陽菜×出会い③
外科病棟で五条先生に診察、真中看護師長に処置をしてもらいNICUに戻った。
「戻りました」
「陽菜先輩! 右手首が大変なことになってませんか?」
「いやいや、打撲だから。しばらく負荷禁止らしいから悟さん、沐浴はよろしくね」
「うわっ、それが大変なことじゃないですか」
そんな会話をしていると依元師長と真智先輩がナースステーションに入ってきた。
「あら、陽菜ちゃん戻ったの? どうだった?」
「五条先生に診察してもらって、真中師長に処置していただきました」
「あら、まぁちゃん! うちの子だから頑張ってくれたのねぇ。ふふっ、任せた甲斐があったわね」
「五条先生が主治医なんて、へぇ〜」
報告途中なのに師長と真智先輩が、何やらふたりで盛り上がっている。
「打撲だったんでしょ。しばらく負荷のかかる事は、悟や前田に任せて安静にしてなさい」
真智先輩が声をかけてくれた。
「陽菜ちゃん、普段置かない箱をあの場所に置いたの私なのよ。だからごめんなさいね。勤務は配慮するから許してね」
ってか、師長だったんかい! あんなところに置いたの。でもだからって怪我したのは私の不注意だし師長のせいではない。
「ありがとうございます」
師長や真智先輩の計らいで、沐浴や搬送担当、オペ担当からは外れていた。代わってもらった先輩たちには申し訳なかったけど、相手が極小新生児ということもあり、いざという時に今の私では、万全の体制で処置に望めないので、ここは素直に代わっていただくことにした。
「陽菜ちゃんにはしばらくの間、事務的なことを中心にお願いするわね」
「はい。申し訳ありません。早く治すように努力します」
「少し早いけど休憩に入ったらどうかしら」
師長の言葉に。
「そうですね。病棟も落ち着いているし、手首も休ませた方が良さそうですしね。陽菜ちゃん、ゆっくりお昼しておいで」
真智先輩が気遣って声をかけてくれた。




