表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/146

藤堂先生×意外な持ち物

「藤堂先生、白衣のポケットに可愛らしいものが鎮座してますね。ん? あれ? でもそれ、どこかで見たことあるような……」


「あぁ、これね。うん」


 めんどくさい事になる前に岩崎先生から離れなくては。


「あっ、ちょっとどこ行くんですか。いやいや待ってくださ〜い」


「コーヒー買いに行ってくる」


「えぇ〜、いまぁ!」


 サッとその場を離れる。


──使ってくださいって言われてそのままだったなぁ。この子、このポケット居心地良かったのかも知れないなぁと勝手な想像をする。



 昨日のナースステーション。


 急ぎの書類を忘れていたため、師長に催促されていたのだが、書類にサインしようと思いポケットからポールペンを取り出した。


「あれ? 書けない」


 余白にクルクルペンを走らせてみるけど書けない。他に書くもの持ってないなぁ。困っていると。


「藤堂先生、何かお困りですか?」


 目の前から声をかけられた。


「あっ、陽菜ちゃん。師長に書類催促されててね。書いてたんだけど、ボールペンのインクが出なくてサイン出来ないんだよ」


 そう言うと陽菜ちゃんは、私ので良かったらどうぞと、白衣のポケットから可愛らしいキャラクターがついたボールペンを差し出してくれた。


「私、他にもあるので良かったら使ってください」


 差し出されたペンを受け取ると、坂倉看護師に呼ばれて行ってしまったので返すことができず、こうして白衣のポケットに挿したままになっていた。


「藤堂先生、今日もまたポケットに鎮座してますねぇ。ふふっ、その子の居場所が、陽菜ちゃんのポッケからお引越ししてきたんですね。もう、大事そうにポッケにいらっしゃいますね。ってか、僕のポッケにお引越しさせませんか?」


 岩崎先生の軽いノリから逃げるべく。


「引っ越しはしません。ここで定住です」


「うわっ、即答ですね。僕もおねだりしてこようかなぁ。白衣のポッケ寂しいもんで」


 岩崎先生のポケットに、製薬会社の名前が入った、どこにでもあるようなボールペンを敷金礼金なしで入居させた。


「はい。これでポケット寂しくないからね。そろそろ回診の準備して」


「えぇ〜、これ可愛くないです! ポケットに鎮座しなくて良いですぅぅ〜」


 岩崎先生の叫び声が医局にこだました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
藤堂先生の、定住宣言に敷金礼金無しとか、いい大人男性のほのぼのなやり取り、面白かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ