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陽菜×異病棟交流会③

「春海真悠子が語る、可愛い後輩陽菜の黒歴史を聞きたい人挙手をお願いします。多数決を取りたいと思います」


 は? 何を言ってるんですか! 多数決なんて絶対に良いわけないじゃん! 私の味方、居ないやん!


「はーいはーい、聞きたいです!」


 妙ちゃん、食い気味に言わないでよ。自分の包帯話バラされたからって巻き添え食らわさないでよ!!


「インターンシップの時の事かな?」


 桐島先生、何後押ししてるんですか!


「それは皆さん知り過ぎてる話なので、新ネタで行きますよ」


 真悠子先輩、何を話すつもりですか!?


「それでは、可愛い可愛い後輩の陽菜ちゃん黒歴史の発表で〜す」


「待ってました!」


「いぇーい」  


「おかわりもありますよね?」


 何おかわりって!? 不貞腐れてやろう。真悠子先輩の黒歴史を思い出してやるぅ。と内心思っていた。それを発表できるかは別問題だけど。


「それでは可愛い後輩陽菜ちゃんの学生時代の可愛い可愛い黒歴史を発表しま〜す。今では看護師として針処置をサラッとかっこよくしている陽菜ちゃんですが、学生時代の授業で血糖値を測定する実践実習の時のこと。自分に針を刺すのを躊躇ってなかなか刺せずにいると、グループの羽佳うかちゃんが腕を抑え、班長の紫野しの君がぷちっと指に針を刺したんだよねぇ。陽菜ちゃん」


 って、なんで知ってるの? 誰? バラしたの! グループの誰かって事だよね。守秘義務違反しそうなのは小原かっ! きっとそうだよ。いつもペラペラ自慢気に話してるもんね。制裁を与えてもらわなくちゃ。おいおい、自分で下さないのか。グループLINE②に速攻で報告しよう。きっと他にも犠牲者がいるはず! きっとそうだ。謎の正義感に燃えていた。


「陽菜ちゃん、可愛いね。痛いもんねぇ。指先に針ぷちっ」


「あはは」


 ほらぁ、こうなると思ったんだよ。笑い者だよ。そんな時に桐島先生が。


「学生時代は、色んなこと経験して一人前になる準備中だから良いんだよ。インターンシップで泌尿器科に来た時の意欲的なところは好印象だったよ。でも可愛い陽菜ちゃんには刺激が強すぎたよね」


 その言葉を引き継いで、真悠子先輩がノリノリで補足を始める。


「そういえば下半身処置補助を担当した患者に、猛烈にアタックされてたよね」


「そうなんですよ。これからも僕の下半身の看護をずっとしてもらえませんか? アドレスとか番号教えて欲しいですって結構言われて困ってたら、指導看護師が病棟師長に話してくれて事なきを得ました。だから泌尿器科配属希望はしないでおこうって思いました」


 桐島先生が、ちょうどその場を見ていたようで。


「俺に相談してくれたらビシッと"立派な看護師になったら私が口説く予定だから諦めてくださいね"って言ってあげようかと思ってたのに残念だったよ」


「色々とご心配をおかけしてそして助けてくださり、ありがとうございました。NICUでは口説かれませんので大丈夫です」


「まぁ、喋れない子ばかりだもんね。でも、家族とかさぁ、やんちゃな人とかいると思うよ。困った時はいつでも言ってね」


「依元看護師長が居ますからたぶん大丈夫だと思いますけど、本当に困ったらその時はよろしくお願いします」


「任せて。陽菜ちゃんのためなら転科希望出すよ」


「桐島先生、新生児科医になるんですか?」


「違うよ、陽菜ちゃんを泌尿器科に推薦してこっちに頂こうかと」


「絶対にやめてください。泌尿器科には行きませんから」


 このやり取りを見ていた、理学療法士の羽山さんが。


「桐島先生、看護師を敵に回すと、仕事しにくくなりますよ」


「これ、アウトですか?」


「アウトです!」


 思わず出ちゃったよ。本音が。


「えっ? それセーフじゃない?」


 妙ちゃん、もうお口は閉じてください。それ以上喋るならそのお口に麻酔してもらうよ。しばらく喋れないからね! いやいや、そこは縫い付けるよ! だったっけ? どっちでも良いかっ。そんな時に。


「はーい。それでは私からも陽菜ちゃんの暴露話をひとつ、先輩方にプレゼントします」


 はっ? 妙ちゃん? 何言ってるの? ってか、何を言うの? 変なこと言ったら、妙ちゃんの恋愛アプリで大暴走してるの発表しちゃうからね! 覚悟してよ妙ちゃん。少しだけ睨んでおく。


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― 新着の感想 ―
[一言] 誰にでもあるんですよね。 黒歴史は。
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