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僕とエウロパ
少し前に聞いた話
僕は惑星だと思った
恒星の周りをぐるぐると
ただ一定の距離と周期を保って
その光の恩恵を受け
反面見せない面もあって
僕が惑星だとしたら
君はエウロパなのだろうか
僕と同じようにぐるぐると
一定の距離と周期を保って
何故エウロパなのかと聞かれ
少し笑ってしまった
ああそうじゃない
君がおかしなことを言ったんじゃなくて
僕は僕の無意識に対して笑ったんだ
生物がいると言われる衛星
氷に覆われた海を持つエウロパ
他の衛星の引力に影響され
常にどこかが不安定なエウロパ
どうして君をそう喩えたのか
僕にとって君は恒星でもあるはずなのに
その輝きに焦がれ
時に背を向け
僕は君の引力によって動く
君はどうなんだろうと
いつも思うんだ
僕の周りを回りながらも
新しい何かに刺激され
見るたびに新しくなる君は
エウロパなのか それとも
「それは連星って言わないの」
君の問いに
僕はただ微笑む
(つかず離れず、依存しつつされつつ、しかしそれは定期的ではない)




