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幼い日の思い出  作者:
9/34

「ごめん。」

(おーいっ!誉っ!真央ちゃーん!)

「―…ん…。」

(真央ちゃぁんッ!返事してぇー!)

「…小太郎君…佳絵…?」

「…っ!真央ちゃん?!大丈夫なの?旭岡君は??」

真央は周りをグルっと見回した。

そこは草の覆い茂る静かな原っぱのような所だった。

上を見上げると自分が落ちて来たらしい所から佳絵と小太郎の顔が見える。

「ん、平気みたい。下に草が生えてて少しは、クッションになったのね。

誉ちゃんはまだ、起きないわっ。でも大丈夫だと思うから、二人は先生を

呼んで来てくれるー?」

「分かったわー!すぐに呼んでくるから、そこで待っててねーっ!」

「ガッテンっ!」

(ザッザッザ…―)

真央はもう一度、周りを見渡した。

真央達のいる所の下は、また崖になっているらしい。

二人が落ちてきた―滑ってきた―所とは比べ物にならない程の高さを角度だ。

(こんな所から落ちたら、今度こそ死ぬわね。)

真央は隣にいる誉を見た。

さっきの崖から落ちた時の事を思い出してみた。

そしてポソリと呟いた。

「…何で、私なんか助けようとしたのよ…。…ありがとう、嬉しかったよ。」

真央は、その場から立ち上がろうとした。

(ズキンッ!)

「えっ?」

半分立ち上がった真央の体はたちまち、グシャリと崩れた。

「痛い…っ」

真央は、ズキズキと痛む右足を見た。

真っ白な足の、足首だけが赤く腫れあがっている。

「さっきので…挫いたの?」

よく見ると左右の手腕にも、切り傷や擦り傷があった。中でも左腕には、

木で切ったであろう、深い切り傷があった。そこからは薄っすらと血も出ていた。

(痛い…早く手当てしなきゃ。誉ちゃんだって怪我してるかもしれないし…。

でも救急箱みたいなのは私は持ってない…。水さえあれば傷口は洗えるな…)

真央は痛いのを堪えて、立ち上がった。

「痛っ…くない!」

真央は頼りない足どりで周りを歩いて、水を探した。

幸い、近くに小さい湖があったため、そこの水を使う事にした。

しかし、水を入れる物を真央は持っていなかった。

(誉ちゃんを連れてくるしかない…か。)

真央はすぐ近くに洞穴を見つけると、また誉の所に戻ってから、

誉を引きずって洞穴の中に入った。

(ズル…っ、ズル…っ、ドサッ!)

「んっ…!…っはぁ!はぁ…はぁ…。ふー、やっと連れて来れたぁ。」

すると、丁度誉は目を覚ました。

「…ん…、真央…?」

「あ、目覚めた?怪我、無い?」

真央はニコッと誉に笑い掛けた。

「俺は大丈夫…」

(…!)

「真央、その足…。まさか、その足で俺を引きずって来たのか?!腕だって!

血だらけじゃんか!」

「ん、平気、平気。誉ちゃんが怪我してなくてよかったっ。」

「…俺のせいだ。真央は俺の下敷きになっちゃたから…。だから…―!」

誉は真央の姿を見た。

(ボロボロじゃないか…。俺がこんなふうにしたのか…っ)

「……ん…。……け…れ……て。」

「えっ?何?誉ちゃん。」

「ごめん。助けられなくて…。」

(誉ちゃん…。)

「傷、手当てするよ。」

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