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幼い日の思い出  作者:
13/34

密かな企み

佳絵と澪は同じ弓道部で佳絵は部長で澪は副部長だった。

学校での学力調査テストの結果はトップが真央、二番が澪。

体育での50m走、真央は7.8秒。澪は7.9秒。

音楽での歌のテスト、真央と佳絵は98点。澪は…95点。

とまぁ、二人がいる限り澪は万年二番なのだ。プライドが高い―真央が言うには―

澪にとっては相当屈辱的だったのだろう。澪だけではなく、一般の温厚な人でも

屈辱だと思うが、澪にとっては・・相当屈辱だった。

以来、澪は何かと言うと突っかかってきたのだった。

「まぁ、佳絵の気持ちも分からないでもないんだけどね?私の気持ちも分かってよ。

間違われる事多々有りなんだから。」

「アハッ!確かにね。冬月真央と浅葱 澪。三文字違いかな?」

言われてみると気がつくが、何てソックリな名前だろうか。

「本当に、シャレになんないよ。」

『そろそろキャンプファイヤーを始めたいと思います。生徒は周りを囲っている木に

腰をおろして待っていなさい。』

真央と佳絵は周りも見ずに適当に木に座った。

『あっ』

互いに顔を見合わすと、同時に小さく声を上げた。真央の横には誉と小太郎が座っていた。

「偶然だねぇ、お二人さん。」

小太郎は嬉しそうに手を振りながら言った。

「とか何とか言っちゃって。怪しいものね。」

「そんなことない、そんなことない。偶然、偶然っ。」

もちろん偶然なわけはなかった。

「どーだかねぇ。」

疑いの眼差しを向けながら言う真央に、小太郎は笑顔で返した。

しかし誉の方はというと、素直に喜べないと言ったような表情だった。

苦笑していると言う以上に苦々しいような顔をしているようにも見えた。

誉がそんな顔をするのも、小太郎が偶然を装ってまんまと真央の隣を陣取ったからだった。 


「おい、誉っ!」

小太郎がうしろから誉の肩をポンッとたたいた。

「んっ?」

誉が振り向くと、小太郎の人差し指が誉のほっぺにプニッ、とささった。

「なぁ、今日のフォークダンス、一番初め誰と踊るつもり?」

小太郎の人差し指をピンッと弾く。

「一番最初に踊っても最後に踊っても踊る事には変わらないんだろ?

だったら初めも何も無いんじゃ…。」

「何を言うか、誉っ!!知らんの?一番最初は曲を2回繰り返してパートナーチェンジ

なんだぜ?つ・ま・り、一番最初に踊る人が一番長いつーことね。おわかり?」

「つーか、何で知ってんだ。」

「それはヒミツ。で、ここからが本題なんだけど、俺は一番最初に真央ちゃんと

踊りたいんだ。」

小太郎があんまり急に、真面目な顔をするものだから、誉はふき出しそうになった。

「…なんで?」

笑いを堪えながら尋ねる誉に怒りを感じつつも、小太郎は真面目な顔を持続させた。

「なんでってそりゃ、お前…。まぁ、それは置いといてだなぁ、誉。いいか、競争率の高い真央ちゃんをごくごく自然に、下心の無さそうに誘うにはどうすればいいかわかるか?」

「普通に誘えばいいじゃん。」

「それじゃあ、下心見え見えじゃんか。ダメ、ダメ、そんなんじゃ。俺の考えはこうだ。

まず、キャンプファイヤーの席で隣になる。これは、さりげなーく近くに行って

タイミングよく隣の席に座れば問題ない。」

(そうかなぁ…?)

「で、ここからが問題だ。何気ないような会話をしつつ、「誰か踊る人

決まってんの?」と聞くわけ。ね?と、どうなるよ。」

「小太郎の浅はかな妄想によると「いないー。」「俺もいないー、あっじゃあ一緒に踊らない?」ってなると。そう言いたいわけだ。」

「よく分かってんじゃん。浅はかな妄想は余計だけど。」


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