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幼い日の思い出  作者:
26/34

『星』になった人

  ― 誉ちゃんと、同じ名を持っていたのよ ―


…― 誠ちゃんと私は親どうしが決めた婚約者でね、もちろん私達もそうするつもりだった。お互いに愛し合ってもいた。でもね、私はもう彼と一生結婚することはできないの。


  …どうして?


佳絵がそう聞くと、真央はフッと悲しげに眉を細めて上を指差した。


…― 彼は私を事故から守って『星』になったから。


  それって…


…― ひどい事故だった。かろうじて意識はあったけど、もう…ほぼ即死に近かった。誠ちゃんは最後に『無事でよかった』って。

…― 血だらけになっても笑いながら、そうやって…。痛さで意識なんてほとんどないはずなのに、その小さな体のどこにそんな強さがあるのか不思議なくらい…。


  彼を忘れたくないから…、だから誉ちゃんの事好きになれないの?


…― 『なれない』んじゃなくて『ならない』のよ。誠ちゃんはまだ、私の認める唯一の婚約者よ。約束はまだ守られてるわ。


  好きになっちゃいけないって、自分の気持ちにブレーキをかけてるんじゃないの?


…― そうかもしれない…わからないの。誠ちゃんの事がまだ好きなのか、誠ちゃんに悪いと思って好きにならないのか。

…― 彼が亡くなった後、おばさまからこの指輪を頂いたの。


真央はTシャツの中に隠れていたネックレスを引っ張り出した。ネックレスにはキラキラと輝くリングが通っていた。


…― 婚約指輪だって。誠ちゃんが事故にあった日…私の誕生日に渡すつもりだったらしいの。残念ながら彼と手から受け取る事は出来なかったんだけどね。


  真央ちゃんの誕生日に誠史くんは事故にあったの?それって、真央ちゃんの誕生日が誠史くんの命日って事…?



真央ちゃんはその指輪を片時も離さずに

誕生日がくる度、みんなが祝ってくれる度


誠史くんの事を想ってたんだね…―。



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