表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
94/263

94

立花水樹···1年A組(ハンドボール部のマネージャー)


宇野勇利···2年A組(水樹の好きだった人。ハンドボール部)


間宮仁美···2年A組(勇利のもと恋人)


長谷川明人···2年A組


堀田誠···2年A組(明人の友達)


正木聖也···4年E組(水樹の恋人。ハンドボール部)

「間宮・・・。」


勇利が一言呟いた後、聖也と勇利は目を合わせて頷き、水樹達を探して駆け寄った。彼女達の姿はまだ遠くて何を話しているか内容は聞こえないが、その一触即発の緊張感に嫌な予感がし、聖也は焦った。


そしてようやく二人の声を確認出来る距離まで近付いた時、聖也は何よりも先にショックを受けたのだった。


これは水樹なのか?と目を疑う。水樹は酷く怒り悲しみ、聖也の知らない顔で自分の気持ちを一生懸命に叫んでいた。


勇利の為ならこんなにも感情をあらわにするのか?とドクンドクンと鼓動が大きくなり、嫌な汗が一筋背中に流れた。


そしてその時聖也は、全ての事を悟った。


水樹が勇利に勧誘されて入部した事、勇利の前では拗ねておどけて一番良く笑う事、夏の大会で何故か持っていた勇利からの入部届けの切れ端、そして何より聖也が水樹に好きだと伝えた時の良くわからなかった涙の理由。


点と点だった事象が繋がり一本の線となる。そう、いつだって水樹は勇利を見ていたのだ。


水樹、お前は勇利の事が・・・?


例えそうでも人には色々な過去があり、水樹は聖也の横にいる事をあの時選んだ。それにとにかく今は喧嘩を止めなければと聖也は思った。


「間宮さんは自分勝手ですよっ。苦しいのは、宇野さんの方なのにっ・・・。」


「は!?なんでそんなに怒ってんの!?水樹ちゃんには何も関係ないでしょ!?それに男女の事ってそんな単純じゃないじゃん?男の事なんて何も知らないような純情そうな顔したって私には通用しないからっ。」


仁美の言う事は図星で正論で水樹は唇をつぐむ。その後水樹は叫ばずに仁美を見つめ落ち着いて言った。


「それでも間宮さんは、宇野さんも新しい彼氏さんも傷付けて振り回しています。間宮さんは一体何を望んでいるのですか。何より少しも幸せそうじゃないじゃないですか。」


「なっ!?うっるさいっ、あんたに何がわかんのよっ、もう私と勇利の事は放っておいて。」


聖也が躊躇している間に、仁美はテーブルの紙コップを掴み水樹に投げつけようとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ