プロローグ
街の店がクリスマス商戦に向けて準備をしだす頃、バイト帰りの青年はさっさと帰って就寝するために急ぎ足で歩いていた。大通りを抜け住宅地に入り、わけのわからない条例だかなんだかでやたらある公園を横切ろうとしたときに感じた不快な匂い。
これは…、血?
えもいわれぬ不気味さを感じながらも逃げずに原因を探ろうとしたのは、すでにそこに危険は無いだろうという楽観的な思い込み、今まで平和が続いたのだからこの先も続くだろうという安直な推測、そして、このまま分けもわからず帰っては不安が残るという好奇心に似たものからだった。ゆえに、普通ではありえないほど濃い血の匂いも、グチョグチョという不吉な音も、彼の足を止めることはできなかった。
音の発生源、悪臭の元、そこにある大きな黒い塊。
青年に気が付いた影は振り返るとさらに大きくなる。大きさは3メートルぐらいだろうか?大きな一つ目ににらまれた青年はこれが現実だとうまく認識できないでいた。趣味の悪い白昼夢のような、そんなふわふわした感覚。それでも、自分が今ここで死ぬという事だけはなんとなく理解していた。
黒い影がゆっくりと近づいてくる。
逃げようとすれば即座に殺されるに違いない。
それ以上に震えた足が言う事を聞いてくれない。
あぁ、これで人生が終わってしまう。
全てを諦めた時、背後から風が吹く。その風に乗って別の影が大きな影と交差する。生物だったものが物体に成り下がり、立つ意思すらなくなった巨体は大きな音を立てて倒れこむ。
その音が合図だったのかのように青年は、壊れていたからくり人形の歯車が突然かみ合ったかのような奇妙な動きで一目散に逃げ出した。
「礼くらい言っていっても罰は当たらんと思うのだがなー。」
場違いこの上ない呑気なセリフがその男を見送った。
この手のストーリーが好きだから書きはじめたが書ききる自信はまるで無い。死ぬまでに書き切れたら御の字。
そんなものを投稿するなよ。と、言う指摘もっともだと思うがせっかく書いたので投稿。