緊急コール×ドクターコール
「陽菜先輩、コードブルー実際に経験して、専門知識がなくてもできることってあるんですね。勉強になりました」
「悟、落ち着いてできてたと思うよ」
「うわぁ、陽菜先輩に褒められたぁ」
そんな会話をしていたらどこから来たのか、看護部長がナースステーションで依元師長と話していた。
「ふたりに特別にミニ研修を開いてあげましょう」
看護部長が、何やら不穏なことを口走った。
「笹井さん、館内放送でかかるコールはどんなものがある?」
「コードブルー、コードホワイト、コードオレンジです」
「矢崎さん、他にありますか?」
「大きく分けて緊急コールかドクターコールだと思います」
「そうね。笹井さんの言ったものは緊急コールを細かく分けたもの。矢崎さんの解答が良いわね」
「それじゃあ、笹井さん。コードブルーとドクターコール。ふたつの違いは?」
おっ、いきなり確信に迫ってきた。研修って言うよりテストだぁ、と内心思わないわけではないけど、良い機会なのでしっかり学ぼう。
「へっ? う〜ん」
解答に悩んでる様子の悟。
「それじゃあ、矢崎さんわかりますか?」
「緊急度の違いで使い分けを行います。コードブルーは、気道閉塞、呼吸停止、死戦期呼吸、心停止、意識消失など生命の危機的状況の時です。ドクターコールは、危険な徴候はあるものの、呼吸や循環が何とか維持できている場合の時です」
「正解です。緊急か緊急ではあるものの、少し待てるかの違いです。矢崎さんよく勉強してますね」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、笹井さん。答えてくれたコードホワイトってどんなコールですか?」
「はい。院内で暴言・暴力が発生した場合コールされるものです」
「そうですね。警備員向けのコールですが、手の空いている職員は駆けつけて暴言を受けている人を助けてあげる事が重要です」
看護部長のミニ研修が終わり看護部長は病棟師長の依元看護師長に。
「勉強熱心なナースが多いですね。普段からナースの育成が行き届いてますね」
「ありがとうございます」
その日はとっても機嫌の良い依元看護師長だったのは言うまでもない。




