困惑
青井 剣。26才。暴力団“雲黒星”の構成員。
今回の爆弾事件の最有力容疑者である。
2年前に、自分の彼女を小包爆弾で殺害しようとして失敗。手榴弾が不発に終わって、殺人未遂で逮捕された。
先月出所して、殺害しようとした彼女のアパートに転がり込んでいる。
男と女とは、分からないものである。
ボッサンとユオは、青井が転がり込んでいる彼女のアパートにやって来た。
ボッサンはチャイムを押す。
「ピンポーン」
しばらくして、ドアの向こうで叫んだ!
「誰だ!てめえは!」
「警察だ」
ドアを開けて顔だけ出して
「警察だと~?ふざけるな!」
「別にふざけちゃいないよ」
「とぼけるな!」
「とぼけてもいないさ」
「じゃあなんだ!」
「だから警察だって」
「警察だと~?ふざけるな!」
ユオがあきれて言った。
「もういいよ」
「聞きたい事がある。俺の顔、覚えてるか?」
「あ~ん?てめえの顔なんざ‥あれ?どっかで見た事が‥ どこだっけ?」
「自分をムショに入れた奴の顔、忘れたんか」
「あー!てめえは!俺をパクった奴!コノヤロウ!ぶっ殺してやる!」
「邪魔したな」
ドアを閉めてパトカーに戻るボッサン。
「もっと聞かなくていいの?ボッサン」
「あいつはシロだ。あれが演技なら、ノーベル賞もんだ」
「アカデミー賞でしょ。」
「・・・」
所変わって
オカマバー
“マリリンの部屋♪”
ここのママが、裏社会に詳しいとボッサンに聞いて、ホヘト・モリモリの‘山賊コンビ’がやって来た。
「ボッサンのお友達ってあなたたち?」
腰までスリットが入った赤のチャイナドレスを着た、スタイル抜群の美女、
いや、オカマのマリリンがピンクの扇子であおぎながら言った。
ホヘトは答えた。
「はい。あの~、手榴弾ってどこかで手に入ります?」
「あら~♪いい男♪私と本気で付き合わない?」
と言ってホヘトの腰に手を回す。
「ちょっと、あの~、手榴弾なんだけど」
「手榴弾なんていいじゃない。こんないい迫撃砲持ってるくせに~♪もりもりちゃんお久しブリブリ♪」
いきなりおっぱいが後ろから抱きついて、モリモリの股間をムギュ~!
「うほ~♪そこはちょっと~、ってゆ-か、おっぱいちゃんどっから湧いて出たんスか!」
マリリンは2人に言った。
「奥で話しましょ♪」
4人で奥の部屋に移動する。
「さ、て、と。手榴弾でしょ?闇の売人に頼めば手に入るわよ」
ホヘトは手帳を出してマリリンに聞いた。
「最近、手榴弾を買ったって言う話聞きません?」
「あ~、聞いたわよ。手榴弾を買い込んだ奴がいるって。たしか、M‥」
「M67!」
「そう!それそれ!」
「誰が買ったんすか?」
「暴力団“雲黒星”の青井って奴が買ったって言ってたわ」
「やっぱりアイツか!」
そして
川口警察署
その清掃員は、清掃道具が詰まった台車を押して、1階のトイレの前で止まると、辺りを見回して紙袋を持ってトイレに入った。
しばらくして、その男は出て来た。
そして、台車を押して来た道を帰って行く。
そこに2階から、ラッキーデカ長が走って降りて来て、危なくぶつかる所だった。
「おっと~。あぶねえな。ちゃんと前見て歩け~。それは俺か」
清掃員は帽子を深くかぶって、サッサと行ってしまった。
「まったく、最近の若い奴は言葉もしゃべれないんかい!おっと、そんな事よりトイレトイレ」
清掃員が出て来たトイレに入る。
「ったく。2階のトイレ、なんであんなに混んでんだよ。あ~あ。北の~♪酒場通りには~っと♪」
清掃員が清掃道具をバンに積み込んでいる後ろで、鈍い爆発音と地響きがして川口警察署の1階の窓ガラスが吹き飛んだ!そして窓から煙が立ち上がった。
それを見て清掃員は、ニヤリとしてリアのハッチを閉めた。
そして車に乗り込むと、警察署を後にした。