私の望んだハッピーエンド
画面に映ったThe Endの文字を見て、私は狂ったようにモニターを揺らす。
「うそっ、やだやだやだ!
あのリアンを救わずにどうして終われるの!?
製作陣は血も涙も無いわけ!?」
もちろん、私がこんなに発狂しているのはちゃんと理由があるのだが…その前に、このゲームについてちゃんと説明すべきだろう。
私の愛するゲーム『黒き世界で輝く君と』は、悪魔に惑わされた国王がすでに家庭を築いていた幼馴染の女性を略奪し、監禁して無理やり産ませた王太子が影のあるヒーローに…という設定が色々と辛すぎる作品だ。
ちなみにヒロインは権力欲に塗れた公爵家に生まれて虐待されながらもなんとか真っ当な感性を持って生きてきた公爵令嬢で、異常者を親に持つ2人は婚約者となることでお互いを知り、傷を舐め合う仲になる。
そして2人は関係を深めていき、やがて緻密な策略のもとにお互いの親を粛清していくというのが物語の主軸だ。
このゲームは乙女ゲームでありながらヒーローは固定制で、どちらかというと恋愛より政略や復讐といったシリアスに重点を置いている。
そのため一部のマニアには受けたのだが…個性が強すぎたのか売上は低かったようで、続編は作らないとつい最近発表された。
その発表を見た時は仕方ないか…と諦めたが、こんなエンドを迎えるならば話は変わる。
「マジやってらんない、こんなハッピーエンド絶対に許せないんだけど!!」
何故なら私はその一部のマニアであり、"死よりも悲劇的な結末を迎えたドアマット脇役"とファンの間で称されたリアン推しだったからだった。
私の推しのリアンは白髪で赤い瞳をした無表情がデフォルトの闇堕ちイケメンだ。
でもそれは彼の望んだ姿ではなく、本当の彼はさらさらの金髪にエメラルドのような瞳を持つ、笑顔の素敵な少年だった。
そんな彼が何故闇堕ちしたのか?
それは、彼が5歳の時のこと。
ある日突然彼の母親が国王に攫われ、侯爵兼騎士団長であった父親は国王に毒殺されてしまったのだ。
そして愛しい人と他人の間に産まれた子であるリアンを憎んだ国王は、リアンを殺したふりをして国王直属の魔塔に属する魔術師たちの実験道具にした。
それからのリアンというと…ポーションの実験のために目を抉られたり四肢を切られたりされるだけでなく、魔物の血を体内に注入させられるなど、口にするのも悍ましいような虐待をされては、回復呪文をかけられていた。
そんな拷問のような実験をされ続けたせいでリアンは半分魔物体質になってしまい、見た目も魔物の特徴が出た白い髪と赤い目に変わっていたという設定である。
リアンはそんな激重裏設定を持つキャラクターだからか、登場するシーンは全て感情がないような無表情で、目の奥に光がない。
多分、長年の拷問で心が壊れてしまったからだろう。
私はその目を見るたび、胸がギュッとするような感覚に襲われた。
でもゲームの中でリアンが唯一感情を出す場面があって、それは反逆を起こしたヒーロー達の手によって魔塔が滅んだ時。
ヒーロー達に隷属の首輪を破壊してもらったリアンは魔塔主を自らの手で殺し、その時に「やっと終わるのか…」と呟いて少し口角をあげるのだ。
そのあまりに美しすぎる笑顔にヤラれた女はきっと私だけではない。
しかしリアンはその後すぐに無表情に戻ってしまい、実験の末に化け物になってしまった自分を殺してくれとヒーロー達に頼む。
勿論ヒーロー達はお優しいので、被害者であるリアンを殺すことはなく、そのまま元凶の国王を倒しに向かうのだ。
そしてそれ以降、リアンの姿は出てこない。
…そう、一切出てこないのだ。
「マジでしんどい…お金なら積むから、リアン救済ルート出してくれないかな?」
リアンの見た目が好みドンピシャだったこと、そしてリアンが少し口角をあげたあの瞬間に恋に落ちてしまった私。
最後までリアンが救われないことがどうしても許せなかった。
だって他の不遇な人たちはヒーロー達のように幸せになるか、死によって救われるかが描かれているのに、リアンだけエンドすら無いなんて不公平じゃん?
もちろん、ファンとしては生きて幸せになってほしいけど、リアンの望みが死ならそれでもよかったのだ。
彼が死んだら絶対泣くし、死ぬほど辛いだろうが、苦痛だらけだった彼の人生に終わりが訪れるなら、と納得できただろう。
でも製作陣はリアンの物語を描き切らなかった。
そのことがリアン推しの1人としてひどく悔しい。
「でも、モニターに文句言っても仕方ないか」
ふと現実に戻り、置き時計を見ると、針はもう深夜2時を指していた。
いけない、つい夢中になって時間を忘れていた。
明日も仕事だし、早く寝なきゃ…と気持ちを切り替えようとしたその時、モニターの画面が真っ白に切り替わる。
「え!?」
まさか壊れたのかと驚いて画面を覗きこむと、そこに魔法陣らしき模様が徐々に浮かび上がってきた。
え…なにこれ?最新のウィルス?
私は慌ててパソコンのコンセントを抜いたが、何故かその魔法陣は薄くなるどころか濃くなっている。
「ど、どうして!?」
私は焦ってモニターを揺さぶるが、何も変わりやしない。
そしてついにハッキリと魔法陣が見えるようになった時、それは部屋を包み込むほど眩しい光を放った。
あまりの眩しさにとっさに目を瞑ると、誰かが耳元で囁く。
「優しく勇敢な心を持つ人。
どうか、哀れなあの子を救ってあげて」
その声は、リアンの回想に出てくる母親の声にどこか似ている気がした。
──────────────
「リゼット、何してるんだ?」
「な、何でもありません!
なんかこの檻、血が飛んで汚いなぁって思ってついつい熱心に拭いちゃいました」
そう言って、私は自分と同じ黒ローブを着た男の先輩に向かって雑巾を持ちながら弁解するように手を振る。
そしてさっきまで持っていた針金はスッと袖の中に隠した。
年中黒ローブは暑苦しいと思うが、こういう時に役立つと考えるとなかなか悪くない。
「檻?おいおい、そんなものの掃除する暇あったら床や実験道具でも磨いたらどうだ?
どうせソイツは心が壊れてんだ、檻がどうだろうと気にしない」
そう言って先輩が顎で指した檻の先には、何も無い天井をボーッと眺める青年がいた。
はぁ??そもそもテメェは掃除すらしてねぇだろうがよ。
私は先輩の言葉でピキッと怒りで血管が浮くのを感じつつ、なんとか愛想笑いを浮かべる。
「…そ、そうですよね。
じゃあ後は私がピカピカに磨いておきますんで、先輩は先に帰って休んでいてください!」
「そうか?じゃあ任せたよ」
そう言って、さっきから椅子に座りうたた寝していた先輩は嬉々として立ち上がり、外へ出ていく。
アイツ、そんなに掃除が嫌だったのかよ。
「こちとら色んな雑用を受けてようやく勝ち取った座だってのに…
ま、絵に描いたような愚か者で逆に助かったけどさ」
愚痴を言いつつ、私は先輩の足音が遠のいたのを確認してから部屋の扉の鍵を閉め、中断していた檻のピッキングを再開した。
誰かにバレたら間違いなく殺されるが…そんなこと今更気にしてられない。
全ては目の前の推し、リアンを助けるためなのだから。
時は少し遡り…
モニターの光に目をやられた私は、気づいたらリゼット・モンアという魔塔の見習い魔術師になっていた。
最初は一体何事かと思っていたが、目覚めてすぐに仲間に連れられてやってきた魔塔集会であの憎たらしい魔塔主の顔を見た瞬間、ここがあのゲームの中だとすぐに理解した。
どうやら、神は私にチャンスをくれたらしい。
私が乗り移ったらしいリゼットは、ゲームにも出てこない茶髪茶目の平凡なモブキャラだ。
…いや、もしかしたら魔塔主の後ろにいた黒マント軍団の1人だったかもしれないが、何せフードで顔が見えなかったのでそこらへんは気にしないでおく。
とにかく、親近感さえある平凡顔のリゼットは、どうやら魔塔の見習いに成り立てだったらしく、先輩魔術師から様々な雑用を任せられた。
しかし私は笑顔で雑用を引き受け、先輩たちに尻尾を振った。
全ては、3ヶ月に一度だけの魔塔主の実験部屋の掃除係の座を手にするためである。
「魔塔主の実験部屋の掃除って、リゼットったらそんなのやりたいの?
本当に変わり者ね…あんな血や何かがこびりついた気持ち悪い空間を掃除するなんて、私ならお断りよ」
「実は私、グロいのが大好きで…だからお願いします!
1ヶ月後の掃除当番、私を当ててくれませんか?」
私は仲良くなったそこそこ偉い魔術師のサリー先輩に上目遣いで頼み込む。
するとサリー先輩はため息を吐き、「仕方ないわね」と呟いた。
「本当は別の子を当てる気だったんだけど…リゼットがそこまでやりたいなら止めないわ。
あぁ、でも必ずパートナーと行動するのよ?
隷属の首輪が着いてるとはいえ何が起こるかわからないんだから」
「っ、はい、わかりました!」
それからの私は、こっそりと魔塔の地下に降りてピッキングの練習をしたり、隷属の首輪を外すために魔塔主に向かって思いっきりずっこけて白衣に付いていた髪の毛を取ったりした。
あの黒髪ロングサイコパスな魔塔主に向かってコケるのは流石に勇気が必要だった。
しかし魔塔主は身内には甘いのか、「魔塔にこんなドジな子もいるんですねぇ」と笑って許してもらえた…え、許してもらえたよね??
とりあえず今私の身には何も起きてないので、大丈夫だと信じたい。
そんなことを思い出しつつ、ピッキングを続けていると、カチャッという音と共に鍵が外れる。
「よし、外れた!」
私は檻の扉を開き、リアンの元へ駆け寄って首元にある首輪を確認する。
そしてポケットからハンカチに包んでいた魔塔主のハンカチを親指に巻きつけて隷属の首輪の魔石部分に当て、解除するための呪文を口にする。
本当は血の方が早く終わるのだが、髪の方が怪しまれず入手できるので多少手間がかかってしまうがこちらを選んだ。
「…ミロレルガ エッセロ」
そうして、5分ほど長ったらしい呪文を呟くと、赤い魔石がパリッと割れて、首輪が外れる。
するとその時、ずっと上を向いてボーッとしていたリアンがようやく私を目に映した。
どうやら、意識が戻ってきたらしい。
私は喜びで震える唇を噛み締め、微笑んだ。
「助けに来たよ、リアン」
それだけ言って、私はリアンに背を向けて急いで壁に爆発の魔法陣を描く。
何故なら掃除の時間は1時間程度しか取られておらず、その時間が過ぎれば魔塔主が戻ってきてしまうからだ。
あの先輩がただサボるのではなく、部屋でうたた寝なんてしやがったせいで時間をかなり無駄にした。
おそらくもう魔塔主が戻ってくるまであまり時間はない。
静かに脱出できればそれが一番良かったのだが、生憎ここは魔塔の最上階。
高層ビルくらいありそうなこの場所から多くの魔導士の目を逃れて脱出するのは不可能だ。
だから私は壁を爆破させ、穴を開けてそこからリアンに飛び降りてもらうことにした。
普通の人間ならともかく、半分魔物のリアンならおそらく無傷で済むはずだ。
魔法陣を描き終えた私は魔法陣に一番近い床に魔石を置き、そこから魔法陣が光っていくのを確認してから、こちらを無感情な目で見るリアンの手を引っ張ってそこから離れる。
少し抵抗されるかと思ったが、リアンは大人しく私に引っ張られてくれた。
…相変わらず無表情でこちらを見つめているが、今はそれどころじゃないので気にしないことにする。
私はリアンの横に立ちながら耳を塞ぎ、壁に描いた魔法陣を見てその時に備える。
すると魔石から巡っていった魔力が魔法陣に満ちたその瞬間、魔法陣が赤く光って爆弾のように爆発した。
爆発の光で閉じていた目を開くと、そこにはさっきまでなかった外へ通じる大きな穴ができていて、太陽の光が差し込んでいた。
成功だ…これで彼は物語よりも早くに苦痛から解放される。
私は彼の手を掴んで穴の前まで引っ張り、感情が失われた彼の顔を見た。
爆発音で魔塔主たちも異変にすぐ気づく。
リアンを逃した私は多分殺されるだろう。
だから私はリアンの頬に手を添え、今まで伝えたかったことを伝えることにした。
「リアン、あなたは化け物じゃない。
本来の貴方は優しくて、笑顔が似合う人。
きっとこれから貴方自身を見て愛してくれる人が必ず現れるから…
必ずその手を取って、幸せになってね」
そう言い切った時、我慢していた涙がポロッと溢れる。
まさかこんな言葉を推しに伝えられる日が来るなんて…我が一生に一片の悔いなし!!
そう思って彼から手を離した時、リアンがあの笑みを浮かべた。
少しだけ口角の上がる、笑い慣れてない人の微笑み。
そしてそのまま、彼の口が開く。
「…やっと見つけた」
そう言って彼は私の手を掴んで自分の方へ引き寄せ、私をお姫様抱っこした。
「へっ???」
「ちゃんと掴んでてね」
そう言って、リアンは私を抱えたまま壁の穴から下へ飛び降りる。
そのジェットコースターのような浮遊感に慌ててリアンの首に腕を回し、私は叫ぶ。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
え、なんで私も一緒に飛び降りてんの!?
私みたいなモブはあそこで退場するのが妥当では??
てか私、ジェットコースター苦手なんですけど!?
そう脳内で叫びながら目を瞑りひたすら胃が浮くような浮遊感に耐えていると、突然浮遊感が止む。
しかし相変わらず風を切るような感覚があり、違和感を抱いた私はそっと目を開くと、リアンが鳥のように飛んでいた。
…マジか、リアンって空飛べる系男子だったの!?
慌ててリアンの背を見ると、そこにはガーゴイルとか、悪魔っぽい見た目の黒翼がある。
え…リアンってば悪魔王子じゃん。
ビジュアルが良すぎて気絶しそうだ。
興奮するあまり鼻血が出ないか心配して鼻を押さえていると、リアンはフッと笑う。
えっ、それはファンサが過ぎるわ…
「君って本当、騒がしい子だね」
「え?」
「君の心の言葉、全部聞こえてるよ。
魔塔主は知らないけど、僕は心が読めるんだ」
「…マジですか?」
空中をすごいスピードで滑空しながら告げられる衝撃事実に、私は固まる。
え…じゃあ部屋に入ってからの私の妄想も全部ダダ漏れだったってこと?
それなら、サボってた先輩を罵る言葉も??
…なにそれ、恥ずかしすぎて今すぐ死にたいんですが。
「私を、殺してください…」
なんなら今すぐ手を離してここから落としてくれて構わない。
見た感じ地面より雲の方が近いし、頭から降りればきっとボキッと逝けるはず。
そう思ってリアンの首に回してた腕を解こうとした時、リアンが私を抱き止める力が強くなる。
そして耳元に口を近づけ、低い声で囁いた。
「ダメだよ、逃げるなんて許さない。
君が言ったんだろう?
僕自身を愛してくれる人を見つけたら離すなって」
「いや、確かに言ったけど…」
「やっと見つけたんだ。
もう二度と、見失わない」
そう言った彼の瞳は妖しく輝いていて、すぐに悟った。
あ…コレ、逃げられないやつだ。
どうやら、私はヤンデレエンドを勝ち取ってしまったらしい。
私は嬉しいやら悲しいやらもうどうすればいいか分からなくなっていた。
「大丈夫、まずはこのまま僕の異父兄弟と婚約者を探して、サッサとあのクソジジイを殺して母上を探そう。
それが終わり次第、魔塔を壊しに行こうか」
…なんか物凄い方向へ物語が進んでしまったような気がするが、あの国王は一刻も早く死ぬべきだとは思うのでスルーする。
魔塔だってこの世の為にサッサと消えるべきだと思うし、何よりリアンにとって最悪の場所なので私は更地にしたいレベルであそこが嫌いである。
「なるほど、更地ね…了解。
早く結婚式したいからなるべく早く終わらせるよ」
「そうだね……ん?」
今、何かものすごく大事なことを聞き流してしまった気がする。
だけど突っ込んだらもうフラグ建設完了して終わりな気がして、私はそのままスルーした。
そしてその後、リアンは宣言通りヒーロー達と手を組み、魔物の力を存分に発揮してあっという間に国王を殺し、魔塔を更地にしてしまった。
そして気付いたら彼との結婚式を迎えていた私。
このスピード感でいくと、すぐに孫に囲まれた老衰死まで辿り着きそうである。
それについつい忘れてしまいそうになるが、これ一応私じゃなくてリゼットの人生なんですよ…
そう思ってなんだか複雑な気分でいると、彼の母親が車椅子で近づいて来て、しゃがんで欲しいと言うので近くでしゃがみ込む。
すると彼女は私の耳の近くで内緒話をするように話した。
「大丈夫、リゼット・モンアは貴女のために用意した空の器よ。
リゼットは間違いなく、貴女自身だわ。
だから安心してリアンに嫁いでね」
そう言ってイタズラっぽく笑う彼女を見て、戦慄した。
あの時の声でまさかとは思っていたが、やっぱり彼女が私をこの世界に引き摺り込んだのか。
確かに、ゲームの中で彼女が魔術に長けているという話はチョロッと出ていたが…
なんというか、さすがリアンやヒーロー君の母親だ。
特に私を強引にこの世界に引っ張ってきたことに全く罪悪感が無さそうなところなんて、ここ最近のリアンの強引さにそっくり。
そう思って内心震えていると、機嫌の良さそうなリアンが部屋に入って来て、私に手を伸ばした。
両親のいない私に付き添い、入場から一緒に歩いてくれるらしい。
相変わらず私の推しは中身もイケメンだ。
「さぁ、行こうか。モモカ」
「わかった…ってあれ?今、私の名前呼んだ?」
「うん、その方が嬉しいのかと思って」
確かにリゼットよりも嬉しいけど、いつ私の名前を知ったんだ…あ、心を読んだのか。
当たり前のような心を読まれることに抵抗が無くなっているらへん、私もやばいかもしれない。
それにゲームの仕様で名前を呼んでもらえたことが無いからか、なんか本名で呼ばれると違和感がすごいんだよな…
今隣でタキシードを着ているリアンの姿だって、ゲームでリアンの結婚式のスチルとかあったらこんな感じなのだろうか?とか考えてしまう自分がいる。
やっぱりいまだに現実味が足りないのかも。
「モモカ、こっち見て」
そう言われてリアンの方向を向くと、突然噛み付くようなキスをされた。
いやいや、まだ会場にも入ってないのに流石にやばいでしょ!?と慌ててリアンの肩を押す。
するとリアンは私の下唇を犬歯で軽く噛んでから離れてから、耳元で囁いた。
「モモカ、ちゃんと現実の僕を見てね。
じゃないと、嫉妬で何するかわかんないや」
「いや、貴方自身にも嫉妬するの!?」
という叫びが結婚式場に響いたとか、響かなかったとか。
はてさて、これが私が望んだ結末だったのか…?
色々と疑問が残りはするが、まぁなんだかんだ幸せなのでいっかとも思う。
彼の幸せな結末こそが、私の望んだハッピーエンドなのだから。
たくさんの評価ありがとうございます。
もしよろしければ、連載作品も読んでいただけると嬉しいです。
ゆっくりですが、更新頑張ります。