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超能力(異能)作品

使用中


「フフフフフフ」


東京ドームが楽に5つは入る広い敷地に建つ隣の屋敷に、3年前に死んだ前の持ち主の孫の男が私が狙う宝物を持って引っ越して来た。


引っ越して来た男のコレクションは(ひつぎ、世界各地の有名人が埋葬される際入れられていた棺や変わった素材の棺。


世界各地から金に物をいわせて集めた棺の中にはドラキュラ伯爵が使用していた棺もあるんだって、数年前に雑誌の取材に自慢気に答えていて雑誌に写真も載っていた。


でも私が狙う獲物はそんな物じゃ無い。


アフリカの砂漠で手に入れたと聞く黄金でできた棺、それが私の獲物。


私の盗みの腕は怪盗ルバンや怪人60面相の更に上を行く。


あの人達が数月数年の年月をかけて盗みを成功させるのに対し、私は計画なんて立てないでちょっと行って貰って来るだけ。


何故かと言えば私が空間移動の超能力者だから。


幾つか欠点はあるけど、一瞬で数百キロ数千キロを移動できるの。


できるだけ軽い素材の黒装束に覆面と手袋を着けダイレクトに獲物が置いてある部屋に侵入、途端に警報装置が鳴り響き警備員が飛び掛かって来るけど、警備員が私が出現した場所に来た時にはもう私は獲物を持ってトンズラした後って訳。


簡単でしょ。


でも欠点があるの、その1つは獲物の重さで空間移動できる距離が違うって事。


軽い物1〜2キロくらの物であれば一瞬で数千キロ移動できるんだけど、それより重くなると移動できる距離が縮まる。


獲物が1トンくらいの重さだと移動できる距離はせいぜい十数キロ、それより重たい物だとどんなに頑張っても1〜2キロくらいしか移動できないの。


だから屋敷の北側に建つマンションの最上階で獲物を待っていたって訳。


それでもう1つの欠点はって言うと、自分がパニックに陥ったまま空間移動しようとすると数ミリずつしか移動できないって事。


子供の頃なんだけど、あっちこっちに気ままに空間移動していたとき偶々沢山の番犬が居る御屋敷に移動しちゃった事があったの、その時は勝手にその御屋敷に入り込んだ近所の子供だと思われて警備員に助け出されたんだけどね。


その時に空間移動しようと焦げれば焦げるほど、数ミリくらいしか移動できなかった。


まぁそのお陰で、助けてくれた警備員に不審に思われなかったんだけどね。


それでパニックにならないように瞑想とか座禅とかヨガとかをやって、パニックになっても直ぐ立ち直れるように修行をしたのよ。


さて、黄金の棺を頂きに行って来ますか。


「あー重たかった」


さすがに金無垢の棺ね。


ギリギリ部屋に戻ってこれたわ。


この棺の大きさ、横幅が1メートル2~30で縦が2メートル50くらい高さが70センチくらいだから、お風呂に転用して夢だった黄金風呂での入浴が叶いそうね。


その前にどう頑張っても開けることができない棺の蓋を開けなくちゃならないんだけど。


まあそれは私の本当の家に着いてからで良いか。


仕事を終えたらお腹が空いちゃた、成功を祝ってお寿司でも取ろうかな。


棺が置かれている部屋から出ようとした私の耳に、ガタン! と大きな音が響いた。


振り向いた私の目に映ったものは……。


「ヒィィィー話しが違うじゃ無いのよー。


使用後じゃなくて使用中じゃない」


腰を抜かし数ミリずつ後ろに空間移動しながら私は黄金の棺から出てきたミイラ男の手から逃れようと、無駄な努力をしていた。








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― 新着の感想 ―
[良い点] そのミイラ。 黄金の棺とともに売れないものでしょうかね。売れなければ芸を仕込んで見世物小屋に出すとか……。 ところで使用中といえば……。 ミイラはトイレに行くたびに大変そう。いちいち全身の…
[一言] 拝読させていただきました。 中身入りでしたか、これは怖い。
[良い点] 瞬間転移というすごいチート能力を持っている主人公に降りかかった「まさか」。中身もセットとは思いませんよね。南無三! [一言] 入ってます!(by ミイラ) ↑すみません。言ってみたかっただ…
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