第四話 目指していくべき道
ギルドの扉が開かれ、一行はギルド本部に足を踏み入れた。中には窓口と依頼が掲載された掲示板がある。喫茶店が併設されているようだが、時間帯の都合か他に利用者はいなかった。
一行はギルド本部の中に足を踏み入れ、広がる広いロビーに目を奪われた。窓口ではスタッフが仕事に勤しんでおり、掲示板にはさまざまな依頼が掲示されている。その中にはSランクの難易度を誇るものから、初心者でも手が出しやすいEランクの依頼まで様々な案件が揃っていた。
ワタルたちは申請書を窓口に提出する。
Dランク以上の依頼実行時には必ず「普通の人間」であるワタルが同行しなければならないこと、初心者パーティには最初は低ランクの依頼の紹介に限る等注意点やギルドのルールについて説明して説明され、同意の旨を伝えた。
受理手続きには、少々時間がかかるとのことで、ワタルは、スノーとハウンが待っているその間、街の散策を提案された。
ギルドから少し遠くに見える、時計台が目についた。小走りで10分ほどの街の中心地にあり、フラハイトの有名スポットなのであろうか、観光客と思われる人々で溢れていた。
近くにある商店街にも活気があり、ギルドの前の通りとは打って変わりに人々が行き交う様子が広がっていた。
屋台からは美味しそうな匂いが漂い、手工芸品や武器防具の店、服屋などが軒を連ねている。しかしながら、ワタルには待ち合わせがなかった。
その中でも営業中とだけ看板の建てられた古い建物が見えた。怖いもの見たさでワタルはその古い建物に足を踏み入れることを決意し、引き戸を開けると、「いらっしゃい 見ない顔だね」と店主と思しき老婆が話しかけてきた。ワタルは会釈しつつ、どのような店なのかと尋ねる。
老婆はにっこりと笑いながら、「こちらは『古物屋 エルダーグッズ』よ。古い武具や魔法具、また時折見知らぬ異国の品も扱っております。お求め物があればどうぞおっしゃってくださいな」と答えた。
店内にはさまざまな古びたアイテムが所狭しと陳列されており、武器や装備品、魔法陣の刻まれた古文書などが並んでいる。
「店主さんがこれを集めたのですか?」と質問すると、 老婆は微笑んで頷き、「はい、私が長年旅をしながら集めてきたものです。冒険者の皆さんから譲り受けたり、時折遠くの国から仕入れたりしています。どれも歴史を感じる逸品ばかりですよ」と語った。
ワタルは興味津々で店内を観察し、いくつかのアイテムに手を触れながら老婆との会話を楽しんでいた。同時に、スノーとハウンが待っていることをふと思い出した。
「それではお店を後にさせていただきます。また機会がありましたら、寄らせていただきますね」とワタルがお礼を述べ、古物屋を後にした。
ギルドに戻ると既に手続きは終了しており、正式に認可を得たという。
喫茶店にて2人はコーヒーを嗜んでいた。
待たせてしまったことについて謝罪と街を探索する時間を作ってくれたことについて感謝を伝えた。
スノーからは「女の子を待たせるなんて」と軽口を叩かれつつも、見に行ったら場所について興味津々に聞いてくる。
秘密基地へ帰る同中、不思議な雰囲気の古物店についての話を2人にしたり、パーティの正式な結成の祝会の開催の計画を立てたりと話は盛り上がった。
秘密基地へ着くとファングは在宅しており、3人をで迎えてくれた。
すると第一回パーティ会議と称して、現時点で受けることのできる依頼リストについて共有された。
書類には全てEランクとDランクの依頼のみが記載されていた。Cランク以上の依頼については危険が伴う場合が多く、初心者パーティへは負担が大きいと判断されるためだ。
このような依頼が記載されていた。
・Eランク
・ラグド内戦資料館の警備業務
・フラハイト公園の除草
・武器屋、飲食店等の接客 etc
・Dランク
・東の森の探索•採取 etc
「やるならすぐにDランクの依頼で報酬も名声も稼げるようになるが良いよな。多くの人を助けるためにも必要ならことだからな」とファング。
東の森といえば魔物が出没するという話をファングから聞いていた。承知の上でのことだろうかとワタルは複雑な表情を浮かべる。
ハウンはそれに対して、このパーティでの実践経験もほとんどない中のため、準備を事前に済ませておく必要性を説いた。
スノーはどちらに対しても「確かにねぇ」などと返しているし強い意見は持っていないようだ。
「準備をするというなら、俺はEランクの依頼をまずはやりたい。魔物の討伐ってなったらみんなの足を引っ張るだろうし、お金稼いで社会勉強もする!東の森の情報収集をしたり、技を鍛えたりする時間をつくるのはどうかな」とワタルは提案した。
「まあ、Eランクの仕事は単独行動が効くって意味じゃ悪くねぇしな。3日後までに各自やりたい仕事リスト見て選んでくるか鍛錬するか選ぶことそれでどうだ?」とファング
スノーとハウンは頷き、賛成した。
その後、一同は食事を共にしながら、他愛もない話を交わした。ギルドでの冒険者としての新たな一歩が始まりを実感し、仲間たちはそれぞれの思いを抱きながらその日を終えた。
続く