激怒
ボッサンとユオはバスの爆破を食い止めた。
そしてフェラーリも持ち主に返した。
その日の午後
ラッキーデカ長は、暴力団“雲黒星”の事務所にいた。
組長の部屋
「久しぶりだな、拳」
「どうしたラッキー。ウチの組に入りたいんか。幹部にしてやるぞ」
その男は、ソファーにふんぞり返って、タバコの煙の輪っかをラッキーデカ長に飛ばしながら言った。
「遠慮しとくよ」
その輪っかを払いながら答えた。
暴力団“雲黒星”の組長、拳。
その昔、拳が他の組の鉄砲玉に撃たれて、死にかけていたのをラッキーデカ長が助けたのである。
ラッキーデカ長は拳に聞いた。
「最近、手榴弾で遊んでる奴がいるんだけど、知ってるか?」
「あ~、知ってるぜ。お前んとこの便所を吹っ飛ばしたんだって?」
「その犯人は、お前の組の若い衆の名前をかたって、手榴弾買ったんよ」
「そうらしいな。」
「若い衆の名前かたられて腹立ってるだろ?」
「何が言いたい!」
「その手榴弾野郎を探してくれよ」
「俺に、サツの犬になれってのか!」
思わず立ち上がる拳。
「昔、助けてやったじゃないの」
「相変わらずアンラッキーな奴だな。お前は!」
ソファーに座り直してしばらく考えて
「若い奴らに当たらせるよ。これで貸し借り無しだ。いいな!」
「恩に着るよ」
捜査1課の部屋
「いや~、危なかったな。俺様のドライビングテクニックがあったから、間にあったんだな」
「ラッキーデカ長のGTRがあったからでしょ?しかも壊してるし。2台目だし」
「あ~ん?何言っちゃってくれちゃってんの?
1台目はマフィアが壊したんでしょ?2台目は、壊したんじゃなくって壊れたの!
さっき言ったろ~?人の話聞いてる?
あれ位の走りでオーバーヒートするようじゃ、ラッキーデカ長のチューニングの腕もまだまだやの~!」
「誰がマダムヤンだって!」
ボッサンの後ろで仁王立ちするラッキーデカ長。
「ラッキーデカ長~!どこ行ってたんスか。」
「ちょっと野暮用でな。それより、バスに爆弾仕掛けた奴、運転手は見てないんか?」
ユオが手帳を出して読み上げた。
「運転手が言うには、池袋で発車待ちしてる時に、一番最初に乗り込んで来た男が、出発前に降りたんだって。
で、出発時間が過ぎても戻って来ないんでバスを発車させたって。」
ホヘトが聞いた。
「そいつの特徴は?」
「身長165㎝位、痩せ型、ジーンズにパーカー、野球帽にメガネ」
ボッサンは考え込んだ。
「メガネ‥」
川口警察署の裏に停まっている黒いバン。
中で、捜査1課の会話を盗聴している。
「よくも俺の爆弾を解除しやがったな!この代償は高いぞ!誰かの命と引き換えだな!クックックッ」
翌日
朝8:00下北沢の住宅街。
ホヘトの一戸建ての家。
ホヘトは書道家の奥さんと2人で住んでいる。
ドアが開いてホヘトが出て来る。
「行って来ま~す」
愛車、アルファロメオ ジュリエッタスーパーに乗り込む。
「今日は素直に掛かるかな、ジュリエッタちゃん♪」
キーを差し込み、セルを回す。
轟音とともに、アルファロメオは爆発!!
ボンネットが吹き飛んだ!
閑静な住宅街にその音は響き渡った‥