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陽菜×異病棟交流会②

 乾杯も済み、席の近い人同士で話に花が咲いている。


「さぁ、ここからは暴露大会ですよ!」


 はっ? 何ですかそれ。黄島さんひとりで盛り上がっていてください。


「自分で暴露するもよし、可愛い後輩の暴露話でもよし、先輩の暴露話でも良いですよ。さぁ、どうぞ!」


 そんなこと言われて我先に話し出す人なんていないと思う。アホなのかこの人? そう思っていると、勇者がいた。


「そういう黄島さんから、どうぞ」


 妙ちゃん、君は勇者かっ。でも、ここでこの話を許すと自分たちにも火の粉が降りかかってくるんじゃないだろうか? 頑張って回避しなくては!


「僕から? 言い出しっぺだもんね。了解です」  


 黄島さんはそう言うと景気付けなのかビールを飲んで、話し出した。


「僕、今回の看護師の国家試験合格ライン入ってたと思ったんだけど、合格ライン下1割に入っちゃって不合格だったんだけど、仕事しながら来年こそは!って思って、早くも3年目なんだよね。この仕事も結構好きで僕的には合ってるのかなぁって正直思うこともあるんだけど、来年こそはって思って、今年は時間を見つけて勉強をするようにしたんだ。来年度は皆さんと肩並べます。待っていてくださいね」


 決意表明か? 暴露ではないよね? まっ、頑張って朔太郎!? いけない真悠子先輩のが移ってきた。やばいやばい。


「あんたやる気になるのが遅いんだよ。もっと真面目にやりなさい!」


 真悠子先輩のひとことに項垂れる黄島さん。そんな流れを断ち切るように、妙ちゃんの先輩が手を挙げた。


「八重子、何手上げてるの?」


「次私ね!」


 そう言って花宮先輩が話し始めた。自爆するのか爆弾投げるのか? 


「私、指導看護師になってこの子を預かったの3人目なんだけどね」


 そう言いながら、妙ちゃんを見ながら話を進める。


「まぁ、何やらせても出来が悪いのなんのって。看護学んできたのかってくらいだったのね」


 えっ? マジかっ。 


「あはは、荒井さんぶっ飛んでたんだね」


 ここで桐島先生が、相槌を入れる。


「消毒終わりの患者さんの包帯の巻き直しをさせたの。そしたら、ゆるゆるで処置室から病室に戻るまでに取れちゃって、患者さん、包帯ひらひらさせながら歩いてて、病室に着いた頃には包帯取れて無くなってたよね。その取れた包帯、ナースステーション前に置き去りにされてたわよね、妙子ちゃん!?」  


「八重子先輩も似たようなことあったから気にしなくて良いわよって師長が言ってました」

 

 妙ちゃん、言い返したらダメだよ。いくらお酒の席だからって先輩のこと暴露したら、生き残れないよ。


「は〜い、妙子ちゃん、今度の夜勤でひとりラウンドだからね」


「ひぇ〜、八重子先輩のあくまぁ〜、閻魔様」


「なんとでも言いなさい。夜中のナースコール全部担当させてあげるから」


 ほらぁ、妙ちゃん。頑張れ!


「もう、陽菜、笑わないでよ!そういう陽菜だってなんかしでかしてるでしょ?」  


「してないよ。私、割と優秀だもん。じゃないとNICUで頑張れないもん」


「陽菜ちゃん、看護学生時代はあったわよねぇ」


「そんなに昔のことは時効です。って、真悠子先輩、意地悪ダメですよ」


「意地悪じゃなくて愛情表現じゃない。可愛がってあげてるでしょ。私からの愛、ひしひしと感じるでしょ」


「ノーコメントでお願いします」


 そんな事がこの飲み会で許されるはずもなく、真悠子先輩がどんどんバラしてゆく私の黒歴史。


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