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幼い日の思い出  作者:
32/34

永遠のサヨナラ



誉は真央の足を地につけるため、変わりに自分の体を宙に投げた。

兄貴もテツもヤスも言葉を失った。

誰も何も出来ないでいた。

「警察だ!!お前達を強盗、誘拐の罪で逮捕するっ!!」

いつのまに入ってきていたのだろうか。

複数の警官が3人に向って銃を構えていた。

「はっ…、ジ・エンドだな。」

兄貴は吐き捨てるようにそう言った。 

「あ…あのっ…!ここから下に男の子が落ちたッス!!その子を先に病院に運んでください!!」

「ヤス…、お前。」

「何、それは本当か?おい、お前。下を見て来い。」

そう言われて警察官の中でも一際若い警察官が、敬礼をしてから駆け足で階段を下りていった。

「…俺はどうなってももういいッスけど、あの子達はこれからッスからね・・・。」

3人は警察に促されるままに、未だに放心している真央を名残惜しそうに見やりながら、トボトボと階段を下りていった。

「真央ちゃん。」

自分の名を呼ぶ声にゆっくり振り向くと、額に汗をいっぱい浮かべた小太郎が立っていた。

「…『真央』って、呼んでた。助けてくれた時。記憶が戻ったのかも…」

「大丈夫?」

「…私の事なんてどうでもいい。誉ちゃんは…?!」

「真央ちゃん、ちょっとは自分の事も心配しなよ。すごく顔色悪いよ。…誉は近くの病院に運ばれたよ。ホラ、蒔田の兄貴がいるとこ。」

「行かなきゃ…っ、今すぐ行かなきゃ…!!」

真央はフラつく足で、無理矢理立ち上がった。

「おいっ、真央ちゃん!少し落ち着けって…!」

「屋上から落ちたって言うのに落ち着けって言うの?!」

パチン

小太郎は、完全に取り乱して自分を失いかけている真央の頬を、優しく軽く叩いた。

「落ち着けって!!誉の傷は大した事ないよ。芝生があった所に落ちたんだ、まだ意識はないけどすぐ目を覚ますだろう…って。」

「あ…ぁ、ごめんなさい、私…。私のせいだわ…。そうやって私をかばってみんな…っ。誠ちゃんの時もそうだった…。」

また、力無く座り込む真央。

「事故で死んだんだっけ…?」

小太郎が遠慮がちに言う。

「…ここみたいな廃墟の下で二人で遊んでたの。私の頭上に落ちて来る瓦礫。それから守るために誠ちゃんは、私を押してから上に覆い被さった…。」


― 真央が無事でよかった ―


「私の命が助かったって、大切な人の命が無くなるなら、いらない。そんな優しさ、いらないよ…」

「……、誉の居る病院に行く?」

「―…      …。」

「えっ…?」



誉が目を覚ましたのは、次の日の昼だった。

「…―ん…っ。小太郎…と、佳絵ちゃん?」

二人とも心なしか、表情が暗く重たい。

「どうかしたのか…?」

誉も何か悪い事が起きたのではないかと、不安がよぎる。

「誉…、落ち着いて聞けよ…?」

佳絵が涙を一粒落とした。

「真央ちゃんが…っ、ぅ…っ。アメリカに行っちゃった…〜っ。」

「…ぇ―」



「……、誉の居る病院に行く?」

「…私、アメリカに住む。」

真央の口から出た予想もしなかった言葉に、小太郎の思考回路は一瞬止まる。

「は?何言ってんの…。意味わかんないんだけど…―」

「私のお父さんは今アメリカの会社で働いてるの。でも、男の一人暮らしだからいろいろ生活が大変だからって、お母さんがアメリカに行くって事になったのよ。もちろん私はこっちに残るつもりだったんだけど…。やっぱり私もお母さんと一緒にアメリカに…―」

真央の言葉をとざすように、小太郎は強く壁を叩いた。

「…ンなこと聞いてんじゃねーよ…っ!誉が事故にあったからって、何で真央ちゃんがアメリカに行かなくちゃならないのかって聞いてんだよ!!」

「私が居たらみんな悪くなるっ!不幸になるのよ!!もうダメ、こんなの耐えられない…っ。もうこれ以上大切な人を失いたくないの…。私だけが辛い思いをして、みんなが幸せになるならそれでいい。―ごめんね、バイバイ。」

呆然と立ち竦む小太郎を残して、真央はその場から去った。

真央は何故か、微笑んでいた。

その微笑が、小太郎の見た最後の真央だった。



「そういうわけだ…。もう今頃は、アメリカのどこだか知らないところに居るよ。」

小太郎は顔をしたに向けながら唇をかんだ。

誉は目を見開いたまま、小太郎の肩を掴んで揺さぶった。

「何…で、何で止めなかったんだよっ!!どうして真央を行かせたりなんかしたんだよっ!!」

「俺だって…っ、そうしたかったさ。でもっ、彼女が決めた事だ。それを止めるのは、俺のわがままだ。」

小太郎は誉の手を優しく振り払うと、ベッドから一歩下がった。

「…わがままだっていい…っ。真央が居てくれるなら!!やっと、思い出したのにっ!!やっと、思いが伝えられると思ったのに…〜っ。」

佳絵は持っていたハンカチで涙をぐいっと拭った。

「真央ちゃんが決めた事だもん…。悲しいけど…仕方無いわ。」

「俺は認めない…っこんな結末を望んでいたわけじゃない!!真央が居ないのに幸せになんかなれないっ!!真央…っ、真央――――!!!!」

屋上から落ちた時からずっと握っていた、誠史が真央に送ったネックレスが、手の中から零れ落ちた。

悲しい程綺麗な金属音は、誉の叫び声にかき消された。



いや〜久しぶりに後書きを書きますー。

だって、もう、本文を書くだけでいっぱいいっぱい

なんです。私っ!(´-`;)汗


正直もう、何が何だかわからなくなってます。ハイ。

文を書く力は無いクセに、イッちょまえに悲劇ばっかり書いてます、すいません(×_×;)

でも、私は悲劇と喜劇の↑↓を楽しむ作者なんで、ここからは幸せになる一方だと思われますっっd(>▽<)…だと、いいな(-_-;)ボソッ。

…とにかく、続きを読んでいただければ、幸せこの上ないデス♪(すもも)でしたm(__)m

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