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幼い日の思い出  作者:
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宿泊訓練

「学級委員!点呼して担任に報告しなさい!」

学校の校庭には真白葵中学校の二年生がずらりと並んでいる。

真央達を含む二年生は(熱血先生のせいで)真白葵ましろぎ中学校へと

宿泊訓練に来ていた。

「あうー…、暑ぃ〜。蒸発しちゃうよぉう。」

真央は長い髪を一つに結わえて、タオルでパタパタと扇ぎながら暑そうに言った。

「アハハッ!真央ちゃんったら。確かに蒸発しちゃいそうな暑さだけどっ。」

「だよね〜。そういえば部屋ってどうやって決められるんだろうねー。」

二人が仲良く話しているとすかさず小太郎が真央の横を陣取った。

「真央ちゃんはもちろん俺と相部屋っしょ?」

(んなわけねーだろっ!)

誉は心の中で小太郎に突っ込みを入れた。

「やだぁ!小太郎君ってば、そんなわけないじゃなーい!」

佳絵はくすくす笑っているが真央は完璧に呆れかえっている。

「いやいや、俺と真央ちゃんだけの特権さっ!」

ね?と言いながら小太郎が真央の頭を撫でようとしたが、

真央はその手を払いのけた。

「ただでさえ暑いんだから、触らないでヨ。」

「ぷっ!」

誉はその光景を見て、思わず吹き出してしまっていた。

「おいっ!誉!てめー何笑ってんだぁ!」

「別にー。」

誉は必死に笑いを堪えて、すましているが小太郎にはもちろん通用しなかった。

「むかー!チビのくせにー!身長163のくせにー!」

「ってそれは関係ないしッ!」

「しっかし本当に誉って小さいよなーもっと牛乳飲めば?

俺なんか育ちすぎて175cmだぜ?」

小太郎は少し背伸びをして、上から誉を見下ろしてみせた。誉は不愉快そうに

ムスッとしている。

「あー!そうですかっ!でも部活でのエースは俺だから。

これだけ身長差があるのにー。」

「俺はやれば出来るの、やらないだけ。それに俺には真央ちゃんという

勝利の女神が…。」

(ゴンッ!)

「誰が女神よ、誰が!それに私は小太郎くんの物でもありませんっ。」

そう真央が冷たく言い放つと同時に先生の声が校庭いっぱいに響いた。

「静かに!今から担任の指示に従って、1組1班から言われた教室に向かって、

荷物を置いたら、体育館に各自集まりなさい!では1組から行きなさい。」

「ふーん。やっぱ班ごとに分けられるのかー。」

「ねぇ、それより!この前利緒君に呼び出されて、何話したの?」

佳絵に詰め寄られ、真央は仕方無くこの間の屋上での出来事を話した。

「ふーん…って、何それ?!そんな事言われたのに魂奪われそうな笑顔で

『頑張って』なんて答えたの?…ありえないッ。ありえないよ、真央ちゃん!」

「そ、そうかなぁ?私悪い事しちゃったのか…。でも本当にそう思ったんだもん。」

「真央ちゃんは簡単に言ったけどそれは「無理だと思うけど精々頑張って」って

解釈されてると思うよッ。」

佳絵は呆れ気味に言った。するとさすがの真央も少しキレて、佳絵に反論した。

「じゃぁ、佳絵は好きでもない利緒くんと付き合えって言うの?

媚び売れって言うの?冗談じゃないわ、絶対無理ッ!」

(さすがの佳絵もコレには反論出来ない…)

「ちっがーうッ!!真央ちゃんは真白葵中のマドンナ的存在なのヨ?

マドンナならマドンナらしくしてもらわなくっちゃ!そんな事言ってたら

折角の女っぷりが台無しじゃない!分かった?」

真央は勢いよくうなずいた。

(トホホ…。言ってる事はメチャクチャだけど、結局佳絵には勝てませんネ。)

「おいっ、何話してんだよ。ほら、行くってさ。」

誉が二人の後ろから面倒くさそうに、そう言うと、小太郎と一緒にとっとと校舎に

向かって歩いて行ってしまった。

「あー待ってよ、誉ちゃーん!」

真央は慌てて、佳絵の腕を引っ張って、誉達の後を追った。


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