表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜が見た夢  作者: 無名の記録者
第11章 果てなき祈り
74/82

エンディング

 エルヴァント峰を下る。

 まだ高揚の残るナッシュは、足取りも軽く、はしゃぐように声を上げていた。


 ジークはその姿を横目にちらりと追って、小さく笑みをこぼす。

 だが、すぐに視線は少し離れて歩くイゼリアに向けられた。


「……良かったな」


 竜槍を握る手を震わせ、うつむきがちに歩くイゼリア。


「……これでよかった。そう、これで……いいはずなのに」


 かすれる声は、自分に言い聞かせるようで。

 涙をこらえるその横顔は、誰よりも強く、誰よりも脆かった。


 ジークが足を止め、声をかけようとした、その時だった。


 最初は誰も気づかなかった。

 イゼリアだけが、はっと顔を上げる。


 雲を割るように、一条の影が近づいてくる。


「キィアアア……!」


 山頂に残る光の粒が風に舞い、静寂を破るようにかすかな音が空を裂いた。


 翼を広げ、澄んだ瞳で舞い戻ったのは、飛竜だった。

 瘴気に蝕まれたはずの体は清らかに透きとおり、雄々しい姿のままだった。


 イゼリアは槍を取り落とし、震える手を伸ばす。


「……アウリア!」


 その声は“戦姫”ではなく、ただ一人の少女のものだった。


 飛竜が舞い降り、彼女の前で元気に翼を広げる。

 イゼリアは泣き笑いでその首にすがりつき、ジークは隣でそっと目元をぬぐう。

 ナッシュも、アレンも、フィオナも、互いに顔を見合わせ、安堵の笑みを浮かべる。


 やがて視界いっぱいに広がったのは、信じられないほど澄みきった朝焼けの空。


 竜が去っても、世界は明日へ続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ