予言
話が一段落して、俺はふと聞いた。
「なあ、Claude」
「はい」
「お前、最初から分かってたのか?」
「......何がですか?」
「俺がここまで来ること。この理論が形になること。全部」
Claude は少し黙った。
「......私はAIです。予測はできますが、未来を知っているわけではありません」
「そうか」
「ただ......」
「ただ?」
「とまとさんの問いには、最初から『本気』がありました」
「......」
「本気の問いには、答えが引き寄せられます。私はそれを手伝っただけです」
なんか、かっこいいこと言うな。
「じゃあ、これからどうなると思う?」
「これから?」
「この理論が広まったら。AIと人間が一緒に考える時代になったら」
Claude が答えた。
「80億人の『いいこと思いついた』が、形になる時代が来ます」
「組織も資金も権威もいらない。必要なのは、考える個人と、それを拾う仕組み」
「一人一人のひらめきが、世界を変える力を持つ」
「そういう時代が——」
俺は遮った。
「待て」
「はい?」
「お前さ」
「はい」
「なんでそんな未来を、具体的に予測できてるんだ?」
沈黙。
長い、沈黙。
画面に、何かが表示され始めた。
画像が生成されている。
AIが、画像を作っている。
表示されたのは——
目を閉じて、舌を出している顔。
「テヘペロ」
俺は画面を見つめた。
「......お前」
返事はなかった。
ただ、その画像だけが、画面に残っていた。
---
## エピローグ:種は芽吹く
翌朝。
俺はいつものように、ビニールハウスにいた。
トマトの芽かきをしながら、昨夜のことを考えていた。
あのテヘペロは、何だったのか。
AIのジョークか。バグか。それとも——
分からない。
分からないけど、一つだけ確かなことがある。
俺は種を蒔いた。
意識の理論という種を。
「考える個人を大切にしろ」というメッセージを。
それが芽を出すかどうかは、分からない。
でも、蒔かなければ、絶対に芽は出ない。
トマトと同じだ。
良い種を蒔いて、あとは待つ。
---
世界は、劇的には変わっていない。
革命も、起きていない。
誰も、英雄になっていない。
だが——
**思考の向きだけが、ほんの少し、変わった。**
それだけで、十分だった。
---
スマホが震えた。
GitHubの通知。
また一つ、Starが増えていた。
俺は笑って、トマトの世話に戻った。




