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5.美少女転校生・・・と、再会

 

 翌日、学校に登校する。

 僕の足取りはとても重い。やはり、鍵山とその取り巻きの存在だろう。


 教室に入ると、


「おーっ、変態バレエ星人が来たぞーっ。」

 と、やはり鍵山に目をつけられてしまう。


「なんだよ。無視かよ。おい、挨拶がねぇなぁ。」

 鍵山は歩み寄る。そして。


 ボコスッ。


「・・・・っ。」

 僕の腹部を全力で殴る鍵山。


「・・・・ったく。なんか言えよ。こうして、挨拶してるんだからさぁ。」

 鍵山はニヤニヤと笑っている。


「痛ってぇよ、うるせぇなぁ。」

 僕は静かに言う。流石に、全力の腹部の殴打はきつい。ズキズキと痛む。


「チッ。まあ、良いだろう。」

 鍵山は手を止め、席に戻る。


 当然だが、クラス中はこのやり取りを当然無視。

 それが、ある意味で、この時代の、この地域の宿命だった。


 しかし。


 ガラガラガラッ。

 勢いよく教室のドアが開く。


「よ~し。お前ら。席に着け。」

 担任の先生の登場だ。

 勿論、担任の先生も、僕と鍵山のやり取りを当然無視。

 子供の戯れ、やられるのを止めたきゃ、お前がバレエを止めて、空手とかやればいいだろ。ということで処理されてしまうのだった。


 朝の挨拶を済ませ、朝のホームルームだ。


「さて。皆知っての通り、この場所は、マンションが一気に建設されてて、新しく引っ越して来る人も居るため、来年からは何と二クラス増える。」

 担任の先生がそう切り出す。


「そして、今日はそれに先行して、新しいマンションが既に二つ完成している。雲雀川の傍のやつと、駅の傍のやつだな。」

 担任の先生が大きく頷いている。


「というわけで、各クラス、今月は一気に転校生ラッシュとなり、一クラスに四人から五人増えるクラスもある。我が、二年四組も、それに当てはまり、新しい転校生が三人も増えるので、紹介しようと思います。」

「「「「うわぁ~。」」」」

 パチパチパチパチ!!


 担任の先生のこの言葉にクラス中が大騒ぎ。


「よ~しっ、皆、入ってこい!!」

 担任の先生から手招きを受けると、僕はさらに驚いた。


 自己紹介を促される。が。


「アメリカから来ました、原田裕子です。趣味はバレエです。」

「東京から来ました、藤田晶子です。趣味はピアノです。」

「えっと、同じく、東京から来ました、茂木春菜です。趣味は、歌で、声楽やってます。」


「・・・・・えっ。」

 僕はポカーン。既に知ってる顔が三人も。しかも、全員昨日会ったばっかり。


 ヒロの、アメリカというワード、そして、三人の趣味で、おおっ、となる教室の雰囲気。そして、一斉に鳴りやまない拍手。

「美少女転校生キター。」

 という男子の声。


 あまりにも驚きすぎて、それが全て聞き取れない僕が居た。


 そして、三人の視線は、あまりのも驚きすぎて、固まっている僕の方へ目が行く。

 当たり前であるが、三人も同時に驚く。


「「「えっ?」」」

 美少女転校生三人と僕。全員同じ表情をする。


「ヨッシー?」

「吉岡君。」

「吉岡さん。」


 一斉に僕に注目が集まるこの教室。


「あ、あのっ、おはようございます。」

 僕は突拍子もない声で言った。


「このクラスだったんだ。」

「よ、良かったです。知っている顔が居て、安心しました。」

「ま、またお会いできて良かったです。」

 美少女転校生三人はそれぞれ、ニコニコ笑う。


「あ、あの、昨日は本当にありがとうございました。」

 晶子さんが、頭を下げる。


「あ、あの、気にしないでください。僕は平気ですから。」

「いえいえ。改めて、お礼を言っておかないと。」


「へぇ。二人はヨッシーと知り合い?」

 そういえば、ヒロは、この二人と僕の共通点を知らない。


「えっと、昨日、迷子になってドブに落ちた妹を助けてくれて。その時に茂木さんとも出会って。」

「は、はい。」

 晶子さんと茂木さんは、昨日のやり取りを説明する。


「へぇ、そうなの?やるじゃん、ヨッシー。アタシは、昨日、学校よりも一足先に、ヨッシーの通ってるバレエ教室に入ってさ。」

「へえ。吉岡さんもバレエやってるんですか。男性は珍しいですが、素敵ですね。」

「確かに、吉岡君、スラッとしててカッコいいよね。」

 茂木さんのカッコいいという言葉に、少しドキッとする僕。


「あ、あ、あの、はい。ありがとうございます。」

 僕は顔を赤くしながら、頷く。



 そんなやり取りを遮るかのように、大きな声がする。


「あーっ、何で、この美少女転校生たちが、こんな、変態と一緒なんだよ。美少女転校生の皆さん、そいつは、女ばっかの所で、バレエやってる変態だぞ!!」

 叫び声の主は、鍵山だった。


 鍵山の反応に、クラス中は無反応。

 いつもはこれで、鍵山の味方をする人たちが大半なのだが。


 だけど。今日は違った。


「おいっ。今、何て言った?馬鹿か?お前?ヨッシーは優しい人だよ。」

「そうですね。昨日は妹のことでお世話になりましたし。失礼にもほどがあります。」

 ヒロと、晶子さんは毅然とした態度で、鍵山に向き合う。

 そして、うんうん、と頷く茂木さん。


「っていうか、てめぇ、ずっとヨッシーのこと虐めてただろ!!クラスのこの反応を見ても、クラス中、虐めてたんじゃないのか?」

 ヒロはクラス中を睨み返す。そして大きなため息。


「良かったよ。転校してきたのが私一人じゃなくて、この三人で一緒に来て。」

 ヒロはそう言って堂々とした姿で立ち振る舞う。


 晶子さんと茂木さんも大きく頷いた。


「ま、まあまあ、落ち着いて。もうすぐ授業だから。吉岡。お前の知り合いなら、吉岡の周りに席を用意するからそこに座ってくれ。」

 担任の先生は落ち着かせて、このことを無かったかのようにする。


 ヒロはそのやり取りに疑問を持った表情だが、時間も押しているので、一瞬でそれを自分の心の中に、抑え込む。


 そうして、簡単な席替えを済ませ、僕の周りに、美少女転校生三人が固まったのだった。


「よろしく。ヨッシー。大丈夫?」

「よろしくお願いします。知っている顔が居て、安心しました。」

「よろしくお願いします。いつか、妹のことでお礼しないと思いもう一度会いたかったです。今度、改めて、妹の件でお礼させてください。」

 こうして、三人の美少女転校生は、僕の周りの席、茂木さんが隣、晶子さんが前、そして、ヒロが僕の後ろの席に座った。


 丁度、僕の席は窓際なので、隣の片方は窓であったため、僕の周りの席は三つしかなく、その三つを、美少女転校生たちが陣取った。


 僕はこうして、やっとクラスに落ち着ける場所を手に入れたのだった。


 早速、午前中の授業を美少女転校生たちと、参加していくのだが。

 やはり、驚いたのは英語の授業だろう。


 小学生の間、アメリカで暮らしていたというヒロ。

 英語の発音も完璧だった。


「Wow、It‘s very good!! Nice Ms.Harada!!」

 丁度、ネイティブの外国人教師も一緒の授業だったため、そうして褒められる。外国人教師の言った言葉を訳せば。

 『すごい、原田さん、とても上手ですね。』ということだ。それは、外国人教師の表情を見れば明らかだろう。

 ヒロはニコニコ笑っていた。



 それを見たクラスメイト達。

「おおっ。」

 と、どよめきが起こる。


 そうして、午前中の授業が終了し、給食の時となる。

 僕たちは、美少女転校生三人と一緒に給食を食べる。


「一緒のグループで、良いんだよね。」

 茂木さんがそう言って、僕たちの視線を見回す。


 僕は茂木さんの言葉に、うんうんと二回首を縦に振る。


 そうして、給食を受け取り、食べ始めるのだが。


「ねえヨッシー。私たちが転校する前は誰と食べてたの?」

 ヒロが僕に聞いてくる。


「えっと、その。」

 僕は突然の質問に、戸惑い、首を横に振る。


「ふ~ん。その様子だと、アイツに虐められて一人で食べてたのね。他の皆はああしてグループ作って、食べてるのに。」

 ヒロは鍵山を見る。そして、僕以外のグループを見る。


 頷く僕。

「最悪。そして、担任の教師も黙ってるなんて、どういう学校?」

 ヒロは僕の代わりに怒ってくれる。


「そうですね。吉岡さんは優しい人なのに。」

 晶子さんだ。


「は、はい。昨日、美里ちゃんの靴、綺麗にしてくれましたね。」

 茂木さんは大きく頷く。


「ありがとう。まあ、教師も黙っていることに関しては後で話すよ。皆優しいね。」

 僕はそう言って、食事をする。

 いつもよりも楽しく食事をしている僕。


「それは、吉岡さんが優しいからですよ。」

 晶子さんはニコニコ笑いながら言った。


 僕はなんだか自信を持つことが出来た。


 さて、そんな僕の表情がだんだんと自信を持った表情になって行くのが、気に入らなかったのだろうか。

 鍵山と、その取り巻きたちは僕の席へと向かう。


「♪ターララララ―、ララ―ララー、ラ、ララララー♪」

「♪ヘイヘイヘイ♪」


 歌いながら、嫌味を言いながら。


「ねー。ねー。転校生のみなさ~ん。もう一回チャンスをあげます。僕たちの味方になって、そいつを奴隷に・・・・。」

 鍵山がニヤニヤ笑っていたが、一瞬表情が固まる。


 ギロッ。

「何?そういう、ふざけまくって、チャラい奴、嫌いなんだけど。」

 ヒロが鍵山を睨む。


 晶子さんも、茂木さんも、うんうんと頷く。



「ひゃいっ。し、失礼しました~。」

 鍵山と取り巻きたちは消えていく。


 流石はアメリカ育ちのヒロ。

 言いたいことはハッキリ言う方だった。


「すごい、ああやって、言い返したい。」

 僕はヒロに向かって言う。

 他の皆も同じだった。


「まあ、文化の違うアメリカに居ればね。」

 ヒロはそう言って笑った。


 午後の授業も、美少女転校生の活躍は眩しかった。


 音楽の授業。

 茂木さんの歌は、本当に天使の歌声だった。


 大きな響く声が、音楽室中に響く。


「おおっ。」

 という、クラスのどよめき。


「すごい。茂木さん。皆も、茂木さんの声聞いて合わせてね。」

 という音楽の先生の言葉。


 そう、明らかに、今日一日で、クラスの力関係は変化していた。


 尊敬のまなざしで見つめる、クラスメイトも入れば、鍵山を慕っているため、いじめられていた時以上に、こちらに目を合わせなくなってしまい、自分は悪くない、自分は悪くないと、祈りながら縮こまってしまい、こちらを意図的に見ていない生徒もいた。


 そんなクラスの人間関係に変化が起きた今日一日だった。


 そうして、今日の授業はすべて終了して、下校時刻になったのだった。






今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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