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朝の車窓(快速)
少し明るいグレーの空は、
心地よい鈍さを持った空。
垣間見える水色はいつもより薄く、
流れてくる音楽をそっと冷やす。
沁みていく冷たさは指先の温度。
不意にずれたイヤホンを直すときの温度。
どこまで下がっていってしまうのと、
泣き出しそうになった私に、
真白の太陽が微笑んだ。
欲しかったおもちゃを貰えたような感覚。
指先が暖まっていく懐かしい感覚。
ずっと前から焦がれていた人、
会いたかった人と、
ようやく面と向かって話せたときのような。
「大変長らくお待たせしました」