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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
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春休み期間のある土曜日の夜、勇利は仁美と電話をしていた。


「えー、明日遊べないの!?」


「急にバイト入る事になっちゃって。ごめんね。」


「最近さ、あんまりゆっくり会えてないじゃん?しかも他の男友達とスノボ行ったり遊びに行ったりも多くない?」


「たまたま誘われただけだよ。怒んないで、ね、明日ごめんね。」


「バイトの後は?」


「明日家族でご飯食べに行くんだ。ほんっとごめんね。」


「わかった。ねえ、俺の事ちゃんと好き?」


「こらっ!当たり前でしょ。大好きだよっ。」


勇利は毎日でも彼女に会いたいのに、彼女の方はそうでもないんだろうかともやもやし、何気に付き合い始めの頃は、などと女々しい事を考えてしまう。


本音は他の男友達とも頻繁には遊んで欲しくはない。でも今時そんな古臭い事も言っていられないし、仁美はうるさく言うと嫌がりそうだし、と勇利自身が寛大になるしかないと思っている。


明日、顔を見に行こうかな。


急にバイト先のファミリーレストランに会いに行くと驚いて怒られてしまうかもしれないが、彼氏なんだからきっと喜んでくれるだろうと勇利は思った。そこで数人に電話を掛け、明日仁美のバイト先で昼ご飯を食べてからカラオケに行こうと約束した。その中で誘いを快諾してくれた堀田は、明人にも声を掛けると言った。


わざわざ自分の彼女を見る為に男3人でゾロゾロ行くのは恥ずかしいけれど、急遽仁美に会える事で勇利は機嫌が良くなり、明日のカラオケに備えて鼻歌を歌ったりなんかした。


そして次の日の時刻は午前11時前。勇利に誘われた明人と堀田が二人揃って待ち合わせ場所を目指していた。勇利の急すぎる誘いにこの二人しか集まらなかったんだと堀田が言う。


勇利のクラスメイトのこの長谷川明人はなんとか3年生に進級出来そうだったが2年生は1年生の時よりもっと欠席が増えていた。朝起きた時にだるく、そもそも起きられない日もあり休む癖が付いてきていたのだった。留年するつもりはないけれど、明人には圧倒的に無気力な日がある。


そして勇利と集合し、その足で仁美のバイト先へ遊びに行った。


「俺さー、仁美のバイト姿見るの初めてなんだよね。」


「間宮はかわいいからユニフォーム似合いそうだよな。」


明人は喋らなかった。


「いらっしゃいませー。何名様でしょうか。」


3人は席に案内されると各々適当に料理を注文した。


「いないじゃん?」


「中に入ってるのかな?」


「何時からか知らないのかよ?」


「いつも日曜日に働く時は朝から夕方までなんだよね。」


そして10分程して料理が運ばれてきたが、勇利の顔は少し不安気だった。

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