告白します。満目線
見切り発車だと痛感しています。
いつもブーケの配達に来ている女の子が気になり出したのはいつだっただろう。
エプロンにmeiと刺繍が入っているのを見てメイちゃん?っと聞くとはい!と返してくれた。
それからは一言二言会話をするようになった。
彼女の笑顔にいつも癒された。
もっと仲良くなりたい。
そう思っていた。
だから、仕事場で一番仲が良い月島博人が彼女と飲みに行くほど仲が良いと知って飛び蹴りをくらわせて言った。
「紹介しろ。」
「だ、誰をだよ!つうか尋常じゃなく痛て~!」
「メイちゃんだよ!メイちゃん!博人は俺のキューピッドになってくれるよな!」
「………メイ?あれは手強いぞ!好きだ~!って直球投げてもヒラリとかわされかねないぞ。満が頑張るって言うなら協力しても良いけど………今日の飲み会来るか?」
「行く!」
博人の紹介で念願のメイちゃんとの友達になることが出来た。
友達になれたんだから頑張って恋人までなってやる!
意気込んだが博人の言っていた事を実感する。
ヒラリとヒラリとかわされて全然響いている気がしない。
それでも、満君と呼ばれるだけで幸せになってしまう。
自分の中でメイちゃんへの想いが膨らんでいることすら嬉しくて幸せだった。
メイちゃんをデートに誘って断られた。
焦りすぎ?
メイちゃんが男と会うと聞いて驚いているうちに博人が来てメイちゃんと話始めた。
博人との会話でメイちゃんの回りに"わたる"と言う男が居ると解った。
メイちゃんが仕事に戻っていったのを確認して博人に近づいた。
俺の気配に怯える博人を壁際に追い詰めてゆっくりと左手を壁についた。
「………え?俺、今壁ドンされてる?」
「わたるって誰だよ。」
「亘君?メイの姉ちゃんの彼氏………婚約者。」
俺が黙っていると博人が小さく呟いた。
「メイの初恋の人。」
「なっ………」
博人は目をそらして言った。
「まだ恋愛的な好きかは知らねえよ?」
「どうやったら殺せる?」
「メイは姉ちゃんのマイさんの事が大好きだから亘君殺したらメイは確実に満を嫌いになるよ。」
「………」
「明日マイさんがここにドレス合わせに来るからメイも来る。亘君は後からこっそり合流するって言ってたよ。満………メイよりマイさんを納得させる方が難しいと思うぞ。」
博人のアドバイスは今のところハズレていない。
「明日だな。」
「………満!そろそろ解放してくれ!イケメンの壁ドンヤバイ!怖い。ときめきそうで怖い。」
博人は本気で怯えていた。
次の日メイちゃんとお姉さんのマイさんが来店したのを出迎えた。
「ようこそお越しくださいました。メイク担当の大神満です。」
「満君。そっかメイク担当だって言ってたもんね。」
メイちゃんは優しい笑顔を向けてくれた。
よそ行きのメイクも可愛くて俺も笑顔をつくった。
「メイの知り合い?」
「ヒロ君の紹介で友達になったの。」
「イケメンだね!彼女いる?」
「いません。」
「そう………」
俺は二人をドレスの部屋に案内した。
色々なドレスを二人は目を輝かせて見ている。
「お姉ちゃん!これ可愛い!」
「Airaは可愛くても高いから駄目。亘がそんなにお金出してくれるとは思えない。」
俺はメイちゃんの手にしているドレスを預かると言った。
「タダで良いですよ。メイちゃんのお姉さんなら俺に任せてください。」
「いやいや、大神君!流石にAiraは……」
「Aira、実は俺の親父なんです。だから気にしなくて大丈夫です。」
「「!?」」
「Airaがおっさんだとショックですかね?すみません。」
俺の言葉にメイちゃんのお姉さんはクスクス笑い言った。
「大神君!期待しちゃうぞ!」
「どうぞどうぞ。」
その後メイちゃんのお姉さんが軽くお腹に手をあてたのが目に入った。
俺はかなり驚いた顔をしてしまった。
「お姉ちゃん!これなんてどう?」
メイちゃんの持っているドレスはプリンセスラインのドレスだった。
「メイちゃん、駄目だよ。妊婦さんにはお腹にゆとりのあるドレスにしないと。」
「………え?」
「………大神君………まだ誰にも言ってないの。」
「!?………すみません。俺 」
メイちゃんのお姉さんはクスクス笑い言った。
「良いの良いの!昨日解ったばっかでね!メイにいつ言おうかな~って思ってて大神君鋭いね!」
「仕事がら結構その手の花嫁に会うので………幸せが二倍ですね。」
「………うん。大神君良いやつだね。」
メイちゃんのお姉さんはメイちゃんに手招きした。
メイちゃんは驚きを隠せないようだったがお姉さんに近づいて優しく手を握った。
「亘君にも言ってないの?」
「うん。メイに先に言おうって決めてたしね。亘は後で良いよ!メイ、喜んでくれる?」
「勿論だよ!満君ありがとう!お姉ちゃんのドレス失敗しなくてすんだよ!」
「うん。良かった。」
俺が笑うとメイちゃんも嬉しそうに笑ってくれた。
その時ドアをノックする音の後男の人が顔を出した。
「亘君?」
「もう決まっちゃったか?」
「………亘仕事は?」
「抜けてきた。」
「亘にはこれから馬車馬のように働いてかせいでもらわないとなんだから仕事戻ったら?メイとの大事なデートなんだから邪魔しないでよ!」
「マイ酷くない?二人の事なのに!」
メイちゃんのお姉さんはお腹を撫でながら言った。
「二人じゃなくて三人になっちゃった!」
「?メイちゃんも俺の奥さんになる?」
「メイに手を出した時点で殺す!」
「じゃあ………」
「赤ちゃん出来ちゃった!」
目の前でフリーズした男はメイちゃんの方を見た。
「マジで?」
「マジだよ!亘君お父さんだね!」
男は飛び上がるとメイちゃんのお姉さんを抱き締めた。
「マイ!世界で一番愛してる!」
「私はメイが一番だけど!」
「………うん。マイはそう言うやつだよな。」
俺はメイちゃんの横に移動するとメイちゃんに言った。
「お姉さん幸せそうだね。」
「私も幸せ。ありがとうね満君。」
メイちゃんは涙をポロポロこぼしていた。
「メイちゃんメイクが、とれてパンダだよ。」
「ギャー!」
「俺が直してあげる。メイちゃんのお姉さん!メイちゃんメイクしてきて良いですか?」
「うわ、メイ酷いよ!やってもらいなよ。」
「うん。満君ごめんね。お願いします。」
俺はメイちゃんの手を引いてメイクルームに案内した。
俺はメイちゃんにクレンジングでメイクをすべてとるとフェイスマッサージからスキンケア、ナチュラルに見えるようにメイクをほどこした。
「リップぬったら完成。」
「か、可愛い。」
「もとが良いからね!メイちゃん、少しだけ口開いて。」
俺はメイちゃんの唇にリップをぬり、そしてキスをした。
「へ?」
「ごめん。可愛すぎ。」
メイちゃんは可愛く耳まで真っ赤になった。
「なんで?」
「好きだから。俺はメイちゃんが好きなの。俺をメイちゃんの彼氏にしてください。」
メイちゃんは驚いた顔をしてフリーズしてしまった。
「メイちゃん、好きだ。」
「それは………れ、恋愛的な意味合いですか?」
「勿論だよ。メイちゃんが俺を少しでも好きなら付き合ってほしいと思ってます。」
「………す、末長くよろしくお願いします。」
メイちゃんは真っ赤な顔を少しだけうつむかせてそう言ってくれた。
俺はそんなメイちゃんの頬を両手ではさんで上をむかせてさらにキスをした。
深く深くキスをするとメイちゃんは色っぽい息を吐いた。
「メイちゃん可愛い。」
俺がさらにキスをしようとしたら後ろのドアが勢いよく開いてさっきの男が入ってきた。
「うちの子に手を出すとは許せん!」
「わ、亘君お父さんみたいになってる。」
「メイちゃんと付き合いたいなら清い交際をだな…」
俺は彼に笑顔を向けた。
「結婚式の前にはらませてる奴が清い交際とか笑えますね。」
「うっ!」
「………亘の負け!大神君メイをヨロシクね。」
メイちゃんのお姉さんはニコニコそう言ってくれた。
「命に変えてもメイちゃんを大事にします。」
「良かろう!」
お姉さんは偉そうにそう言った。
俺はお姉さんに認められたのが嬉しくてメイちゃんを抱き締めた。
「ってマイ!良いのかよ!」
「じゃあ亘はこの先、このイケメン以上のレベルの男がメイを欲しいって言って来ると思ってんの?亘レベルならまだしも満君レベルはそうそう居ないよ!」
「マイ………なんだか悲しくなって来たよ。」
お姉さん達の夫婦漫才を見ながら俺とメイは笑いあったのだった。
次で終わりです。