ガラス...それは... [千文字小説]
篠宮さんから頂いたお題小説。
「ガラス」がお題であり、出来は・・・。
うん、よろしくお願いします。
ガラス。 ―――それは、澄み切った透明なものを示す。
ガラス。 ―――それは、脆くて頼りないものを示す。
そう、僕と君はガラスと同じ…。
――●――○――●――○――●――○――●――
僕は純粋な君に惚れた。
僕は透明で汚れのない君に惚れた。
君という存在を知れば知るほど、奥の見えない魅力に惹かれた。
僕は君が大好きだ。
だけど、そんな僕はどうだろうか?
澄んだ綺麗さがあるだろうか?
いいや、真っ黒に汚れた汚いドブの様。
君のように、澄んだ水のようには生きていない。
君の人生になぜそんなに魅力を感じるだろうか?
単純に好きだから魅力があるように思える?
いいや、この想いは思い込みなんかじゃない。
確実に、君だけを見つめている“真剣”そのもの。
僕は、透明で綺麗な君に惚れたんだ。
例え顔がそうじゃなくたって、“人間は心が綺麗な方がいい”と僕は思う。
君の心は純粋だけど、確かにそこには何かがあって…。
僕はそんな何かを秘めている君に惹かれた。
神秘的な何か。 夢で満たされている何か。
自然に手を伸ばしたくなるような何か…。
だから、僕は君の心に惹かれた。
だけど、そんな君に惹かれた僕は脆い存在。
君が誰かと話しているのを見るだけで、『なんで裏切ったの?』と思ってしまう。
他の男の子と話しているだけで、僕は君の透明さを疑ってしまう。
僕は君を信用できない。
いつか、その透明さが汚れていくんじゃないかって…。
僕の所為で汚く変わってしまうんじゃないかって…。
僕は君をずっと好きなままでいれるのだろうか?
わからない。 だから、君という存在を疑ってしまう。
大好きだけど、君は僕の知らない色を持っているんじゃないかって…。
そんな僕はとても脆い存在。
勝手に傷ついて、勝手に壊れて。
それで勝手に疑って、君を傷つけて。
僕は君に何をしてあげられるだろうか?
今まで僕は君に何をしてあげたのだろうか?
僕は穢れた存在。
醜い、脆い、些細な存在。
君の近くにいるだけで、僕は君を染めていく。
僕は汚れた存在。
とてもちっぽけで、誰にも見つけられないような存在。
君のように澄んだ綺麗さを持ち合わせていない悲しげな存在。
だけど、僕は君が好き。 僕は君が大好きだ。
――●――○――●――○――●――○――●――
ガラス。 ―――それは、澄み切った透明なものを示す。
ガラス。 ―――それは、脆くて頼りないものを示す。
そう、僕と君は同じガラスで、素材と性質が違うだけ…。