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トリック・オア・トリートな朝



「トリックオアトリーーーーーット!」


「っ?!」


ったく!なんっだよ朝っぱらから!


夢からべりべりっと剥がされるような

心地で起こされた。

おれが最も機嫌を損ねる起こし方だ。


「お菓子をくれなきゃ

イタズラしちゃうぞー!」


朝からこんなにハイテンションなのは

おれの知ってるなかであいつしかいない。

ていうか、同じ部屋のあいつしかいない。


ったく、なんでわかんないかな、

おれがこういうの大嫌いだってこと。

もうルームメイトになってから

3年になるんだぜ…。


「うるっせえだまれアシュメル!」


巻き舌気味に言うと、

おれは枕元の杖をひっつかんで

アシュメルに向けた。

調子乗ってっと痛い目みるぞ。


「これでもくらえっ」


「トリックおあっっ。

おわっ、な、なにふんだお、

なうみっわきゃやろおおっ」


「はっ!お望みどおりくれてやったぜ」


アシュメルは口いっぱいに

キャンディをつめこんだ状態で

目をしぱしぱさせながら

おれに訴える。


「だあらっておれわないあろぉっ」


「残念!

なんて言ってんのかぜんぜんわかんね!」


盛大にからかってやると、

アシュメルはビッとおれに杖を向けた。


とたんに、舌がまわらなくなる。

なんだこれっ。…くそ!キャラメルか!

タチ悪いぞアシュメル!!

しかも歯がぬけそうなくらい粘着質!!


…っていうかおれ、

甘いもの苦手なんだけどっ…!!



やばい、はきそう。


アシュメルはキャンディをいくつか

まるのみしてしまったらしい。

もがもがいいながらトイレに急ぐ。

そうはさせねえ、おれが先に行くっ!


「なうみやめお!!

しにそうなんあよオレわっ!!」


「うるちぇえ!!おれでゃって

あとちゃんびょうで吐いちみゃう!」


くっそぉしゃべれねえ!


トイレの取っ手に手をかけると、

なんと鍵がかかっていた。

ああ?!なんでだよ!この部屋には

おれとアシュメルしかいないはずだろ…


ふたりしてダンダンドアを叩くと、

中からくぐもった声が聞こえた。

くつくつと陰気な笑い声。


「トリック、オア、トリート?」


…はぁ?!ふざけんな、ゴーストかよ!



「「 FUCK!!!」」


今日はなんて日だ!



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