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竜が見た夢  作者: 無名の記録者
第11章 果てなき祈り
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幕間 ノエル

 ノエルはいつも泣いていた。

 幼い頃から“光の資質がある”と持ち上げられてきたが、力は小さく、何度も挫折を経験した。


 それでも教会内ではノエルの力は大きく、専属の護衛がつけられた。

 それがラウレンだった。


 小さなノエルは今日も涙をこぼしていた。

 人々に聖女と慕われ、彼女も応えようと努力を続けていた。

 でも力が足りなかった。


 ラウレンはそっと自分のマントを広げ、ノエルを包み込むように守ってくれた。


 *


 月日は流れ、ノエルは少しずつ自分の力を理解していった。


 そんな折、グランゼリアでのフィオナの活躍を聞いた。

 凄まじい浄化の力で、あの大きな街を救ったらしい。


「私は、フィオナさんが羨ましい」


 ノエルは呟いた。


「行きたいところに行けて、救いたい人を救える。私も、そうありたいのに」


 聖女らしくあれと、貞淑であれと求められる。

 ラウレンは何かを言いかけて、口を閉ざす。


 わかっていた。

 彼は聖導教会の騎士。

 聖導士の味方だが、ノエルの味方ではない。


 *


 助けを求める人がいる。


「どうして赴いてはいけないのですか!」


 ノエルは導師会に噛みついた。

 司祭相手では話にならなかった。


「ノエル。お前の浄化の力は、我らのために使ってもらわねばならぬ」


 最高意思決定機関。

 そう言えば聞こえはいいが、その実、保身しか考えていない。


 ノエルは悔しかった。


 私は何のために祈ってきた?

 口ばかりで動こうとしない上層部のためか?否。

 私腹を肥やす司祭のためか?否。

 金で全てを解決できると思っている富豪のためか?否。


 ノエルは、ラウレンに宣言する。


「ラウレン。私は、聖導教会を掌握します」

「……は?」


 間の抜けた表情は、とても面白かった。

 ノエルは口角を持ち上げる。


「聞いてしまったでしょ?これであなたも共犯ですよ」


 ノエルは知っていた。

 ラウレンもまた、ノエルと同じなのだと。

 動きたくても動けない。

 聖騎士団長の立場がそれを許さない。


 だったら、すべて壊してしまえばいい。

 そんな枷、すべて取っ払ってしまえばいい。


 ぽかんとしていたラウレンは、だがノエルの笑みを受けて楽しそうに笑った。


「いいだろう、乗った」


 *


「竜など御伽噺だ」


 世界は混乱に満ちていた。

 今動かなければいけないのに、古参の司祭も保身に走る。


 ダリオスたちのおかげで決戦に向けた演説は上手くいった。

 今動くしかない。


「私は、何を利用してでも、私の理想を手に入れる」


 泣き虫だった少女。

 それでも誰かを救いたいという思いだけは揺るがず、抗うために、自らの足で立ち上がった。


 ノエルの斜め後ろで、ラウレンが目を細めた。

泣き虫だったノエルは、ついに前を向き、自らの足で抗うことを選びました。

彼女が立ち上がれたのは、ラウレンをはじめ、支えてくれる存在が確かにあったからです。


~覚えておくと少し便利な聖導教会の権力図~

最高位

 大導師:教会の象徴であり頂点。実務は導師会に委ね、威光を示す存在。

中枢

 導師会:教義の解釈や方針を決める最高意思決定機関。政治的権威を持つ。

現場指導層

 司祭:各聖堂や拠点の責任者。信者の導きや儀式、聖導士・聖騎士の指揮を担う。

実働部隊

 聖導士:瘴気の浄化や医療を行う光術の使い手。女性は聖女、男性は聖人とも。

 聖騎士:聖導士を護衛し瘴気や魔獣と戦う戦闘部隊。武勇と献身の象徴。

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