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ポーションで異世界を救う  作者: マーたん


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19/32

癒しの塔 ― 弟子と元恋人 ―

前回までのポーションほのぼのは?

王都の中央にそびえる「癒しの塔」。

その最上階は、王国で最も神聖なポーション研究所――

ルイは王命により、ミレイと共にそこへ招かれていた。


だが、塔の白い石段を登りきった先に、思いがけない人物が立っていた。


「……久しいね、ルイ。」

淡い光をまとった女性――エレナ。

彼女はあの夜の姿とは異なり、いまは王都の研究顧問として復帰していた。

死の淵から蘇った“奇跡のポーション研究者”として、人々の崇拝を受けているらしい。


「エレナ……本当に、生きていたのか。」

「ええ。でも、あの日の私はもういない。」

エレナの瞳には微かな冷たさが宿っていた。


ミレイは一歩前へ出る。

「ルイ様、この方が……?」

「昔の仲間だ。」

その言葉に、ミレイの眉がかすかに揺れた。


エレナは微笑を崩さず、ミレイを見下ろすように言った。

「あなたが新しい弟子ね。ずいぶんと“近い関係”のようだけど――どこまで理解しているの?

ルイの苦しみも、彼の罪も。」


ミレイの唇が震えた。

「理解してます……少しずつでも、支えたいって思ってます!」


「支える?」

エレナの声が低く響いた。

「“救われた者”に支えられるほど、ルイは弱くない。

あなたのような子が関われば、彼はまた傷つくだけよ。」


ミレイの瞳が怒りに燃えた。

「じゃあ……あなたは? 彼を置いて、何も言わずに消えたあなたが、今さら何を言うんですか!」


空気が張りつめた。

塔の魔力が反応し、壁の瓶が小さく震える。

ルイは間に割って入った。


「やめろ、二人とも。」

その声は静かだが、確かな力があった。


「俺は……もう誰かを失いたくない。

過去も、未来も、両方救いたいんだ。」


沈黙が落ちた。

やがて、エレナはかすかに目を伏せ、

「……あなたは、やっぱり変わらないのね」と呟いた。


そして、彼女は懐から古びた巻物を差し出す。

「これが“師匠の最終研究”。

魂を癒すポーションの完全理論よ。

でも、それを扱えるのは――“真に愛を知る者”だけ。」


そう言い残して、エレナは塔の奥へと消えた。


残されたミレイは唇を噛み、

「……負けません。ルイ様を導くのは、わたしです。」

と、決意の瞳で呟いた。


その日から、二人の女の間に見えない火種が生まれた。

師を想い、愛した男を想い、

互いに譲れぬ“絆”と“痛み”を抱えたまま――。

歪みあい

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