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竜が見た夢  作者: 無名の記録者
第11章 果てなき祈り
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第6話 星の降る夜に

 空から降る白銀の光は、雪よりも柔らかく、まるで静かな祈りのように地に触れていった。


 アレンは、ゆっくりと竜の骸から剣を引き抜いた。

 刃先に残る光が、揺らめきながら静かに消えゆく。


 胸の奥に、剣で貫いた時の痛みと光の感覚が蘇るが、今は安堵に変わっていた。


 隣に立つフィオナが、そっと竜の胸に手を触れる。

 光の残滓を感じながら、彼女は呟いた。


「救えたの、かな……」


 確信はなかった。

 見間違いかもしれない。

 だが、胸の奥の小さな声が答えを告げる。


「……ああ、きっと」


 そのとき、慌ただしい足音が近づいてきた。


「よくやった!」


 ジークの声に振り返ると、彼は躊躇なくアレンとフィオナをまとめて抱きしめる。


 その勢いに二人そろって目を丸くし、そしてほう、と息をついた。

 立っているだけで精一杯の体が、少しだけ軽くなる。


「……終わったのか。信じられねえ!」


 ジークの言葉には、戦いの重みと感動が混ざっていた。


 イゼリアは、涙をこらえながら口元に笑みを浮かべる。

 戦いを終えた二人を、ただ誇らしげに見つめていた。


「星なんざ……もう二度と見れねえと思ってたぜ」


 ナッシュの言葉に、皆がふと空を見上げる。


 夜空には、降り注ぐ光の粒が星々と交わるように輝いていた。

 言葉を失い、胸の奥が温かく満たされていく。


 *


 どれだけの時間、そうしていただろう。


「よし、帰ろう!」


 ジークが元気に言った。

 空元気だと、すぐにわかった。


 アレンは頬を緩める。


「…帰ろう」


 一度竜を振り返り、少しの間目を瞑って、瞼を持ち上げる。


 アレンは、フィオナと視線を交わす。

 疲れた体を支え合いながらも、心の底にある静かな喜びを感じる。


 長い戦いの果てに。

 今、ようやく世界は、光を取り戻したのだ。

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