藤堂先生×陽菜の過去①
今日は2人揃って休み。という事で陽菜ちゃんと出かける事にしている。お昼を一緒に食べようってことになっていて、それから少しドライブを楽しもうと思っている。そして買い物をして帰ってきて俺の部屋で陽菜ちゃんが料理をしてくれる予定だ。
そして陽菜ちゃんが、トラウマになっている過去の話を俺に話したいと言ってくれている。だから周りに気を遣わなくて良いように俺の部屋で話をする事になっている。
鴻上先生のお勧めしてもらったところでランチをしてドライブを楽しんだ。
「藤堂先生、そろそろスーパー寄って帰ろう」
陽菜ちゃんが、俺の服の裾を摘んで可愛らしいお願いをしてきた。
「陽菜ちゃん、ここ病院じゃないよ」
「あっ、間違えちゃった。大ちゃん、帰ろう」
「うん。そうそう。もう間違えたらダメだよ。まだ時間早いけど、もう良いの?」
「お夕飯作って、それから大ちゃんとゆっくりしたい」
可愛いおねだりだなぁと内心嬉しく思いつつ、どうやって話そうかきっと思い悩んでいるんだと思う。焦らさずゆっくり聞いてあげようと思っている。
近所のスーパーに寄り、買い物を楽しむ。
「大ちゃん、お夕飯のリクエストありますか?」
陽菜ちゃんは、俺を見つめて聞いてくる。
「そうだなぁ。鍋なんでどう? 具沢山にして〆は、ご飯?うどん?」
「そんなに食べられないかも」
「ふたりで食べたら食べられるよ。楽しい食事タイムにしよう」
そうと決まれば、必要なものをカゴに入れていく。適当に入れようとした俺に、陽菜ちゃんからダメ出しが出された。
「ちゃんと見て選んでください。新鮮なものを食べてもらいたいから」
普段は天然なぶりを発揮する陽菜ちゃんだけど、こういう時はしっかりしているんだなぁと思う。病棟でも仕事中の陽菜ちゃんは、本当に頼れるナースに成長していた。
「陽菜ちゃん、ありがとう」
思わずお礼を伝えていた。何を突然言ってるんだ?ドン引きされてないか?
「大ちゃん、お豆腐忘れちゃった」
「ほんとだ。豆腐売り場過ぎちゃったね。食後のデザートはアイスにしようか?」
「わぁ、気になってたアイスがあったんだぁ。このスーパーあるかなぁ?」
可愛いなぁと思っていると
「大ちゃんの………は?」
ん?俺?なに?なに?話聞いてなかった?やばっ。素直に謝ろう。
「ん?なぁに? ごめんね。聞いてなかったかも」
「大ちゃんの好きなアイスは?って聞いたの。どうしたの?疲れちゃった?」
「疲れてないよ。陽菜ちゃんと買い物が楽しくて浮かれてた」
そう言うと陽菜ちゃんは、またぁ、そんな事言う。と言って、ひとりでスタスタ行ってしまう。
「待って陽菜ちゃん。ごめんってぇ」
陽菜ちゃんを追いかけて行く。陽菜ちゃんも本気で怒っているのではないのはわかる。照れている時の陽菜ちゃんの行動のひとつ。
「大ちゃん、あったぁ」
陽菜ちゃんは気になっていたというアイスを持って笑顔で俺を待っていた。
「ほらカゴに入れて」
そう言うと、アイスをカゴに入れて嬉しそうにしている。
「大ちゃんはどれにするの?」
「陽菜ちゃんの味違いにしようかな」
「どっち?」
バニラと抹茶を持って聞いてくる陽菜ちゃんは可愛かった。
「陽菜ちゃん、どっちたべたい?シェアして食べようか?」
「良いの? それじゃあ、抹茶が良い」
「はい、入れて」
嬉しそうに抹茶味のアイスを嬉しそうにカゴに入れる陽菜ちゃん。
必要なものを買って、陽菜ちゃんと手を繋いで駐車場に行く。後部座席に買ったものを乗せて、俺たちも車に乗り家に向かうためハンドルを握る。




