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第17話

何にせよ、浮かび上がる文字の原因は推測できた。


ヒントになったのは、[マリアとのシンクロにより、『錬金術』レベル1を獲得しました]のメッセージだ。


『マリアとシンクロ』からマリアがメガネをかけた事が原因であるのは明らかだろう。

今後、別の人物がメガネをかけたらどうなるか、ちょっと興味あるが、これはうかつに試す訳にはいかないな。


そして獲得した『錬金術レベル1』は、現在のマリア錬金術レベルと同じ。

マリアがレベルアップしたらどうなるのか――これは試してみればいいだろう。


そして、文字が浮かんだのは『融合剤』の中で『融合剤(緑)』だけ。

これは、唯一マリアが錬成に成功したモノだからと考えていいのではないだろうか。


但し、6本あることから、これは父親が錬成したか、購入してきたものだと思われる。

つまり、錬成したことがあるモノであれば、自分で錬成したものでなくてもよい…のかもしれない。


どうせこれから、緑以外の『融合剤』を錬成することになるので、その時に確認しよう。


もし、マリアが見た事のあるアイテムや、知っているアイテムも表示されるなら、

少なくとも『呪いの藁人形』は表示されないとおかしい。

――まあ、文字が表示される事自体がおかしいのだが、それはそれとして…


念の為、今後マリアが『融合剤』以外のモノを作成した際に確認することにしよう。


残る問題は、錬金術で作らないモノ。

材料はどうなるかだ。


だが、ここまでの考察から、マリアが関わったモノにのみ反応するだろうと予測していた。

触れただけでいいなら、『呪いの藁人形』にも何らかの反応があって然るべきだ。

よって、見た・触れた だけでなく、自分で採って来たモノに文字が浮かぶ筈と推測した。


案の定、文字が浮かぶ材料と、浮かばない材料があった。

そして、浮かんだもののみを読み上げて、マリアに確認してみた訳だ。


解った(と思われる)事をまとめてみよう。

・文字が表示されるモノ:マリアが作った事があるモノ。

              作った経験があれば他人が作ったモノでもよい?

             マリアが採取した事がある材料。

              採取したことがあれば他人が採取したモノでもよい?

・存在を知っているだけ、見たことがあるだけ、触れたことがあるだけのモノは表示されない。

・複数ある時は、数も表示される。

――って感じだろうか。


まだ、推測の域を出ない所もあるが、これから確認していけばいいだろう。


――でだ、この能力、何の役に立つんだ?


アイテムなら、見れば思いだすし、材料も同じく見れば解る。

実際、『融合剤』の材料で、文字が浮かんでいないモノの名前も俺は解っている。


――とりあえず、法則が(多分)判明しただけで良しとしておこう。


「よし、マリア最後の人形を見せてくれ」


「何が、よしなのよ。自分だけで納得して、こっちに説明はないの?」


「いや、俺も納得はしていないぞ。

 保留にしただけだ。

 よって、自分でも解らない事を説明しろと言われても、それは無理だな」


「……? まぁ、いいわ。人形はこれよ」


とマリアが指さす方向に、どこぞのショーウィンドウの中に置いてあるマネキンのような人形があった。


「マリア、もうちょっと顔を近づけて見てくれないか?」


「急に動きだしたりしないでしょうね?」


「カートリッジがセットされていないから、大丈夫だ………多分」


「かぁとりっじ?それと、大丈夫の後に『多分』とか言わなかった?」


「何の事かな?それより、ほらその人形の首の下、胸のあたりに何か差し込むようになっているだろう?」


「……まぁ、いいわ。確かに、何かを入れるようになっているわね」


「そこに『カートリッジ』を差し込むことで起動するんだよ、この人形は」


「じゃあ、あなたにはこの人形が何だか解ったのね?」


「ああ。この人形は『プラクティス・パートナー』だ」


「ぷらくてぃすぱぁとなぁ?何なのそれ?」


「一言で説明するなら、練習相手かな?」


「???もうちょっと解りやすく説明しなさいよ」


「そうだな、一人では練習しづらい事。

 例えばダンスの練習なんかは、一人でするより、パートナーがいた方がいいよな?」


「そうね、一人でステップの練習とかもできるけど、相手に合わせる事は重要だものね」


「でも、常に練習相手がいるわけではない。

 A:そうなんだよ、ボブ。どうしたらいいのか。

 B:そんな時にお勧めなのが、この『プラクティス・パートナー』さ。

 A:なんだい、この人形は?

 B:いいから、騙されたと思って、ちょっと一緒に踊ってみなよ。

 A:本当かい、こう見えて僕は結構ダンスが得意だよ。その僕についてこれるかな、この人形。

 B:この『プラクティス・パートナー』は初心者から上級者まで対応しているで、大丈夫さ。

 A:OH!本当だよ!これがあれば、一人でもダンスの練習がスムーズにできるね。

 B:そうさ、これがあればキミの悩みは全て解決さ。

 A:でもね、ボブ。実は最近、格闘技を習い始めて、その組手の相手も欲しいんだよ。

 B:それなら問題ない。実はこの『プラクティス・パートナー』はカートリッジ式になっているんだよ。

 A:カートリッジ式?

 B:そう、カートリッジを取り換えれば、ダンスの練習相手が、あっという間に組手の相手に早変わりさ。

 A:本当かい。それは凄いや。

 B:しかも、カートリッジは多数あるので、ゲームの練習相手が欲しい、なんて時にも対応できるのさ。

 A:至れり尽くせりじゃないか!

 B:そうだろう。どうだいアレックスこの『プラクティス・パートナー』欲しくなってきただろう?

 A:でも、こんなに多機能なんだ、きっとお高いんだろう?

 B:………」


「……………」


ひょっとしたら、新しい能力に目覚めたかもしれない。

どんな能力かって?

メガネをかけている、マリアの表情が浮かぶようになったんだ。

解るぜ、今、マリアは呆れた顔をしている……


すまん、新しい能力でもなんでもない。

ほんと、もう、色々すまん。

ちょっとばっかし調子にのってました。

反省している、けれど後悔は……無茶苦茶してるわ!

自業自得だけどね。

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