表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/146

年末×差し入れ

「みんな、今年もお疲れ様ね。年末のお約束。年越しそば&年越しうどん。好きなのを選んでねぇ」


 そう言って依元師長は、ナーシングカートにカップ麺の段ボール箱を数箱積んでナースステーションへ入ってきた。毎年恒例の、師長から病棟スタッフへの差し入れのひとつ。


「師長ぉ、ありがとうございますぅ」


 真っ先に反応する悟。


「悟くん、2個あげるわね」


「師長ぉぉ、大好きです。愛してますぅぅ」


 始まったわ。師長と悟のミニコント。と誰もが思っている。ここで声をかけようものなら、火の粉が飛んでくる事もわかっているので、誰も何も言わない。その代わり──


「弥生先輩、どれにします?」


「悩むわよね。私、去年は食べたことなかったからカレーにしようと思ってたら、まさかの1番人気。帰る頃には無かったんだよね」


「そうでしたね。定番のうどんが残ってましたよね」


「それはそれで美味しいんだけどね。おあげさんがジューシーで」


 師長と悟以外で、盛り上がる。


 両手にカップ麺を持ち、にこにこ顔の悟に、依元看護師長が近寄る。


「悟くん、2個取ったわね」


「はいっ。いやぁ、師長はほんと太っ腹ですね~」


『太っ腹ですね~』


 この一言に、場の空気がピリついた。なぜなら、最近師長はお腹周りのお肉を気にしていたからだ。


 それを知ってか知らずかなどはどうでもよく、太っ腹などというワードを口にした悟。


「かわいそうに。悟は市中引き回しの末に、島流しの刑に処されるわね」


 私の隣で弥生先輩が呟く。


「21世紀の刑とは思えませんね。無事に年越せるといいですね」


 カップ麺を師長に奪い取られると、そばより長いお叱りタイムが始まった。


 私と弥生先輩は、悟に手を合わせると、カレー味のカップ麺をゲットして喜んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ