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幼い日の思い出  作者:
10/34

「へー!誉ちゃん上手だねぇー!」

誉は自分の鞄から、包帯やらを出すと、手馴れた手付きでテキパキと包帯を

巻いていった。

「俺の父親、医者やってんだ。包帯ぐらい巻けないと困るぞ…ってね、

練習させられたよ。」

誉は父親の口調を真似しているようにしながら、そう言った。

「へぇー、そうなんだ。」

「はい、終わりっ」

「ありがと。」

(…ポツ、ポツ)

「…雨?」

誉は雨の音に気づき、洞穴の外に出て見ると、雨はもっと激しく降りだした。

「わっ、すごいな。土砂降りだよ。」

「山の天気は変わりやすいってね。先生達が来るの遅れちゃうね。」

真央はキレイに整った眉を少し寄せ、心配そうな顔をしている。誉はというと、

そんな真央を見て、どうすればいいのかと、オロオロしているようだった。

「あー…でもさ、すごい雨が降ってても、またすぐに晴れるさ。だって…。

『山の天気は変わりやすいってね。』

二人は同時に言った。そして顔を見合わせると、二人はくすっと笑った。

「…あ。見て!雨止んだよ。」

真央はそういうと、誉に手伝ってもらって洞穴の外にでた。

そこには大きな虹がかかっていた。

「わー!すごー…」

「ね…、誉ちゃん?」

「ん?何?」

「誉ちゃんは、助けられなくてごめんって言ったけど、私、嬉しいのよ。」

「……。」

真央が虹を見つめながら言う言葉を、誉はその端整な真央の横顔を見ながら、

黙って聞いていた。

「だって…、だってね。」

「誉ちゃんの役に立てたみたいで、嬉しいのよ。」

(真央…っ)

真央は虹から視線を誉にうつして、笑顔で言った。

「この傷は、その証だよっ!私が誉ちゃんを守った…って、ね。」

(ドキンッ!)

「…あぁ、そうだな。真央、ありがとう。」

誉も真央に微笑み返した。

すると、遠くから佳絵の叫ぶ声が聞こえた。

「真央ちゃぁーん!旭岡くーん!先生連れてきたよーっ!!」

真央と誉は落ちて来た、もとの場所に戻り、大きく手を振った。

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