陽菜×看護記録
「矢崎ちゃん、彰斗君の看護記録を見せてもらっても良いかな。どこにある?」
「あっ、ここにあります。すぐに記入仕上げちゃいますから、少し待ってもらえますか?」
「急がなくて良いよ。終わったら教えて」
新生児科医の鴻上翔先生は話しやすく、お願い事をしやすいため看護師の中で、頼りになるドクターとして断トツでナンバーワンの人気の医師だ。
「鴻上先生、お待たせしました。彰斗君の看護記録です」
「ありがとう。確認終わったら診察しようか」
「はい」
鴻上先生は看護記録を確認しながら詳しく知りたい時は質問してくる。
「矢崎ちゃんの看護記録は読みやすいね。的確に知りたいことが書かれていて無駄がない。ありがとう。さぁ、診察行こうか」
「はい」
超低出生体重児で生まれた彰人君、このNICUに入院して数ヶ月。経口栄養になってミルクの量も増えたおかげで、順調に体重も増加してきた。
「血液検査して結果が良ければ、そろそろ退院も視野に入れて進めていこうか」
「はい。指示書が届き次第採血して検査に回しておきます」
「うん、よろしくね。指示書はすぐに書くね」
診察を終えた鴻上先生は、医局へ戻っていった。
「彰ちゃん、もうすぐお家に帰れるよ。お姉ちゃんに会えるね。良かったね。でもその前にチックンさせてね」
オムツを替えながら、話しかけると、あくびをして眠そうにしている彰ちゃんが、微笑んでくれたように感じられた。