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「沈む」
それは、
常に重い感覚を伴い、
時折優しい抱擁を思わせ、
不意に微かな痛みを与え、
何処か暖かな安楽に導く。
だけど何故、足掻こうとするの。
だからこそ、足掻こうとするの。
深い方へと進む程、
流れに身を任せる程、
安楽と痛みが混ざる程、
心ばかりが苦しくなるの。
体ばかりが重たくなるの。
涙ばかりが溢れて来るの。
このままでいたくない、と
叫ぶの。
このままが楽なのよ、と
囁かれるの。
一体、どうしたら顔を出せるのかしら。
周りは無機質な液体。
掴まる手摺どころか、
手をつく壁、誰かの手すら、
無いと言うのに。
(高校の時に書いたモノ、そのまま)




