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俺が入院しているスキに俺の実家がRPGの舞台になっていた件について外伝~あれから君は~  作者: 時田総司(いぶさん)
第一章 既プレイ、リプレイ

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第二話 魔剣士、ケンジ

「と……10日」


「そうだ、10日だ!!」


呆気にとられるタクヤをよそに、ケンジは、今度は腕を組み自慢気に振る舞ってきた。


(お……俺らの旧パーティは、1カ月よりも時間掛かったのに……1週間ちょいで……?)


タクヤは膝から崩れ落ち、両手を地面に着いていた。


「お前はどれくらい掛かったんだ? 2カ月か? たった今クリアしたてホヤホヤか?」


「ぐぬぬ……言えない……」


「アッハハハハ! 恥ずかしくて言えないくらい時間が掛かったんだな? そうだろ? そうに違いない!!」


「ぐぬ…… 魔剣士ケンジめ……! 魔剣士? ぷっふっ」


「? どうした? 何が言いたい」


急に吹き出すタクヤに、ケンジは疑問を持ち、問う。ニタァ……と凶悪な表情を浮かべながら、タクヤは続けた。


「魔剣士ケンジ、まけんしけんじ、マケンシケンジ……ぷふぅッ! 韻を踏んでいるのか、お前は? ラッパーか? オイラの名前はマケンシケンジ、10日でクリア、したんだYO!!」




「!!!!」




マケンシケンジは痛いところを突かれ、顔真っ赤になった。


「てっテメー!! 密かに気にしてたコトを!!!!」


「あにー? わざと、ツッコミ待ちでその役職と名前選んだんじゃなかったのか?」


「ち! げ! え! よ!! ゼトの日誌読んで、攻略しやすそうな役職にジョブチェンジして、名前は……本名から付けたんだよ……」


始め大声だったケンジだったが、尻すぼみに語尾が弱くなっていく。


「あにー? 聞こえね(笑)。じゃあな、マケンシケンジ」




「待て!!」




「?」


ケンジは、遂に腰に装備していた剣を抜いた。


「さんっざんコケにしやがって……タダで済むと、思うなよ!」


「フ……そうかよ。なら……ドラコ!」


タクヤは、手の指で輪っかを作り、口に当て、ヒューと、口笛を吹いた。


「? 何だ……?」


ケンジは呆気にとられ、頭にはてなマークがお似合いな程、首を傾げていた。3秒も掛からないうちに、3時の方角からい1匹の龍が飛んできた。




「キュウゥゥウウ!!」




「な!? アレは……。お前、まさか――」


「そう、そのまさか」


タクヤは、その龍に飛び乗り、グッと右腕で槍を構えて、言った。


「俺はタクヤ。役職は、ドラゴンマスターやってんだ」


ケンジは数秒、目を丸くしたが、すぐに冷静な笑みを浮かべて言った。


「まさかお前が上級役職の、ドラゴンマスターやってるなんてな。その実力、見せてもらおうか……」


「おう! 望むところよ!!」




2分後――、




「ぐえー」


「キュー」




『タクヤ、HP:0 /273、タクヤは倒れた』


タクヤとその乗っていた龍は、目を×印にして倒れていた。


「ッハッハ! 俺のっ……勝ちだ」


一方でケンジは肩で息をし、ゼイゼイと息を切らしながら両手を組み、立っていた。


「ぐえー」


「……」


タクヤの様子に見かねたケンジは、アイテムをタクヤに対して使ってやった。


『アイテム――、復活の薬草、タクヤは復活した! タクヤ、HP:205 /273』


「っはー!! 久々目の前真っ赤だったー。ん? なんで俺、復活できたんだ?」


「……」


体力が回復し、元気に声を上げるタクヤに対して、ケンジはだんまりだった。


「! まさかお前、復活の薬草を……?」


「だったらどうした?」


「まぢ……なのか。それならひとまず礼を言おう。サンキュな」


「! ――、れ、礼など要らん。ただの気まぐれだ」


ケンジは頬を赤く染めていた。


「? 何か様子が変だな。まあいっか。俺はこれから、このゲームの『冬』要素を満喫するつもりだ。ケンジは?」


「俺はこのゲームの殆どのプレイ内容をクリアしているから、暇つぶしにログインしただけだ」


「そっか。じゃあケンジ、暇つぶしついでに、俺のパーティに入ってくれないか? 前一緒にプレイしていたヤツらは社会人で忙しくて、もうパーティ組めないっぽいんだ」


「し……、仕方ねぇな。それならパーティに入ってやる」


『ケンジが仲間になった!』




――、


「まぁ、何と言うか、始まりの村に久しぶりに来たらこんなヤツが居るなんてな。しっかしお前ってホント弱いなー。やっぱり、レベル99のチーターにおんぶにだっこだったんだろ?」


「ち……チート級の仲間がいたけど、俺も立派な戦力だったの! 信じてくれよー」


ケンジとタクヤは会話しながらとある場所へと歩いた。“そこ”へ辿り着くと、タクヤは顔を30度程上げ、言った。




「着いたぞ」


「着いたな」




ケンジも淡白にタクヤへ返した。そこは、離れの展示場だった。


「ホストを変えて――と。入るぞ、タクヤ」


「へいへい……ってお前、見た感じ高校生か大学生くらいの歳だけど何歳なんだ? 俺より年下だったとして、その態度はどうかと思うぞ。因みに俺は20歳な」


「……」


「……ん?」


「俺は……」


「何歳なんだ?」


「19歳……大学生だ……」

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