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レアチーズケーキを頂戴
一口もらった瞬間出会う
ひんやり伝わるその甘さ
なめらかに溶ける舌ざわり
後からサクッと追うクッキーに
一瞬で落ちてしまったわ
あたしが知ってるチーズケーキは
もっとずっしり重たくて
もっと濃厚に絡まってきて
満腹のときは遠慮するような
そんな存在だったのに
あなたに貰ったからかしら
普段は分けたりしないクセに
何を思ったかスプーンを差し出し
「食べてみなよ」って一言誘った
安易に食べたせいなのかしら
普段はそんなの断れるのに
その時飲んでた紅茶が苦くて
甘さを求めてしまってたのね
その時のんでた涙が痛くて
優しさに惹かれてしまったんだわ
どうしてくれるの
忘れられない
どうしたらいいの
もう一度欲しい
あなたは何とも思ってないのに
あたしはきっともう戻れない
赤紫のベリーソースが
真っ白な生地を染めていく
冷涼感をほぐすように
クッキーの中に温かな甘み
ああどうしよう
もう一口だけ
心惹かれるそのままに
「ねえ」と話を切り出して
(唐突な優しさに恋する話)




