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幼い日の思い出  作者:
19/34

真央の思い人

「ううん!なんでもないっ。傘に入れてくれてありがと。じゃあね〜!」

そう言うと真央は誉を残して早々と家の中に入ってしまった。


「おぉ!誉じゃんか。」

「小太郎か、おはよ。」

「中内さんと真央ちゃん仲直りしたんかねぇ。」

「…したんじゃねーのっ。知らねーよ。そもそもお前が蒔いた種だろ。」

(こっちがいろいろ頑張ってたっつーのに、小太郎は呑気に…)

誉はなんとなく小太郎に素っ気無くしていたがとうの本人は全く気づいていなかった。っというか、、気にしてなかった。

「そうだけどさぁ…。やっぱ気になるし。中内さんに聞こっかな。」

「…それだけはやめた方がいいと思うけど。」

『おーい、HR始めるぞ〜席つけー!』

「あれれ?真央ちゃん居なくない??」

「本当だ…。」

(どうしたんだろう…)

『あ〜っと、冬月は今日休みだな。風邪を引いたらしいぞ〜。』

(風邪?!って…昨日随分ずぶ濡れだったもんなぁ)

「はは…、あれなら風邪引いても仕方無いな…。」

「なんだよ誉ッ。にこにこしちゃってさぁ。」

「別ににこにこはしてないけど…。」

「それよか、今日真央ちゃんのお見舞いに行こうぜー。」

「えー!迷惑なんじゃない?少なくともお前がお見舞いに来るのは迷惑この上ない…」

(バコンッ!)

誉が全部言い終わらないうちに、小太郎は後ろから誉の後頭部を筆箱で叩いてやった。

「お前なぁ!俺が来て迷惑なわけねーだろっ。嬉しいに決まってんじゃん。学校のアイドルのこの俺がよ?お見舞いに来て嬉しくないわけねーじゃん。」

(この自信はどこから沸いてくるんだか…)

『おい!森脇と旭岡!何やってるんだ、今はHR中だぞ〜っ!』

「す、すみません…」

先生に注意され、みんなにクスクス笑いをされたため、二人は今までよりも声を殺して話した。

「お前のせいで俺まで怒られたじゃねーかっ。」

「まぁ、まぁ、誉ちゃんってば落ち着いてよ。」

(誰のせいだと思ってんだよ…っ)

「で、お前本当に真央の家に行くつもり?」

「もち。別にお前は行かなくてもいいよ。俺だけで行くし。」

「なっ…!だ、ダメ!!それだけはダメ!!だったら俺も行くし!」

「や、誉はいいよ。つーか来んなっ。俺と真央ちゃんのラヴラヴパラダイスを邪魔すんな。」

「行くってば!!お前みたいな狼を一人で派遣したら真央が危険…」

(バコンッ!)

小太郎はさっきよりも強く誉の後頭部を叩いてやった。

「ったー!何すんだよっ!」

「お前、俺を何だと思ってんだよ!俺はそこまで飢えてねーッ。」

「いや、論点がずれてるしっ。飢えてる飢えてないじゃなくて、小太郎と真央を二人っきりにするなんて、危険すぎるっつってんの!」

「男の嫉妬は格好悪いぜ?誉ちゃん。」

(ゴンッ!)

今度は誉が机の上にあった分厚い辞書を小太郎の頭の上に落とした。

「う゛おっ!ずっしり重いじゃないの、誉ちゃん…っ。」

「あーら、ごめんあそばせ。手が滑っちゃった。」

「全くだわ。すっごく痛いじゃないのよッ!」

『森脇と旭岡!後で職員室なー。』

「「え゛」」

先ほどのクスクス笑いとは違う笑いがドッと教室に響いた。


「ったくよ〜、誉が辞書なんて持ち出してなかったら、職員室に呼ばれて30分も説教をくらうなんて事にはならなかったのにー。はぁあ〜…。」

「うっせーなぁッ!そもそもお前が悪いんだろ。筆箱で2回殴ったの誰だっつーの!」

「えー?誰、誰?小太郎わかんなーいっ。」

「一生やってろ、アホ。」

「ひどっ!誉ちゃんってばひどい事言うのね。」

「そのオカマ言葉やめろよ。」

「さっきは誉ちゃんだって言ってたくせに。」

「成り行きだよ、成り行き!その誉ちゃんっていうのもやめろよな、気色悪い。」

「あの〜…。」

急に話し掛けられた二人はビックリして、素早く後ろを振り返った。するとそこには、恥ずかしそうに佳絵が立っていた。

「…っ!あ、佳絵ちゃんかぁ。どうかした?」

「旭岡くんと小太郎くん、真央ちゃんのお見舞いに行くの?」

「そのつもりだけど。」

「だからーっ、誉はいいってば。俺一人で行くっつってんのに…。」

「小太郎は黙ってろよ!…で?」

「その…私も一緒に行ってもいいかしら?」

「いいけど…、どうして?仲直りしたんでしょ?」

「あ、誉ひでー。俺が仲直りしたのか聞いた時『知らねーよ』っていったくせにー。」

「そんなのどうでもいいだろっ。」

「仲直りはしたんだけど、やっぱり行きづらくて。一緒にいっていい?」

「俺は別に構わないけど…。小太郎!いいよな?」

「…了解。」

小太郎は渋々そう答えたが、佳絵はそれでも満面の笑みを浮かべていた。

「ありがとうっ!」



― ピンポーン ―

「はい、どちら様でしょうか?」

「こんにちは、いつもお世話になってます。佳絵です。」

「あら、佳絵ちゃん。真央のお見舞い?待っててねー今鍵開けるから〜。」

しばらくすると玄関の扉が開いて、中から真央にそっくりの美人の女の人が出てきた。

「いらっしゃい佳絵ちゃん。久しぶりね。」

「はい、奈央子さんってばますますキレイですね。」

「やだ、佳絵ちゃんってばっ。そっちの男の子達はどなた?」

「あ、ども。級友ってやつなんですけど…。あの…真央のお姉さんですか?」

誉が半分緊張混じりにそう言うと、佳絵も奈央子と呼ばれた美女も、笑い出してしまった。

「あははっ!お姉さんかぁ。」

「旭岡くんて、たまにおもしろいこと言うのね。あはっ。」

「え?なんか俺変な事いいました??」

「ふふっ。若く見られて嬉しいわ。私は真央の母親よ。」

『え゛?』

小太郎と誉は同時にそう言うと、また同時に顔を見合わせた。

(嘘だろ…若すぎじゃねー?俺てきに全然ありな感じだったのに…母親かよっ)

(真央の母親が若い事はなんとなく知ってたけど…。ここまでとは…っ!んじゃ、授業参観に来てるの、誰かの姉だと思ってたのが真央の母親だったのか…。なんか、ショック。)

「いやー!真央ちゃんのお母さん若いですねーっ。二十歳ぐらいかと思いましたよっ。おまけに美人ですねー。町に出てもナンパとかされるんじゃないですか?」

「まぁ、お世辞でも嬉しいわー。ナンパなんてしょっちゅうされてて困ってるのよ。」

「いやぁ、はははっ」

(小太郎の野郎…。ごますりやがって!母親に気に入られて置こうって魂胆かぁ!)

「そうだ、佳絵ちゃん。」

「なんですか??」

「真央の薬とか買いに行きたいんだけど、留守番頼めないかしら?真央一人残すのは心配で…。」

「それぐらい、お安い御用です!」

「そう?じゃあお願いねー。」

「いってらっしゃーい!」

佳絵は真央の母親を見送ると、迷う事なく真央の部屋へと急いだ。

「佳絵ちゃんって真央のお母さんと仲良いんだね。」

「うん。お姉さんみたいな感じで話しやすいし。奈央子さん綺麗で素敵でしょ?」

「確かに綺麗で素敵なんだけど…人妻って聞くと勿体無いよなー。」

冗談なのか本気なのか、小太郎はそんな事を呟いていた。

(真央も大人になったらあんな風になるのかな…)

「じゃ、私が先に入るから二人は後から入ってね。」

「なんで?」

「男の子が急に部屋に入ってくるなんて、先に伝えたほうがいいに決まってるじゃない。」

「あ、そっか。」

コンコン!

佳絵は真央の部屋の扉を軽く叩いた。

「真央ちゃーん。起きてるー?」

「佳絵…?起きてるー。いいよー、入って。」

佳絵はドアを少しだけあけて、素早く中に入った。

「真央ちゃん大丈夫??」

「…平気ではないかも。」

「あのね、真央ちゃ…」

「先に一つだけ聞いて欲しい事があるんだけどいい?」

二人のそんな会話を、小太郎が聞き流すはずはなかった。音をたてないようにドアをほんの少しだけ開けて、中の会話を聞き取れるようにしてまんまと二人の会話を盗み聞きしていた。誉も最初は小太郎を止めていたが、自分自身もとても気になったため、小太郎のように身を乗り出しさえしなかったが、神経を研ぎ澄まして聞き耳をたてていた。

「え、なぁに?真央ちゃん。」

「佳絵は私が小太郎くんの告白を受けると思ってる?」

「うん…。まあ、そりゃ。」

「…私ね、好きな人がいるの。誰にも言うつもりはなかったんだけど、佳絵にだけは教えるね。」

「…誰?」

「私が好きなのは…誉ちゃんなの。」

「…そう…だったの?」

「うん…。」

(まじかよ…。)

小太郎は開いていた(開けた)ドアを、また静かに閉じた。

「何で…っ、誉なんだよ…!」

「…?おい、小太郎どうかしたのか?何かやばい事でも聞いて…」

「今の俺に話し掛けないで…。とくに…お前ッ!」

そう言って小太郎は誉を軽く押し退け、最後にキッと睨むとそのまま階段を下りて家を出て行ってしまった。

(何か聞いた…?小太郎…一体何を…)

誉は小太郎が家を出てからしばらく呆然としていたが、数分後に小太郎を追って誉も佳絵の家を出た。

すももですっ♪

いやー、もろに展開部突入って感じですネ。

ここからくるくる話が変わるんで見逃せませんよ(笑

と、いうわけでメッセージとかドンドン受け付けてるし、

来たら必ず返しますよぉ!暇なんで(笑

次回もよろしくお願いしまーす!


PS、前回の後書きで書いたプロフですが、佳絵の体重の

単位がcmになってました(汗

大変申し訳御座いませんでした(笑

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