隣人
いけっちは手榴弾の安全ピンを抜いた!
「おい!早まるな!」
ボッサンがジリジリと迫っていく。
いけっちは後ずさりして、ドアの前まで追い詰められた。
そこに、ラッキーデカ長たちのパトカーが到着!
「な~んだ、ボッサン来てたのか。言ってよ~」
「また~、1人でカッコつけちゃって~」
「そうッスよ。美味しいところ全部持ってっちゃうんスから~」
「バ~カ、違うんだよ。こうやって時間稼ぎして、お前ら待ってたんだろ~?」
ボッサンたちに声をかけるいけっち。
「おい」
「ボッサン。連絡くれないと、犯人に捕まったんじゃないかって心配するじゃない。ま、うそだけどね。フフ」
「ヒドいな~、ラッキーデカ長」
また声をかけるいけっち。
「おいっ」
「大体ボッサンは、スタンドプレーばっかだからな~」
「は~?ユオ何言ってんの。俺位、連携を考える奴っていないでしょ」
たまらず怒鳴るいけっち。
「おい!てめ~ら!」
ボッサンたち4人は池谷を見る。思わず輪になって話し込んでしまった。
池谷が怒るのも無理もない。
「4人まとめて吹っ飛ばしてやる!」
池谷が手榴弾を投げようとした時、池谷の後ろのドアが開き、隣人の学生オヴェが出て来た。
池谷の手榴弾を投げようした手がオヴェの目の前に来たもんだから、思わずつかんだ!
「え?」
「お?」
「お?」
「お?」
「お?」
オヴェは、池谷の手の手榴弾をヒョイっと取ってしまった!
「これは っと破片手榴弾M67、最強のグレネードじゃないですか。」
「返せ!それは俺のだ!」
池谷の伸ばした手をヒョイっとかわして
「あ、池谷さん。これ、あなたのなんですか?」
「そうだよ!だから返せ!」
池谷が伸ばす手を、またヒョイっとかわす。
「こんな物騒な物、よく持ってましたね。しかも安全ピンが抜けてるじゃあないですか。安全ピンはどこですか?」
「ここにあるよ!」
池谷が左手で出した安全ピンを、またまたヒョイっと取った。
「あ」
そしてクルッと後ろを向いて、またクルッと前を向く。
「はい、入りました。」
「ふざけたマネしやがって~!」
池谷の手をヒョイヒョイかわしながら、
「この手榴弾、池谷さんに返したらマズいパターンですね。と言う事で、刑事さんパス」
オヴェが投げた手榴弾は、池谷の頭を越えて行き、ユオの手の中に落ちる。
それを取ろうとした池谷の手に、ボッサンが手錠をガチャリ。
「御用だ!」
画して池谷は、一般人の協力のもと、逮捕された。
ー1ヶ月後ー
下北沢救急病院
ホヘトのベッドを囲んで、ラッキーデカ長、ボッサン、モリモリ、ユオ。枕元には、書道家の奥さんがいる。
ボッサンはホヘトに言った。
「しかしホヘト、よく生きてたな。絶対死んだと思ってたよ。奇跡は起きたね」
「ほんとッスよホヘトさん。てっきり死滅したと思ってましたもん」
「人を絶滅危惧種の動物みたいに言わないでよ、モリモリ」
ラッキーデカ長は言った。
「ホヘト、早く傷治して戻って来~い」
ユオも言った。
「待ってますよ~。」
「全力で治しま~す。」
「無理すんなって。ゆっくり治しな」
「どっちなんすか」
「ま~、どっちでもいいや」
「え~」
「フフフッ」
奥さんが枕元で微笑んでいた。
ってなわけで、和やかに終わるのであった。
END




