真悠子先輩×企み
「なんのために来てもらったのか忘れるところだったわ」
真悠子先輩が、思い出したかのように声を出した。
「陽菜、今日一緒に帰ろ」
「ふぇ」
なに? これを言うため? さっきの内線でよくない? わざわざ私がここにくる意味は? そんなことを独り心愚痴ていると。
「ひぃ〜なぁ〜ちゃん、何か言おうとしてる?」
「いいえ」
先輩相手に文句を言えるはずもなく。
「ねね、一緒に帰ろ」
「はい。久しぶりで嬉しいです」
「そうだよねぇ」
そう言いながら真悠子先輩は、どこかに連絡を入れている。
「あっ、もしもし。私! 陽菜ちゃん確保」
ん? なんか色々と突っ込みたいところはあるが、2人で帰るんじゃなさそうな、そして、何かある様な気がしてきた。こういう時の勘て意外と当たる気がする。
「さぁ、陽菜ちゃんロッカー行って着替えようねぇ」
真悠子先輩のひとことで、仕方なく腹を括ることにした。
「お邪魔しました」
泌尿器科ナースステーションの看護師さんに挨拶して、ご機嫌な真悠子先輩に連れられ女子更衣室まで来た。
「着替えたら入り口の椅子のところで待ち合わせね。帰ったらダメだからね」
「はーい。それじゃあ、着替えてきます」
それぞれのロッカーに向かう。




