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悟×上機嫌

 午後の病棟は、急変もなく落ち着いていた。研修のレポート提出の期限も迫っていたこともあり、悟に声をかけることにした。


「悟、研修のレポート提出期限今週末だよ。ちゃんとできてる?」


「弥生先輩、そりゃあもうバッチリです」


「それじゃあ、もらっておこうかな。提出して」


 そう言って手を出すと。


「弥生先輩のお手を煩わせる事なくちゃんと後から提出しますから大丈夫です」


 僕のその言葉で弥生先輩は、業務に戻っていった。


──うわっ、忘れてたよ。半分書いてそのままだったわ。やっべぇ。あっ、今日六花ねぇちゃん来るから手伝ってもらお。


──持つべきものは頼りになるお姉様だよね。うんうん。六花ねぇちゃんに連絡入れておこう。


 メッセージを入れたら速攻で着信が返ってきた。


 うわ、電話じゃん。ねぇちゃん、仕事は? と心配しつつ電話に出る。休憩中とはいえ、ここはナースがいつでも立ち寄れる休憩室と言うことをすっかり頭からこぼれ落ちていたのか。


「もしもし、六花ねぇちゃん。悟だよ。あのね、六花ねぇちゃんに手伝って欲しい事があるんだよ。先週さぁ、研修に出たんだけど、レポート提出があってさ。半分書いてそのままにしてたの忘れてて、さっき弥生先輩に提出して〜って言われて思い出したんだよ。ヤバくない? 六花ねぇちゃ〜ん」


「仕方ないなぁ。今回だけだよ」


「ありがとう。六花ねぇちゃん、大好きだよ〜」


 そして、通話終了のボタンをタップした。


──よし、これでレポートの心配は消えた。さぁ、オムツ交換に行きましょうかねぇ。


「真子ちゃ〜ん、オムツ替えましょうねぇ。お利口ちゃんでちゅねぇ。いっぱい出まちたねぇ。綺麗にしましょうねぇ」


 手際よくオムツを替え、モニター数値に異常がないことを確認する。


「うんうん今日もいい子ですねぇ」



「ねぇ、悟、なんか機嫌良くない?」


「そうですよね! 私もさっきから見ててそう思います。やたら元気ですよね」


「さっき、弥生先輩にレポートがどうのって言われてましたけど、その割に元気ですよね」


「普段ならレポート、どうしよう。助けてください! とか言ってきますよね?」


 真智先輩とコソコソ話す。


「なんか、怪しいですよね?」


 そんな会話をしていると。


「陽菜先輩と真智先輩、どうしたんですか? お手手止まってますよ」


「悟」


 真智先輩が僕を呼ぶので。


「はーい、真智先輩。どうしました?」


「なんかいい事あったの?」


「へっ? 特に無いですよ」


「機嫌良くない?」


「嫌だなぁ、真智先輩。いつも通りですよ」


──変な真智先輩だなぁ。さぁ、ラウンド行こう。忙しいなぁ〜。居残りしないで帰らないといけないから頑張らねば! 六花ねぇちゃんが、来てくれる〜。


「さぁ、お仕事お仕事」


 悟が上機嫌になればなるほど、他の看護師はみんなこう思う。


『このあと絶対、何かやらかす』と。


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