シェイクダウン
翌日の川口警察署
爆発が起きたトイレの現場検証は終わった。
幸いトイレの中だけの被害に留まった。
犯行に使われた清掃会社の車は盗難車で、近くの空き地に乗り捨てられていた。中には作業服と台車が残されていた。指紋は検出されなかった。
そして、破片手榴弾のM67を買い込んだのは、青井に成りすました犯人の仕業だと言う事がわかった。
今は、ラッキーデカ長の葬儀の準備でてんてこ舞い‥‥
にはならなかった。
ラッキーデカ長が、トイレから出た直後に爆発して、トイレのドアが吹き飛んだ。
文字通り、ラッキーなデカ長である。
捜査1課の部屋
「まったく、ナメられたもんだな。これで2回目だぞ!」
ボッサンはイライラしながら言った。
「警察の面目丸つぶれ」
ホヘトは腕組みをしながら言った。
「だけど、ラッキーデカ長が無事でよかったっスね」
モリモリはニコニコしながら言った。
「日頃の行いがいいと、神様に助けてもらえるんさ」
ラッキーデカ長は都合が良いように言った。
「ラッキーデカ長。爆弾魔見たんすか?」
ボッサンはラッキーデカ長に聞いた。
「帽子を深くかぶってたから、顔は分からんかったけど、髪は長かったな。後ろで束ねてたから」
「この一連の事件、青井に成りすました犯人の仕業っていう事は、警察の情報が洩れてると言う事だ」
「警察が一番最初に疑いそうな奴に成りすましたって事ッスよね」
「まさか!警察のコンピューターがハッキングされた?」
そこへ鑑識班のバンが入って来た。
「うぃ~っす。1階のトイレで爆発したのは、ご存知M67破片手榴弾。キッチンタイマーに連動させて安全ピンを抜いて、M67を3個爆発させやがった」
「3個もかい!あぶねーあぶねー。」
「犯人の手掛かりは、ボッサンに恨みのある奴を片っ端から当たるしかないね。」
「せいぜい頑張りな。クックックッ」
ノートパソコンを閉じながら笑う犯人。
翌朝10:00 川口警察署の捜査1課
ラッキーデカ長のデスクの電話が鳴る。
「はい、こちら捜査1課」
「一度しか言わないから良く聞け。
東京交通の池袋9:00発仙台行きの高速バスにM67を4つ仕掛けた。
11:00に爆発する。乗客が死んだら、荻野目、お前のせいだ。助けたかったら急いだ方がいいぜ。クックックッ」
「おい!おまえ‥」
電話は切れた。ボイスチェンジャーで声を変えていた。
ボッサンは時計を見ながら言った。
「池袋から1時間!もう高速に乗ってるな!」
「あと1時間か!」
「モリモリ、バス会社に連絡して、バス止めてもらえ!」
「了解ッス!」
「仙台だと、東北自動車道か!浦和から乗って追っかけるぞ!そういえば、岩槻の高速隊にR34のGTRがあったな!それを借りるか!」
部屋から飛び出そうとするボッサンにラッキーデカ長は声をかけた。
「うちにもGTRがあるよ、ボッサン!」
以前からコツコツとチューニングを進めていた、このR32のGTR、もちろんパトカーである。
前回、みんなが香港に行ってる間、暇つぶしで仕上げていたのだ!
「バスの特徴は、無線で知らせるから、シェイクダウンも兼ねてこれで行ってくれ!」
ラッキーデカ長はGTRのキーをボッサンに渡した。
「わかった!ユオ、いくぞ!」
「はいは~い。」
2人がGTRに乗り込みエンジンをかけると、120パイのマフラーから野太い排気音が唸りを上げる!
そして、タイヤのスキール音と爆音を残して、フル加速で署を出て行った‥