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陽菜×出会い②

 依元師長に促されてナースステーションを出た私は、外科病棟に向かう。ここ周産期医療センターは同じ敷地内の別棟なので、一般病棟の外科病棟へ行くには少し距離がある。外科病棟は第3病棟の6階だ。


 痛む右手首をさすりながら外科病棟を目指す。


「お忙しいところ申し訳ありません。NICU病棟の矢崎です。依元師長からこちらで診察をしてもらってくるようにとの事なのですが」


 外科ナースステーションで声をかけると、奥から師長の証であるラインの入った白衣を着ている看護師長が声をかけてくれた。


「あっ、依ちゃんから聞いてるわ。処置室で診察しましょう。ドクター呼ぶから少し待っていてね。ご指名のドクターがいる?」


「いいえ。診ていただけるのなら手の空いているドクターで大丈夫です」


「そんなこと言ったら研修医がくるわよ」


「えっ。できたら……」


「ふふっ。わかってるわよ。依ちゃんのところのナースちゃんだもの。ベテランドクターを呼んでくるわね」


 そう言うと、近くにいる人に。


「原田さん、五条ドクター呼んできてもらえる?」


「わかりました」


 仕事の手を止めさせてしまい申し訳なく思い、原田と呼ばれた看護師に私は頭を下げた。しばらくしてひとりのドクターがナースステーションに入ってきた。


「真中師長、遅くなって申し訳ない。お待たせしました」


「私の同期の依ちゃんのところのナースさんなんだけど、手首を痛めちゃったみたいで、診察をお願いしたいって連絡もらってここに来てもらったんですけど、五条先生今から診てもらうことってできますか? この子なんですけど」


 そう言ってドクターの前に押し出される。


「NICU病棟ナースの矢崎陽菜です。お忙しいところを申し訳ありません」


「外科医の五条ごじょう陽向ひなたです。陽菜ちゃんっていうの? 名前が似てるね」


 そう言ってお互いのネームプレートを見て親近感を覚える。


「はい。主治医の先生と名前がお揃いみたいで覚えやすいです」


「それじゃあ、診察しようか。さっきから右手首を庇ってて痛そうだから治してあげないとね。仕事も辛いだろうから。処置室行こうか」


 そう言いながら処置室へと促し診察してくれた。


 レントゲン検査を受けて五条先生に検査結果を聞く。


「レントゲンの結果は、骨には異常なかったから安心して。手首の打撲ってところだから、暫くは右手首に負荷をかけるのは禁止ね。湿布を処方しておくからもらって帰るの忘れないでね。3日後、見せに来てくれる? 今日みたいに病棟で良いから」


「はい。わかりました。五条先生本当にありがとうございました」


「どういたしまして。真中師長、ロキソプロフェン貼ってあげて」


 五条先生に声をかけられた真中師長が、私の右手首にロキソプロフェンの湿布を貼り、包帯を巻いて溜めてくれた。そしてお礼を伝えると、私は外科病棟を後にした。


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