1本ずつの6本セット 単品不可 品質不問

  普通の6本セット      :大銀貨2枚 

  同一人物が錬成した6本セット:大銀貨5枚

 

 期限:5の月5日まで


 依頼人:穴蔵工房  」


「キタコレ!」


「ちょっと、何声出してんのよ!」


やば、またやっちまった。

でも、一番欲しかった依頼があったんだから、しょうがないじゃないか。


だが、周りからの変な人を見るかのような視線を感じ、悪かったかなと思わなくもない。

なにせ、マリアを見るということは、

必然的にその顔の一部と化しているメガネも変な人を見る目で見られるのだから。


本気でこの、思わず声をだしてしまう癖をどうにかしないといけないな………と思わなくもなくはない…かもしれない。


マリアが慌てて、人気のない所に移動して、俺に再び文句を言う。


「セ・ン・セ・イ、いい加減にしてくれますか。

 変な眼で見られる私の気持ちを考えてほしいわ!」


怒りながらも、大声を出さずに言うあたり、意外と冷静なのかもしれない。


「マリアが見られるという事は、メガネも見られるんだが……」


「『センセー』は相手の顔を見る時、相手のメガネに注目するんですか?」


「……すみません」


「最初から、そう素直に謝ればいいのに。これから、ホント―に気をつけてね」


「善処します」


「…まあ、いいわ。そんなことより、説明してよ」


「あ、ああ、そうだな。

 まずは、依頼掲示板に行った理由だが…」


「あっ、それは解ったわ。

 普通に窓口で売るよりも、依頼を通した方が高く買い取ってもらえる可能性が高いのね。

 『センセー』が見つけた程いい条件ではないけれど、幾つか普通に売るよりいい条件のモノがあったわ」


おいおい、あの短時間で、ちゃんと見つけていたのか。

大したもんだ。

増長するから、本人には決して言わんけどな。


「その通り。なので、ギルドに来た時は、何はともあれ依頼掲示板を見ておくことだ」


「はい。覚えておくわ」


「そして、『融合剤』はまとめて売りに行け という言葉の意味だが…」


「そっちはちょっとだけ解ったわ。

 まとめて売る方が高く売れるからなのね。

 でも、何でなの?」


「実は窓口で売るなら、多かろうが少なかろうが、品質が同じであれば売値に変わりはない」


「そうなんだ。じゃあ何で、依頼ではまとめて高く買い取るの?」


「うむ、そこだ」

 

「えっ、どこ?どこ?」


マリアが周りを見渡す。


「いや、そうじゃなくて…」


「……あっ、え~と、説明を続けて」


最初はからかわれているのかと思ったが、素で勘違いしたらしい。

あらやだ、マリアってば意外と天然。


まあ、いい。

ただ、説明を続ける前に。


「マリア、説明は後にして、とりあえず依頼を受けて解決しておかないか?

 まず無いとは思うが、こうして話している間に、あんなに条件のいい依頼を他に取られたらもったいない」


「そういえばそうね、絶対に無いとは言えないものね。

 先にそっちをすませましょう」


と言うやいなや、競歩の選手か!――と俺がツッコミを入れたくなる速さで依頼掲示板に向かった。


口では、他の人が先に依頼を受けてしまう可能性なんか、ほとんどないと言いながらも、

やはり心配だったようだ。


ちなみに、走らないのは、ギルド内で走ったら怒られる事を知っていたからだろう。

もしかすると、前科があるのかも?


ともかく、依頼を他の人に取られることなく無事に『融合剤』をお金に換える事ができた。

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